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なぜシニアは詐欺を見抜けないのか

最近ネットニュースをみていたところ「コンビニスタッフが詐欺被害を未然に防いだ」と、警察署で表彰されていました。

事件の詳細としては、60代の女性が電話をしながらATMを操作していたというもの。コンビニスタッフの女性2人が詐欺を疑い、女性客に声をかけ説得したことで被害を防ぐことができたそう。

おしるこのお漬物読者のみなさまも、同じようなニュースを見たことがあるのではないでしょうか?特にコンビニスタッフの方が詐欺に気づき表彰されるケースはとても多いように思います。

20代のわたしから見れば「なぜこうもたやすく他人を信じ、お金を渡すのか。なぜ気づかないのか」と毎度不思議に感じてしまいます。

そこで今回は「高齢者をターゲットにした特殊詐欺」をテーマにお話させていただきます。

■特殊詐欺を理解する

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そもそも特殊詐欺とはどのような犯罪なのでしょうか。

特殊詐欺とは、犯人が電話やハガキ(封書)等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取ったり、医療費の還付金が受け取れるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させる犯罪(現金等を脅し取る恐喝や隙を見てキャッシュカード等をすり替えて盗み取る詐欺盗(窃盗)を含む。)のことです。
引用:警察庁”特殊詐欺とは”

現在特殊詐欺は10種類に分類されています。中でも被害件数の多いものと、ポピュラーなものを抜粋してご紹介します。

・オレオレ詐欺
・預貯金詐欺
・架空料金請求詐欺
・還付金詐欺

「オレオレ詐欺」は定番中の定番ですよね。十数年前からある特殊詐欺の1つですが、令和となった現在も被害件数は断トツ

近年増加しているのが「預貯金詐欺」。市の職員や銀行員を名乗り、キャッシュカードや暗証番号を含む口座情報を聞き出し、現金をだまし取るケースです。

多くの特殊詐欺が、詐欺犯と被害者が対面せず電話やハガキでのやり取りを行いますが、預貯金詐欺においては実際に自宅まで訪れるケースが多いそう。自治体や市の職員を装い「還付金がある」「口座が犯罪に利用されている」などと、その場でキャッシュカード等を求められ渡してしまいます。

まずはこういった犯罪があることを、頭の片隅に入れておくことが大切なお金を守ることに繋がります。

■特殊詐欺の年間件数と被害額

「ニュースではよく見るけど、周りでは聞かない」
「大袈裟に取り上げているだけ」

と考えている方もいらっしゃるかもしれません。そこで警察庁がまとめた特殊詐欺の被害状況を見てみましょう。

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出典:警察庁/広報資料「令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」

まず念頭に入れていただきたいのが、今回まとめられている被害件数と被害額は、あくまでも「認知されている」ものだけです。被害届を出していないケースも多くあるでしょうし、本人が詐欺被害に気付いていないケースもあるでしょう。

昨年2020年の被害状況(警察が認知しているもののみ)は、

・2020年詐欺被害件数:13,550件
・2020年詐欺被害被害額:およそ285億円
・1日あたりの被害額:およそ7,790万円
・1件あたりの被害額:およそ220万円

となっています。

高齢者(65歳以上)の詐欺手口別の被害状況(2020年)は以下のとおり。

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出典:警察庁/広報資料「令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」

2020年の特殊詐欺件数のうち85.7%が高齢者であることから、ほとんどが高齢者(65歳以上)被害であることが分かりますよね。中でも女性の被害が圧倒的に多いです。

詐欺手口別で見ると「預貯金詐欺」の割合が98.4%と断トツ。さきほどご紹介したとおり、預貯金詐欺は実際に自宅に訪問し、市の職員や自治体職員、銀行員を装ったうえでキャッシュカードなどをだまし取る手口です。

今回このnoteを執筆するにあたり、私なりに被害の背景を考えてみました。

詐欺の代表格である「オレオレ詐欺」。被害者宅へ電話をかけ、息子や娘を装いお金をだまし取るもの。こうして文章にするととてもシンプルですが、実際にはいろんなパターンがあります。

息子・娘本人を装い「会社のお金を横領してしまい、訴えられそうだから助けて欲しい」「人身事故を起こしてしまい、示談交渉のためにお金がいる」。

他にも息子・娘の働く会社の人間や友人を装い「息子さんが〜という状況で代わりに電話をかけている。事件を起こして解決するためにお金がいる」などといったパターンもあります。

特殊詐欺においては、そのほとんどが「電話」をメインに行われます。詐欺犯の口車にうまいこと乗せられてしまい、誘導される。

冒頭でお話した「コンビニ」のように振込寸前で気づければ幸いですが、周りの言葉を頑なに拒否するほど、電話の向こうの詐欺犯を信頼しきっていることもあるんだそう。

詐欺犯の話術が長けていることももちろんですが、まわりに相談する相手がいないことや、息子・娘を助けてあげたいという気持ちが強いことから被害に遭いやすいのではと思います。

■特殊詐欺被害に遭わないために

今回特殊詐欺を調べていたところ、警察庁のホームページにて実際の「詐欺音声」が公開されていました。

実際の音声はとても貴重です。特殊詐欺がどういったものかを知っておくためにも、ぜひ一度聞いてみてください。

千葉県警「実際にあった「電話de詐欺」の犯人の電話音声」
京都府警「特殊詐欺総合対策”犯人の声を公開”」
長野県警「「特殊詐欺」犯人の音声公開」
(※いずれも県警のホームページなのでご安心ください)

繰り返しとなりますが、特殊詐欺の多くは「電話」を用いて詐欺犯から連絡があります。巧みな話術で次々と話を進められますが、あくまでも「電話」。目の前で出口を塞がれているわけでもありませんし、脅されているわけでもないのです。

その電話が本当にあなたの家族や市の職員、銀行員であれば一度切って、こちらから折返し電話をかけ直すこともできるはずなのです。

万が一詐欺にあったとき、ほとんどの場合がお金は戻ってきません。たとえ被害額が少額で済んだとしても「詐欺にあった」という事実に大きなショックを受けます。

日頃から自分の子どもたちと連絡を取りやすいよう準備しておき、夫や妻ともコミュニケーションをとっておくこと、友人やご近所にも注意喚起として共有しておくことが大切です。

気軽に話せる相手が見つからないときにはシニアコミュニティアプリの「おしるこ」を覗いてみませんか?

特殊詐欺は多種多様。情報収集や共有の場として、ぜひ活用してみてください。

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