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つんどく東京タワー

こんにちは。忍野です。漫画家をしています。
『かけないふたり』という漫画を描いています!

気ままにロケハン記や読書録、その他を書いていきたいと思います。
期待はしないで適当に読んでください。
あとは、『かけふた』に絡めていろいろ考えていることもあり、記事内で突然『かけふた』が出現するかと思います。よろしくお願いします。

初回はロケハン記です。舞台は六本木。
それではどうぞ。


今日、六本木にロケハンに行きまして
何度か訪れたことはある街ではあるのですが、あまり印象には残っておらず…

とりあえず必要な写真資料は駅周辺と蔦屋書店でしたので、その辺を写真に収めつつ六本木ヒルズ方面に向かおうとすると、「文喫」というお店が。

実は六本木の書店について事前に調べていたため、文喫というお店があることは知りつつ、場所までは把握しておらず行くつもりもなかったのですが、本当に駅から歩いて30秒くらいの場所にあったので「おーここか」と思いまして興味を惹かれました。
ただ、とりあえずロケハンが先でして、時間も限られていたので一旦蔦屋書店を目指しました。

六本木の蔦屋書店はけやき坂を下った先にあるようで、ブランド店が軒を連ねるヒルズ内を抜けてけやき坂を下ります。
時刻は夕方で、来慣れない街の感じもあって新鮮で楽しかったです。時間があればもう少しゆっくりしてもいいかもしれませんが、私がゆっくりする街では多分ないと思われますので、このくらいがよいのだと思います。
履いてきた靴が、あまり好みの見た目ではないのにも関わらずちょっと足が痛くなって、売り飛ばしてやる…といったことを考えながら蔦屋書店に到着しました。


六本木の蔦屋書店さんです。

あ~~~、好きな雰囲気です。ただ、品ぞろえに関しては事前に調べていたこともあって、いわゆる普通の本屋さんとはおそらく少し異なるのだろうと思っていました。中にカフェもあって、素敵な空間ですね。コーヒーの匂いがしていてそこに本があるというのは楽園です。
見た感じ、品ぞろえがおしゃれでした。割と雑誌が前面に押し出されていて、それから多くのビジネス書もあり、土地柄なのかななどと。おしゃれな雑誌の表紙がとんでもない品ぞろえで並んでいた…というよりも出迎えてくれたので、この書店の場所づくりのコンセプトみたいなものが感じられるようでした。
コミックスコーナーは比較的狭く、厳選されているもようでした。
その中で、コミックスコーナーの一角に「ふしぎなふたり」という特集がありまして。そこには『カラオケ行こ!』と『違国日記』と『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』が並んでいました。(うろ覚えです。多分この3作品だったはず…)
それを見ながら、『かけないふたり』がその並びにあることを想像しました。
どこかの世界線でそれがかなったらいいなと思いましたし、きっといつかかなうだろう(楽観的思考)という気持ちで蔦屋書店をあとにしました。

(↑想像した図………)


ちなみに、雑誌コーナーでテンションが上がってきてしまい、元々欲しかったブルータスの「一行だけで」のやつと、あとは「ダヴィンチ」と「群像」も買ってしまいました。おそらくこの時点で、本を爆買いしたいタガが外れれたんだろうと思います。

本当はこの日、ZARAで下調べした服を試着して買う予定だったのですが、さらっと見て全部似合わなかったので何も買わなかったのです。こうなったら今日はとにかく本を欲望のままに買いたい。という気持ちがムクムクと湧いてきました。六本木は欲望を喚起するパワーがあるのかもしれません。
六本木ヒルズから駅に向かおうとすると、夜の街に東京タワーが。
め…めっちゃきれい!!

思ったよりずっときれい。なるほど、と思いました。
やっぱり東京には東京タワーなんだなという気がしました。

自作の中でスカイツリー周辺を舞台に設定しておりますので、スカイツリー近辺には何度も足を運んでおり、スカイツリーも近くからも遠くからも、昼も夜も何度も見ています。
私はスカイツリー周辺が好きでして、というのも水運の街が好きなんです。
あの辺りは隅田川を中心に暮らしが組まれた街なので、歩いてみるとあっちこっちに橋があって水辺があって、まあ澄んだ川ではないのでそういった意味でのさわやかさはないですが、東京の下町の歴史と、隅田川の水運の文化が色濃く残っている不思議な雰囲気の街で、なんだかとても好きなのです。


そんな街に燦然と輝くスカイツリーなわけですが、結構無骨なんですよね。
シルエットもシュッとしているし、色もシルバーだし。何度かライトアップされたスカイツリーも見ていますが、それについて特に何かをあまり感じなかったです。(まあ毎回ロケハンで歩き回って疲労困憊なだけかもしれませんが……)

ただ、今回東京タワーをみてみて、なんだかとても心にぐっとくるものがありました。

ブレブレですが。これがいいんです。

真っ赤じゃないんですね、東京タワーの灯りは…
ほの淡く、オレンジと赤の光がふわっとしていて…
これはスカイツリーを何回も見てきたから思ったことかもしれません。
スカイツリーの灯りはもっとくっきりとした印象で、なんといったらいいのか、燃費がよさそう。でも東京タワーの灯りは燃費のわるそうな、人情的な灯りなのです。ああ!赤提灯!!赤い提灯の灯りみたいな、あんな色です。
初夏の風が通り抜けるのもかなり心地よく、その中で東京タワーの灯りをしばし眺めました。とてもよかった。デジカメで撮った写真もとても気に入っているのですが、これは肉眼でみたときのなんとも言えないきれいさがやはり感覚として上回るなと思います。情緒的でした。

さて、東京タワーきれいだったなーと思って六本木駅に向かうと、冒頭の文喫が目にとまります。時刻は19時20分で、20時閉店、入場料がかかる本屋さんだったので少し迷いましたが、好奇心で入ってみることにしました。

入ってみると、フリードリンクがいただけるとのことで、LOギリギリの時間でしたがアイスコーヒーを注文することができました。
文喫さんは、入場料を支払えば、書店内にある本はどれでも自由に読むことができ、気に入った本があれば買うこともできるというシステムです。
とりあえず喉も乾いていたのでアイスコーヒーを飲もうと思ってミルクを入れて奥の席に座り、あと30分しかねーーーと思いながらコーヒーを一気飲みしました。うますぎる。アイスコーヒーがめちゃくちゃ美味く感じて、もうこの時点で私の満足度は入場料の元をとったといっても過言ではありません。アイスコーヒーをがぶ飲みしながら、私はその空間にとてもわくわくしていました。と、同時に、ロケハンに来てよかったことや、『かけふた』の主人公、永作についても思いを馳せていました。

コーヒーを飲み切ると立ち上がり、本棚のコーナーに移動します。
もうワクワクがとまりません。でも時間が限られているので、気になった本だけをピックアップしていきます。気になるな、と思った本はいくつかありつつ、今回元々取材として確認したかったコミックコーナーを確認しました。そのセレクトもなんというか…面白かったです。納得感のあるセレクトというか。そこでぱっと目に飛び込んできた「ストップ!ひばりくん」。もう一瞬で買うことを決めました。そのあと、「乱と灰色の世界」。この作品は元々友達が持っていたのを見せてもらったことがあり、好きな絵柄だなあと思ったその時の記憶などが溢れたのと、パラパラ見ていたらあまりにも好みの男が出現したので買うことを即決。そのあと、建築やアニメーションなどのコーナーで「映像研には手を出すな!」を見て即決。本に対する底のない欲のようなものが溢れ、気になったものを全て買うモードに。手に取りながら、「私は本が読みたいより『本が欲しい』のだ」と気づきました。文喫は本を読めます。時間は限られていましたが、別にそこで読むことだってできました。立ち読みできました。でも欲しかったのです。持って帰りたかった。そんなこんなで、思うがままに本を買いました。重たい袋に腕は悲鳴を上げ始めていましたが、多幸感と高揚感に満ちていました。

その帰りにブックファーストさんを見つけて立ち寄りました。すると、その店内が、書店員さんのおすすめなどが結構いっぱい企画してあって…!
この機会に…と思い、色々と気になったコミックスを購入しました。これらについては、また別記事で紹介したいと思います。
ここでもそこそこの数を買ったので、腕にかかる負荷はそこそこのものになっていましたが、帰路につく私は、概念によってものすごく魔力めいたものが強まっているように感じました。

本を読むことは皆様にとってどのような立ち位置でしょう?また、本を買うことはどのような立ち位置でしょうか?

私にとって本をたくさん買うことは、おそらく魔力のようなものを総合的に底上げすることな気がしていて。それは手に入れただけで魔力を発揮するのだと思います。例えば着たい服をたくさん買って帰る日、まだ着ていなくても、それを着ている自分のイメージへの期待や高揚感が魔力となって自分を強くしてくれるような気がしませんか?
本を買うことは視覚的にも期待度的にも重量的にも満足度が高いと感じました。魔力が充填されていく感じです。
本を読むことも好きで、そこにも高揚感がある(私は本を読んで興奮するとアドレナリンで手が震えます。)のですが、その高揚感は魔力とはちょっと違います。積読にはそれだけでパワーがあるのです。そこにそれが大量にあること、そのことが魔力になり、そこから充填できるパワーのようなものがあるのです。
いまの話をしていて、『かけふた』の読者の方の頭には、だんだん誰かの姿が浮かんできた頃かもしれませんが…そんなようなことを思った一日でした。

ロケハンに行ってよかったな。かなり気持ちよく、本当に欲しい本全部買う感じの「本だけの散財」をしました。六本木は欲望の街ですね。

今度は文喫さんに好きなだけこもりたいな~という気もしたので、いつかまた六本木に赴きたいなと思います。それでは。

忍野


おまけ 写真アーカイブ

あまりにも白々とした灯りが良かった日比谷線
iPhoneで撮った写真。輪郭がくっきりしています。これも良いですね。
デジカメで夜景を撮るとこのようになりがちですが、これが好きなのです。
めちゃくちゃ好きな写真です。記憶の色をした写真ですね。

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