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その日はやってきた④
目の前が真っ暗になりました。
どれくらいだったのでしょう。
1分?2分?・・いや30秒?。長いのか短いのかわかりません。
目が開いていた時は心臓もバクバクして、血も止まらなくて。体の震えが止まらなくて、寒くて怖くて怖くてたまらなかった。それが目を閉じる瞬間、体の辛さがふわっとなくなって、すごく幸福感に包まれたような感覚になったのです。
私、死んだ・・?
って思いました。
死ぬ瞬間は実は楽なんじゃないかって、その時すごく感じました。いろんなものから解き放たれて。明るい白い世界。
次の瞬間、お医者さんの声が、
「〇〇さん、〇〇さーん!」
ん?呼ばれてる?ほっぺたたかれてる?
聞こえてたけど、反応しませんでした。笑
そしたらベテラン看護師さんが、
「〇〇さーん、聞こえてるー?」
目がうっすら開けられたので、小さな声で「はい・・」と看護師さんの顔を見て答えました。
こうしてまた現実に戻ってきました。
私の体は、温かい蒸しタオルが体に沿って置いてありました。
震えは徐々に止まっていきました。
血も止まっていました。
血圧のモニターも通常の音になっていました。
しばらくして、家族が分娩室に戻ってきました。
夫は戻ってきたら、あわただしく看護師さんが出入りして分娩室に入れなくなっていたので心配したそうです。
記憶が定かではないのですが、私は泣いていました。
赤ちゃんを抱っこすることも、おっぱいもやれず、起き上がれない自分が悔しくて、今起こった出来事が怖くて、泣いていました。
そのあとも何時間か分娩室で休みました。
体が鉛のように重くて、気も動転していて、疲れもあって、訳が分からない状態でした。
助産師さんがきてベットごと運ばれました。私はナースステーション近くの個室に入ることになりました。赤ちゃんは別室に行きました。
妹は出産後、立って自分で歩いて部屋まで移動していたのに。どうして私はできないんだろう。なんだか悲しくなりました。もう、そのときから産後のホルモンバランスがくずれていたのです。
入院は、もともと個室を希望していました。様子が違う部屋だったので質問しました。すると、「ここは重症者用のお部屋ですよ。」と。
重症者?!
私、重症者なのかな。え、どうしてだろう。
血圧のモニターの音がピーピー鳴りやまず、うるさい。体中にいろんな管がついてました。トイレもいけず、管です。身動きとりにくい。狭い部屋。上を見ると、白い天井。不安でしかない。
そのあと、若い助産師さんにはたくさんほめていただいた記憶があります。
出産を振り返って、「あなたのお産はよかったと思います。」とか「がんばりましたね。」とか。
なぜか私の心には響きませんでした。
私の心に浮かんだのは、
ベテラン助産師さんのままだったら、こんなふうにならなかったのに。
若い助産師さんにいきみかた教えてっていったのに、教えてくれなかった!
お医者さんも若い研修医さんで不安だった。とか。
いろんな負の感情が浮かんできたのです。
病棟に移ってからも、ずっと泣いていました。涙が止まらないのです。
混乱状態。
出産1日目は、結局赤ちゃんを抱くことができませんでした。
出産2日目に続く。
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