日曜日のそれ
日頃テレビはほぼ見ない、ラジオを聴く習慣もない私だが、
継続してラジオ番組「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」を愛聴している。
コロナ禍が始まってしばらくした頃に車に乗る頻度が上がり、
音楽以外に聴けるものはないかとポッドキャストの中に見つけたのがこの番組だった。
日曜夕方の放送時間はちょうど家事で忙しい時間帯。
リアルタイムで聴くことは難しいため
空いた好きな時間にまとめて聴くことにしている。
今日は途中まで聴いてあった残りと、プラス2日分を聴いた。
鶴瓶さんの天然さと、上柳アナの的確なツッコミが非常に面白い。
こんな自然体なラジオ番組が存在することに驚きだ。
番組内で鶴瓶さんが喋るネタがたくさんあるのは、
毎日食事に行ったり出かけたりと、外へ行くからだとおっしゃっていた。
それは私の心に突き刺さる言葉だった。
コロナ禍の前、外へ出て色んな出会いを求めることがよしとされていた。
私も倣って必死で出掛けていたのだが、正直得るものよりも疲れることの方が多かった。
コロナ禍に入り外へ出なくなり、何て楽なんだ、何て心地いいんだと感動し、
それまで無理をしていた自分を恥ずかしくさえ思っていた。
ストレスなく自宅に引きこもる生活は非常に快適で、
永遠にこのままでいいとさえ思い、元の生活というものが帰ってくることは
私にとっては非常に恐ろしいことだ。
しかしここ最近の感染者数の落ち着きと、年末、学期末であることもあって
外へ出掛けなくてはいけない用事が急に増えてしまった。
車ではなく公共の交通機関を利用することも増えた。
嫌々だったのだが、いざ出掛けてみると不思議なもので
新鮮な気持ちが湧き上がってくる。
そして決して外へ出ることが嫌ではない自分がいる。
マスクの大集団も、間隔を空けたエスカレーターの利用も、
大型エレベーターに6人しか乗れないルールも、どれも新鮮で面白い。
日本人の真面目さから来るのだろう、内心はわからないが、
誰も文句を言わずに受け入れている事実にさえ面白さを感じる。
こうして文字にして気が付いたが、きっとこの新しい世界が新鮮なのだ。
以前の誰しも出よう、感じよう、吸収しようみたいな、
半ば強制的な出会いと刺激を求めなくてはいけない感はなく、
出るのはいいけど距離保とうね、少人数でひっそりねという
友だち100人できなくていいよという具合が私には合っているようだ。
気楽にひとり出掛けて、用を済ませたら、カフェでコーヒーを飲む。
以前はもっと忙しなく、せっかく出掛けたんだからあれもこれも吸収しなくちゃと
余裕など全くない時間の使い方をしていた。
確かに鶴瓶さんの言う通り、出掛けた方がずっと面白い。
面白いとまた出掛けたくなる。
街を味わって季節を感じて、こうした時間の使い方ならば
得た物を自分のなかへ入れてしまえる気がする。