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ASローマのプレースタイル診断


 ロマニスタのみなさん、先日は「プレースタイル診断」のアンケートにご協力いただき、ありがとうございます。いろいろな企画がうまく形になっていくのは本当にみなさんのおかげ。いつも感謝しています。なお、すでにツイッターでは公開しているので、それを補足するような内容となります。

 前提として、プレースタイルのざっくりとした分類をするものであって、個人的に細分化することは可能ですが、今回はそういう内容でないことをご承知ください。本企画は、ロマニスタのみなさんにプレースタイルの分類を9段階で回答していただき、その平均値から散布図を作成するというもの。私個人の見解でないというのが大事なポイントです。ちなみに、自分は2000年代中盤以前の選手たちのプレーを知りませんので、その点を理解したうえで読んでください。


ストライカー

  ストライカー(センターフォワード)という分類をしている時点で全員が点取り屋ではあるが、中でもデストロ、モンテッラなどがフィニッシャーに振り切る格好となった。自分の印象ではデストロとマジョラルがこれに当てはまるのだが、モンテッラはおそらく彼らを上回るゴールセンスの塊であったことが窺える。
 バティストゥータも大きな括りでは同種といえるが、ゴールの手段が異なるようで、身体やシュートのパワーが特長。現代でいうと、ハーランドあたりが似たタイプなのだろうか。違うかも。
 パワー系ではトーニやルカクもいるが、ポストプレーヤーでもある彼らはマルチな役割をもつ部分があり、バティとは横軸の距離が開いた。ジェコも長身ではあるが、比較的ゴツゴツとしたイメージが薄く、スマートな要素も多く含まれる。
 ヴチニッチは思い描いていたとおりの位置になった。トッティやカッサーノもこの部門でエントリーしていたらここに位置したと思われるが、ストライカー(点取り屋)という区分けになることに違和感があり、次のカテゴリーに回すことに。今回使用した「スマート」「パワフル」は、あくまでもゴールのための解決策みたいな扱いで、モンテッラやマジョラルはスマートな感じがするけど、トッティやカッサーノはテクニシャンといった方が適切なので。

ウィング・セカンドトップ

 項目設定の影響で、横軸の配置が中央に寄ってしまった。とはいえ、わりと想像どおりの結果ではある。
 逆に自分のイメージと少し異なるのがエル・シャーラウィで、もっと「セカンドストライカー」の方に偏ると想定していた。同時期に加入した良きライバルであるペロッティも、予想ではもう少し「チャンスメイカー」側になるかと。しかし、総勢60人ほどのロマニスタの見解の平均値である上記の散布図こそが「正解」に近いとも思われる。
 ほぼ同じ分類になったトッティ、カッサーノ、ディバラ、ボージャンの4人以外はほとんどウィンガーであり、程度に差はあれど、基本的に全員が快速だ。しかし、その中でもマンシーニ以外は「アスリート」「テクニシャン」の一方にはっきりと分かれる結果となり、プレースタイルを仕分けするという今回の目的がしっかりと達成されていることを確認できた。
 この図だけでは判別できない事柄でいうと、まずバチスタのアスリート能力というのが、俗にいう「フィジカル系(パワー系)」であるということ。その近くにいるボリーニがバチスタに似ているかというとまったくそんなことはないが、今回の区分けでは同タイプになっている。さすがに4項目だけではこういうことが起こり得るので、その点はぜひご理解を。

ミッドフィールダー

 個人的に、見ていて一番楽しいのがこれ。いい感じで選手たちがバラけ、まったくプレーを知らない選手たちのことも、ざっくりと理解しやすい図になったのでは。
 その中で、クリスタンテに関してはどうしてもタイプ分けというのが難しい感はある。今シーズンと昨シーズンのプレーが異なるように、チーム戦術やメンバー編成に合わせて振る舞い方を変えることができる器用な選手であり、たとえば「ブリーギと似てるか?」というと若干違和感がある。
 それと、だいぶ前にどこかで見た意見として「中田に似た選手が全然いない」というものがあり、ずっと気になっていた。自分は2002年と2006年のW杯(と予選)でしか見たことがない(しかもよく覚えていない)ので、ペッレグリーニやムヒタリアンに近い選手なのかは分からない。ただ、よく知らない選手を少しでも正しく認識するうえでは、この散布図だけでも新たな発見といえる。
 今季の新加入選手であるパレデスは、この分類でいえば、ピサーロ以来のレジスタのようだ(デ・ロッシにもその能力はあったが)。彼を活かし、周りは彼に活かされる環境をつくるには、もう少し時間を要するだろうか。

ウィングバック・サイドバック

 そもそもここ十数年は守備的SBというのがあまり存在せず、あるとしても大半は本職がCBであったりする印象がある。2000年代前半から半ばあたりに活躍したパヌッチとクフレはそれに該当するようだが、ほとんどの選手が散布図の上半分に配置されることになった。
 先にも似たようなことを書いたが、サイドバックである以上、最低限のアスリート能力は確約されているようなもの。その前提がある中で、一人右端に寄っているコラロフは異例だ。一方、パワフルショットが代名詞のリーセが同じようなところに位置するかと思っていたので、むしろアスリート側になったのはかなり意外。エメルソン、マイコン、もしかするとホレバスあたりも「キックまたはスキル」の印象があったので、それも自分の想定と違う点だった。
 そのほか、右サイドと左サイドで選手の特質に相違があるように思う。キック自慢のコラロフ、ディーニュ、リーセは左サイドの選手であり、逆サイドには同タイプがいない。強いていうならフロレンツィがそうかもしれないが、運動量豊富なアスリートという印象も強い。

センターバック

 こういう風に、斜めに並んでしまうのは良くない。これでは選手たちを結局のところ一面的な捉え方しかできていない感があるため、項目の設定が良くなかったと反省。
 ボールの扱いが上手いマンチーニやイバニェス、メクセスあたりが左上に、あとはファン(ジェズスじゃない方)が右下に割り当てられるかと思っていた。ちょっと想定と違うのだが、これが平均値ではあるので、それを知るという点では価値のある結果となり、ありがたい。とはいえ、基本的な傾向(座標ではなく全体の位置関係)としてはみなさんとだいたい同意見だ。他方では、アウダイールやザーゴについては特性がみえる配置となった。あまりよく知らなかったので、ベテランロマニスタに感謝。
 また、「ボールプレイング」側になった選手たちを一旦無視して、左側の中でさらに仕分けをしていくとそれぞれの特質が浮かび上がってくる。最強コンビだったカスタン&ベナティアは両者とも技術がありながらも荒っぽさがそれほど荒っぽい感じではないとか、マンチーニやメクセスはパワフルだけど技術もあるとか、そのあたりは感じ取れる。

 最後に、改めてご協力ありがとうございます。もっと項目数を増やせばプレースタイルのさらなる細分化も可能ですが、もはやセンター試験くらいの回答時間を要することになりそうなので、さすがにやめておきますね。

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