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やるせない~ルックバックをみた~

原作は藤本タツキの同名漫画、ジャンププラスで公開された時は恐ろしいほど話題になったのはそんな昔のことのようには思えない

私も発表された当時にみてやるせない気持ちになったのをよく覚えている
そして、今回映画になることが発表された時も、映画館で何度予告を見た時も、みたいけど絶対やるせない気持ちになるな、と思っていた
そして実際観たら本当にやるせない気持ちになっているので、感想を書いていこうと思います……

※ネタバレあり※

いつもの如くグラシネ、ありがとう 久しぶりにべスティアのロゴみて嬉しかったです(感想)

本当に、全体としては藤野と京本の青春物語なので、2人の挫折と出会いと、憧れと嫉妬と、希望と絶望と、本当にいろんな思いが交錯する物語で綺麗で楽しくていいんですよね
初めてふたりで出かけた日に「私を連れ出してくれてありがとう」っていう流れとか本当に綺麗で……
2人で夢を追いかけて楽しく過ごして、でも京本が新しい夢をみつけることでそれぞれ離れていくことになって……
まぁそうなのよね、小さい頃のふたりのままで、ずっといられるわけはないので……
その時の藤野の強がりと、それでも自分で決めたことを貫き通す京本の意志の強さを感じていいんだよなぁ
このふたりの決別がちゃんといつもの道なのがいいんだよな 2人の意思で決めてる感じがして……

そうしていろんな苦労もありながら頑張る藤野が有名になってきたら藤野が事件に巻き込まれてなくなってしまって。
ちょっと藤野が「京本がいたらよかったのに……」と思ってそうなタイミングで事件が起きてそうでより藤野にダメージがおおきそうで本当に辛い……
藤野の遺影が高校の制服なの、藤野はちゃんと高校行けてたのかな……
大学入ってからは写真撮ってなかったんだろうな わかるよ まともな写真取らないよね大学入ったら……

可哀想なくらい真っ白な顔で京本の家にいく藤野、自分が京本を家から出さなければ……って自分を責めてるのが辛すぎるし、出てこないでよって思ってるのもすごい切なくて……
でもさぁ……京本は藤野が連れ出したからこそいろんな体験出来たし、幸せだったんじゃねぇの……?
家を出なかった京本を誰も知らないけど、家で一人で絵を描いているより、藤野とすごして夢と希望を持って大学に行けて、幸せだったんじゃないの……?
何が幸せかなんて誰も分からないけどさ……
事件に巻き込まれたことは結果論で、でも京本が「連れ出してくれてありがとう」と言ったのは紛れもない事実で、幸せだったはずなのよね……

いろんな「こうだったらいいのに」をさ、積み重ねて生きてきてさ、でもそうではないんだって分かっていて、京本の部屋には自分の書いた漫画が沢山ならんでてそれを読んだり京本の漫画を読んだりして折り合いをつけてでも自分は生きていかなきゃいけないの、ハチャメチャに辛いね……
京本の部屋に貼ってあった四コマの枠と、自分がサインを書いた半纏をみて、初心に戻って描くぞ、になってるのみると、どうしようもない中で覚悟決めて生きていくしかないのが伝わってきてほんとうにやるせない……
完全に深読みになりそうですが、京本と描いていた時から変わらない名前でやってるから、藤野が描き続けることで京本の名前は生き続けるし、忘れられないという十字架も背負いながら生きてそうで……藤野幸せになって……

震災後の新海誠もそうですが、創作の中で「あの時こうだったら」を描かれることにはいつも賛否両論があります
起きてしまったことは巻戻らない、創作の中でだけハッピーエンドは自己満足だ、という人もいると思うのですが、私はそうは思いません。
創作の中でも「こうであってほしかった」「起こらないでほしかった」と軌道修正をしてくれることで、悲しかった気持ちや辛かった気持ちを共有してくれるような気がするからです
もちろんそうならないことは承知の上で、それでも私達は生きていかなければならないので、「折り合い」を付けるためにも、こういう作品はすごく消費者・視聴者としての私も救われる気持ちになります

こういう悲しい気持ち、やるせない気持ちになるような現実の事件や事故や災害が起きないといいなと祈ることしかできないのですが、起きてしまった時に、寄り添ってくれる創作やその作者には心から敬意と感謝を伝えたいです

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