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終活~生前墓を購入するには

生前墓を建立しておくことが、終活のひとつとして近年注目されています。
生前から自分が亡き後に入るお墓について考えることは、終活を行っていく上で非常に重要なことと言えます。

生前墓とは何なのか、購入する方法、メリットや注意点などについて、この記事では解説していきます。現在終活をしている人やこれから終活を考えている人、お墓について興味がある人は参考にしてください。

■生前墓とは

生前墓とは、その人が生きているうちに建てたお墓のことです。近年では終活のひとつとして注目され、生前墓への関心が上昇しています。

生前墓は、墓石に彫刻される建立者の名前や戒名が朱色で掘られるという特徴があります。お墓参りの際に朱色で文字が彫刻された墓石を見た経験はありませんか?これは、「このお墓は故人が生きているうちに建てました」ということを表しています。

しかし、お墓はそもそも物理的に考えて生きている人しか建てることはできませんから、昨今ではあまりこだわらないという考えも増え、朱色を入れない場合もあるようです。

・生前にお墓を建てても良いのか?

お墓は亡くなった人の遺骨を納めるところなので、なじみのない人からすると、「生きているのにお墓を建てても良いのだろうか?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。
中には、生前墓を建てることは「早死にする」だとか「縁起が悪い」などというマイナスなイメージを連想し、危惧する人もいるようです。

しかし、生前墓は仏教で「寿陵(じゅりょう)」という言葉で表現され、「不老長寿」、「子孫繁栄」などの幸福を呼ぶものとして縁起が良い位置づけとなっています。

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まったくもって悪いことなどではないのです。家を新築したらお祝いをするように、お墓の建立もお祝いして然るべきことと言っても過言ではありません。

・生前墓の起源ははるか昔

生前墓ははるか昔から存在します。かの有名なピラミッドも生前墓のひとつです。エジプトの新しい王が位についた時からお墓の建立計画を始め、そして莫大な資金と時間をかけてお墓を建てました。

中国では、秦の始皇帝が「不老長寿」を深く信仰し、生前にお墓を建てたとされています。また、それが日本にも伝わり聖徳太子も影響を受け、生前墓を建てたと伝えられています。

このように、生前墓は昔から世界の偉人も採用している縁起の良いものなのです。

■生前墓の購入方法

生前墓を購入するためにはいくつかのステップを経ていくことになります。

・墓地を探す

お墓を建てるための墓地を探すことが、生前墓を建てる際、まずやるべき大切なことです。

墓地は大きく分けて「公営」「民営」「寺院」の三つに分けられます。人によって墓地を探す際の優先事項はさまざまかと思います。自分が亡き後には家族が管理していくことになるので、その点も含めてしっかりと吟味することが大切です。気に入った墓地をいくつかピックアップして、実際に足を運び見学すると目で見て確認できるので良いでしょう。

場所を選定したら、契約に進みます。戸籍謄本などの公的書類の提出が必要になります。契約書には墓地使用の契約に関する注意事項が細かく書かれていますから、隅々までしっかりと目を通して不明点がないようにしてから契約締結に進みましょう。

・石材店を決めて墓石を作る

墓地を決めたら、次は墓石を作る段階へ入ります。

まずは石材店の選定です。墓石は何十年も受け継いでいく大切なものです。高い買い物ではありますが値段だけに捕らわれず、信頼できる石材店なのかしっかりと吟味することが大切です。いくつかの石材店に見積もりを出してもらうと比較できます。

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石材店を決めたら、希望のデザインや石材を伝え、墓石の制作をしてもらいます。デザインは和型、洋型、和と洋を組み合わせた型などがあります。石材もさまざまで、色や質感、耐久性が違います。

デザインなどによって差異は生じますが、通常出来上がりから墓石を墓地へ設置するまでに2~3カ月ほどかかります。

■生前墓のメリット

生前墓を建てることには、終活のひとつとして自分のためにも、また家族にも多くのメリットがあります。

・好みに合ったお墓を建てられる

何といっても自分の好みに合ったお墓を建てられるということが、生前墓を建てることの大きなメリットのひとつとして挙げられます。

お墓のデザインや石材は多種多様で、どれを選ぶかによって料金も変わってきます。お墓を建てる場所に関しては、「落ち着いた場所が良い」「遺族がお墓参りするときに行きやすい場所にしたい」「霊園の管理がしっかりとしている所が良い」など、その人によって優先する条件があるはずです。

このように、好みや予算、ご家族の意向などを考慮した上で、じっくりと時間をかけて満足のいくお墓を選べるのは生前墓ならではの良さです。

・遺族の負担を減らせる

生前墓を建てることは、遺族の負担を減らすことにもつながります。

死後、残された家族はお葬式の準備、各種手続き、遺品の整理など、やる事がたくさんあって大変です。家族が亡くなったばかりでただでさえ精神的に大きなダメージを受けている遺族にとって、法要や数々の手続きは精神的ストレスとなり得ます。

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通常、お葬式から納骨までに時間的猶予はそこまでありません。遺族が限られた時間の中でお墓選びや霊園選びをするのは大きな負担になります。

その点、生前墓が用意されていると「お墓を用意する」という作業がなくなり、遺族の負担を大きく軽減できます。もちろん、金銭的な面でも負担は減ります。

・節税としてのメリット

生前にお墓を建てておくことは、相続税対策になるというメリットもあります。

通常、故人が家族にお金などの財産を残すと、相続する際に相続税がかかります。しかし、お墓は「祭祀財産(さいしざいさん)」というものに含まれるので、相続税は非課税になります。

お墓を建てるためのお金を残しておくよりも、生前にお墓を建てておいた方が節税になるということです。これは遺族にとっても嬉しいメリットです。

■生前墓の注意点

たくさんのメリットがある生前墓ですが、注意すべき事柄についてもしっかりと知っておくことが大切です。

・納骨前から維持費が発生する

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お墓を建てる墓地を手に入れると、「墓地管理料」を支払わなければなりません。納骨をしていない空っぽのお墓でも、契約をして墓地を手に入れれば管理料はかかります。管理料は、公営か民営か、また霊園の種類によっても差異があります。

大体、年間数千円から高いところで数万円くらいです。また、お墓のメンテナンス料、万が一の時の修理費、場所が寺院の場合はお布施や寄付金などがかかることもあります。早く建てれば建てるほど、長期間の維持費を支払わなければいけません。

・生前墓を受け付けていない霊園もある

霊園によっては、墓地申し込みの条件に「遺骨を所持していること」と掲げているところがあります。これは、特に市町村が運営する公営の霊園に多いようです。

場所や環境が気に入った霊園でも、そこはもしかすると生前墓を受け付けていないという可能性もあります。また、「墓地購入から〇年以内に納骨する」という約束の霊園もあります。

霊園選びの時には、生前墓が可能か資料や募集要項をよく確認することが大切です。

・家族としっかりと相談したうえで決めないとトラブルになることも

生前墓は自分の好みを尊重し建てられるのがメリットです。

しかし、自分が亡き後にお墓の管理やメンテナンスをしてくれるのは残された家族です。家族に何も相談をしないで自分一人で決めてしまうと、のちに家族とトラブルになってしまうことがあります。

場所や費用、管理に関することなど、ご家族とも情報を共有し話し合い、納得した上で生前墓を検討していくことが大切です。

まとめ

生前墓について解説してきました。

生前墓は終活のひとつとして近年非常に注目されています。生前墓は自分の好みを大いに生かせるというだけではなく、残される家族の負担を大きく軽減させられるというメリットがあります。

いくつかの注意点はありますが、慎重に下調べをし、家族と意見交換・意思の疎通をしっかりとして納得のいく決定をしていけば、非常に有意義な終活になります。

生前に余裕を持ってお墓を建てることを検討している人は、ぜひ参考にしていただければと思います。

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