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【教科書はBlooket】はじめに&Gold Quest


不可視の可視化

 皆さんが小学生の時、ドリル学習は行っていましたか? ドリルに直接書き込むだけでなく、ドリル専用のノートを作成して、そちらに2回目や3回目などを手の横が真っ黒になるまで繰り返し行っていた記憶はありますか? もう覚えているのに何度も同じことを書かされる。でもやらないと、やる気がないとみなされてしまう。このやる気というのはなかなか目に見えないもので、他者に評価してもらうことは難しいですよね。なので手っ取り早く繰り返し作業のような形でドリル学習が推奨されていたのだと思いますが、果たしてそれでいいのでしょうか。物事を覚える速度は人それぞれで、一様に皆同じような課題を行うことは正しい手立てなのでしょうか。
 周囲に対してやる気を終始可視化させながら、繰り返し同じ問題を解くことで知識を定着させる手立てとして、ドリル学習とは異なる別の方法を紹介したいと思います。それがBlooket(ブルーキット)という無料(ゲームモード全13種類すべて無料で使える!)で使えるオンライン早押しクイズアプリです。有名どころでいうとKahoot!という同様のアプリがあります。こちらはコロナ禍で遠隔授業を余儀なくされた教育現場において圧倒的な速さで広まっていきました。BlooketはKahoot!とほぼ同様のサービスとはなるのですが、私は授業でどちらもよく使っています。どちらも同じようなサービスだったらKahoot!だけすべてをまかなえるのではないでしょうか。答えは「No」です。

Blooketの魅力

https://www.blooket.com/

 基本的なオンライン早押しクイズは個人戦とチーム戦の2パターンがありますが、Blooketでは個人戦しかできません。一方Kahoot! は個人戦もチーム戦もどちらもできます。ではなぜKahoo! だけで事足りるのに、私はBlooketをお勧めしているのか。それはBlooketの圧倒的なゲーム性の高さにあります。
 個人戦でクイズを行うのは、教師側に、ゲーム性を生かして繰り返し何度も問題をとかせたい、というねらいがあるからです。一方児童側としては、ゲームができるし、ついでに学べるという認識が大切です。ただしKahoot! は、すでに知識がある児童の方が圧倒的有利で、毎回それらの児童が上位に安定します。苦手な児童が上位に来ることがあまりなく、繰り返し行うたびに、やる気が下がってきてしまいます。
 Blooketではこの状態が起こりにくいです。なぜなら、クイズ中にアクシデントがわざと起きるからです。例えば、邪魔が入って回答の選択肢を隠してしまったり、誰かからポイントを奪ったり、自分のポイントが半分になってしまったり、と運の要素が絡んでくるために、誰でもいつでも上位になれる可能性があります。ここが私がBlooketにほれこんだところであり、児童たちはいつBlooketをやっても、「先生もう1回やりましょう。」と懇願されます。では実際にどのように活用していくのか、紹介していきたいと思います。

教師用アカウント

https://id.blooket.com/login

 まずは教師側はアカウント作成が必須となります。ただしGoogleアカウントと連携ができますので、そちらが便利かと思います。

児童用アカウント

 児童用のアカウントは作成不要です。児童は教員から与えられた「Game ID」もしくは「URLのリンク」をクリックするだけでクイズに参加することができます。
 アカウントを作成すると、おそらくこれまでのクイズの履歴等が確認できるようになると思うのですが、一度も必要だと思ったことがないので、私は児童用アカウントは作成させていませんし、今後も必要ないと考えています。

問題の作成方法

Kahoot!などとだいたい似ています
  • 「Manual」→ 手入力で1問1問作成していきます

  • 「Quizlet Import」 → 「Quizlet」からデータをインポートできます。

  • 「CSV Import」 → ExcelのCSV形式でデータをインポートできます。

 左上「Create」をクリックすると、写真の画面が表示されます。「Creation Method」にて問題の作成方法を選ぶことができます。私はExcelで作成し、Blooketにインポートしています。そうすることで、そのExcelデータをKahoot! 問題作成用Excelファイルにコピペし、BlooketにもKahoot! にも同じ問題を作成することが簡単にできるからです。

作成した問題はこのように表示されます

https://dashboard.blooket.com/discover?s=TadashiSAKUMA

Host(同期型早押しクイズ大会)

 同期型というのは、開始時間と終了時間が全員同時ということです。時間を全員で同期するわけです。授業の時間に一斉に始まって、終了時刻は一斉に終わりとなります。一番使う頻度が多いと思います。

全13種類 (2023年8月現在) のLive Game Modeが選べる(すべて無料)

Assign(非同期型早押しクイズ大会)

 非同期型というのは、開始時間と終了時間が全員バラバラということです。時間を全員で同期しないわけです。自主学習や宿題など進度がバラバラの時に、1日などクイズの開催期間を設け、その時間の間ならいつでも自分のタイミングでクイズに参加できるよ、ということになります。

全7種類 (2023年8月現在) のHW(Home Work) Game Modeが選べる(すべて無料)

参考(クイズ大会開始から終了まで)

 問題選択画面から「Host」をクリックします。今回はとりあえず「Gold Quest」を選択します。細かいルール設定の確認(各ゲームモードの詳しい説明は別の記事で行います)をしたら、「Host Now」を押して教師用ロビー画面が出てくるまで待ちます。

 児童が教員から与えられた「Game ID」もしくは「URLのリンク」をクリックすると児童側のロビー画面が表示されます。
 ここではニックネームの入力画面がまず最初に表示されています。今回は例として動画を上げておりますが、私はこの画面を強制スキップさせ、ニックネームは必ずコンピュータが勝手に決めたランダムな名前にさせます(教師側の設定で簡単にできます)。Blooketはゲームによっては他のプレイヤーからポイントを無理矢理奪うことができます。そこで特定の児童だけに集中攻撃がされないように、誰がどのニックネームなのか分からなくさせる必要があります。最後にランキングが表示されるのですが、クラスの中の誰がそのニックネームなのかは本人が申告しないと分かりませんので、正体明しも含めてゲームの中に取り込むと、かなり盛り上がるのでオススメです。

 児童側にてニックネーム画面の次は、アイコン選択画面へと移ります。ここではログインできた順から早い者勝ちでお気に入りのアイコンを決めていきます。アイコンは人と同じものにすることができないので、児童はみなお気に入りのアイコンをとるために、急いでロビーに入ります。

 アイコンを選ぶことができたら、教師側でスタートが押されるまで児童は待ちます。ただここで待っている間に右端のゲームのコントローラーボタンをクリックすると、クリッカーゲーム(チャリ走みたいに、タイミングよく画面をクリックして障害物をよけていくゲーム)ができます。これをやっている間は児童はとにかく夢中です。
 授業中にこういったただのゲームをやらせていいのかと思われる方もいるとは思うのですが、こちらのゲームはあくまでもオマケです。ですが児童用PCで不具合があったときに、このゲームの本当の狙いが最大限に生かされます。こちらをプレイさせている間は、教師は不具合があった児童に個別の対応をすることができるのです。もしこのゲームがなくて、児童らは教師が特定の児童の不具合が解決するまでの間、両手をそろえてお膝の上に置き、背筋をピンと張って、何もせずに待っていられるでしょうか。とてもではありませんが、ほぼ我慢できないと思います。そこでこのゲームの存在価値が高まるのです。慣れてきたら教師がすぐにスタートが押せるようになります。それまではBlooketに慣れる期間だと思って、どんどんクリッカーゲームも遊ばせます。

 いよいよクイズ大会が始まります。ですが最初は必ずルール説明から入ります。児童用の画面にはルールが表示されませんので、教師側の画面を大型モニタなどに移す必要があります(教師側の設定であらかじめ表示させないこともできます)。私は、基本的に新しいゲームをやらせる場合でも、この説明画面は表示させません。児童がなんとなく英語を見ながら、適当にやっていく中でルールをつかんでいきます。繰り返し行うことで、近くの友達同士でそれぞれが理解できているなんとなくのルールを補完しあって、ほとんどの児童が問題なくゲームを進めていくことができるようになってきます。

 さていよいよクイズ大会スタートです。今回のゲームモードは「Gold Quest」です。プレイ動画を見て、Blooketのゲーム性の高さはやはり目を見張るものがあると思います。正答すると宝箱を3つの中から1つ選ぶことができ、中にはお金や、モンスターなどが入っているため、お金が増えたり減ったりします。また誤答してしまうと次の問題が表示されるまでに3秒程度遅延が発生します。どんどん問題に正答してお金を増やしたいのに、なかなかうまくいかないために、しっかりと正答しようという気持ちが芽生えていくのも大変魅力的です。
 以上がBlooketの基本的な活用の流れとなります。ここまで目を通していただくとお分かりになるとは思うのですが、Blooketが基本無料にもかかわらず日本においてあまり使用されていないのは、日本語に翻訳されていないからだとも思っています。ですので私が実際に児童とやってみて見えてきたことなども含めて、主に日本の先生方に向けてBlooketの説明をこれからさせていただきたいと思います! よろしくお願いします。

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