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恩田陸/ネバーランド 読了


BLとまでは行かなくても少年同士の熱い関係のお話が読みたくなって検索していたらこの作品に辿り着いた。

正直全然そういう感じではなかった。
確かに友情なんだけども、ホラー要素が私には怖すぎて読んでいる途中、家の電気を全てつけにいった程だ。

恩田陸さんの作品は夜のピクニックという代表作の題名しか存じあげておらず、
恋愛小説家なのかな〜と思っていたけどまさかホラー、ミステリーも書かれるとは…

光のさす庭?道?の爽やかな表紙からは想像できない陰鬱とした導入でかなり驚いた。
男子高校生というともっと馬鹿馬鹿しい生き物だと思っていたのでメインの4人から感じる、大人びた言動、そして円滑なコミュニケーションを築くために積み上げてきた様子や、喜怒哀楽の表現を見ると
みんな何かしら裏があるのではないか。。と怯えながら読み進めていた。
実際あった。
こんな重たい背景を一人一人が持っているとは思わなかった。
しかし誰一人過去を免罪符にせず糧にしようとしていたり、復讐の着火剤にしたり、深く気にしていなかったり、ただトラウマになっているだけだったり。
男性?の強さを感じた。
私だったらあの告白ゲームなんかする前に皆どう思う!?私頑張ってるよね!!?褒めろ!!!
なんて言ってメンヘラを発動しているだろう。

全体的に暗いイメージだったけど、後半に行くにつれ全員が全員の秘密を知っていって共犯関係のようになっていく展開が凄く良かった。
この7日間にあったことは4人しか知らない、知らなくていい感じがして。

とにかく前半のバットマンの仮面事件が怖すぎてふと20世紀少年のハットリくんの仮面を被ったあの怖いシーンが思い浮かんだ。
普通に幽霊も出てきたし。

リアルな話なのかファンタジーなのか
時代背景はいつ頃なのか
ウォークマンとかCD屋さんがあることから1990〜2000年くらいなのかな?
文字だけではちょっと分かりづらくて没入するのに少し時間がかかった。

あとは最後の弁護士と光造のシーン。

大人ってずるいし勝手でムカつくよな。
ていうかそもそも
大人の定義ってなんなんだろう。

皆が光造に甘えていたっていうのは分かるけど
それならあまりにも周りの大人がカス過ぎではないかと思う。
美味しいとこ取りばかり。子供をコントロールしたいだけ。

しかもこの弁護士謝る訳でもなく、「でも友達に恵まれているようで良かった」とか抜かしやがった。
良かった、良くないかは当人が決めることだろ。

子供が幸せか不幸せか親が決める事じゃないように。

光造が感情を抑えきれず取り乱してその場を離れた後、すぐに無感情な顔に戻る弁護士にとても大人としての残酷さを感じた。

ネバーランドでは大人は敵なんだ。

でもこの子達はピーターパン症候群でもなんでもなくしっかり次に進める強さがある。
とても羨ましく思った。

結末的にはハッピーエンドだけど全体的な暗さと不気味さに飲み込まれるので、読んでいて少し寒気を感じる本だった。
好みではないけど新しい体験。

本って面白い。

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