幾度目かの意志表明
残暑の中、陽射しが強い日がまだあるものの、秋は確実にやってきているのを感じる。
蝉の声は徐々に減り、秋の虫の鳴き声が増えてきた。
外を歩けば足下には黄色い銀杏が数粒落ちており、見上げれば木に緑色の実がたわわとなっている。
もう少しすれば辺りは銀杏で埋め尽くされて、あの独特の臭いに顔をしかめる子どもの姿が目に浮かぶ。
こうして虫も植物も、そして天候も、みなカレンダーを見ているかのように季節が進んでいくことが不思議でならない。
私はというと、この夏はぼうっとした季節だった。
自分のことに集中し、自分のことを考え、自分を労ることを実感した。
前を向いたり後ろを向いたりと、気持ちがなかなか定まらず、どうしても行動が伴わない。
それでも私が好きなことは絵を描くことと、文字を書き文章を作ること。
これだけはぶれずにいるから、例え立ち止まったとしてもすぐに戻ってこられるし、大きな枠での目標に向かえばいいことは気が楽でいい。
また思ったのは、自分のことに集中すべきだということ。
自分以外の人間のためにあれこれやることは、必要とされている感じがするし、人の役に立っている充実感を得ることができる。
一方で、「やってあげている」感が出てしまい、思い通りに動かしたい気持ちがむくむくと湧き上がり、支配的になってしまう危険がある。
結果、思い通りに動かない子どもたちにいらいらとする始末。
だれもがみな、自分のことは自分でやればいいし、できないのであれば言葉にしてフォローをするされることができるのが理想に思う。
思ったところでうまくいかないのは現実ではあるが、その意識があるかないかで受け取り方も関わり方も変わってくるはずだ。
ぼうっと過ごしていたわりに、そんなことを考えて過ごしていたらあっという間に夏が終わってしまった。
短い秋を経れば長い寒い季節がやってくる。
日が短くなってきたこの頃は、夜更かししてつまらない時間を過ごすのもまた楽しい。
秋の夜長はまだまだこれから。
本を読むのと、普段はあまり見ないテレビや映画に触れてみようと思う。
短い季節の意志表明だ。
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