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保証期間から考える高級デスクチェア選び

壊れて修理に出したエルゴヒューマンプロ(以下EHP)が修理から帰ってくるまで、「もし次に新しいチェアを買うならどれにするか」を妄想しながら色々と調べてみた。

(故障、修理の顛末はまた改めて記事にします)

EHPは個人的に大満足のチェアなのでもう一度買い直すのもアリだし、あとは原点にして頂点のハーマンミラー・アーロンチェア、そして我らが日本産、オカムラ・コンテッサセコンダも競合として挙げられる。

座り心地に関しては合う合わないがあるだろうし、このド田舎ではどうやっても試し座りすることはできないのであくまで文字情報のみを頼りに考えてみる。

アーロンチェアは無重力の浮遊感が素晴らしいとよくレビューで目にするが、機能としてはEHPと違い「座面の前後調整」「リクライニング状態でのロック」「ヘッドレスト」がついていないので胡坐をかいたりリラックスする目的としてはどうかなと感じた。ヘッドレストに至ってはオプションにすら用意されていないので社外品を探すしかない。キーボードやモニターに向かって仕事をバリバリする人には最適だろうけど、私のように頻繁にリクライニングを動かしたりよく座面で胡坐をかくようなユーザーに対してはちょっと窮屈なように見える。座面の左右の反り返りも気になる。あとはポスチャーフィットが経年劣化で加水分解するという話も聞く。交換は可能だろうけど…(自分で交換できるかは知らない)

コンテッサセコンダは座面調整もリクライニングロックもついている。何より背面アルミフレームの形が個人的に一番好き。ジウジアーロ万歳!カラーラインナップがかなり多いのも特徴。
が、ランバーサポートがオプション扱いだし、色んなレビュー動画や記事を見ているとそもそもランバーサポートが弱いような気がする。個人的な話だが、腰がクソザコよわよわマンなので腰椎・脊椎のS字を死守しなければ生きていけない。そして175cm75kg元ラグビー部のガッチリ体型なので控えめなランバーサポートでは腰を支えきれないのだ。その点でEHPはランバーサポートがこれでもかというぐらい飛び出ているので、安心して腰を任せることができる。あと一つ気になったのはアームレスト下で昇降、リクライニング機構を調整できるところ。一見便利そうに見えるが通常座面下につけるものをアームレストまで引っ張ってくることでそのぶんワイヤーも長くなるので、耐久性が気になる。

重箱の隅突きすぎだろと言われそうだが、それぞれのチェアの良い所なんて無数にレビューが上がってるのでわざわざ書く事なんてないだろうし(そして実際座ると最高だろうし)、こういうことぐらいしか書く事ないんだよ。

実際に4年近く座ったEHPの「ここをなんとかして欲しいと思う部分」はヘッドレストとホコリの溜まり具合。ヘッドレストの位置、前すぎない?これ結構言われてると思う。気にならんっちゃ気にならんし、気になるっちゃ気になる。リクライニング倒して動画見てるときに段々首に違和感が出てくる。あとこれも良く言われるしEHPだけの問題じゃないとは思うけど、座面下の基盤カバーや背もたれフレームの隙間なんかに地獄のようにホコリが溜まる。メッシュだから特に。服の摩擦で大根おろしの要領で繊維だけが降り注ぐ。複雑な形状なので隙間が多いのでこれは宿命なのかもしれない。別に機能に不具合はないけど。

価格面から比較してみる。(2022年5月現在)
アーロンチェア:約240,000円~ 
コンテッサセコンダ:約200,000円~
エルゴヒューマンプロ:115,000円


こう見るとアーロンチェアが頭一つ出ているが、実はアーロンチェアが一番安い。

さんすうができない人なのカナ?と思われるのは癪なので、ここで各メーカーの保証期間に注目してほしい。
アーロンチェア:12年
コンテッサセコンダ:8年
エルゴヒューマンプロ:5年

上記の販売額を保証期間(年)で割ると
アーロンチェア:約20,000円
コンテッサセコンダ:約25,000円
エルゴヒューマン:23,000円

1ヵ月あたりで単純計算すると
アーロンチェア:約1,666円
コンテッサセコンダ:約2,083円
エルゴヒューマン:約1,916円

そう、つまりこれは今流行りのサブスクリプションだ。
アーロンチェアに至ってはネットフリックスと同等の価格で手に入ることになる。クソデカ先払いという条件付きで。
保証期間内、保証規定内なら故障しても(送料等を除いて)追加料金が掛かることなく使用し続けることができる。更に凄いのは、保証期間を過ぎても壊れることがなければ無料で永遠に使い続けられるということ!!(レトリックの妙)

⚠【言い過ぎもよくないので注意喚起】⚠
各メーカーによってパーツごと(シリンダー、キャスター、構造体、フレームなど)の保証期間、使用条件などの細かい差異はあるのでそれは各々のメーカーに確認して下さい。構造体は最長保証だけどシリンダーは2年、キャスターは1年、みたいなのも結構あります。あと当然ですが中古を買うと保証が効きません。「オフィスチェアは中古で買え!」みたいな記事をよく見かけるけど、例えアーロンチェアが10万円で手に入っても数か月で壊れたらおしまいです。有償修理でまたウン万円払いましょう。1~2年は使えそうなものを4~5万円で買うのはアリだと思う。それでも販売価格の30~40%ぐらいの中古じゃなければ新品買った方がいい。
ハーマンミラー保証規定(PDF)
オカムラ保証規定(PDF)
エルゴヒューマン保証規定


腰痛や肩凝りのせいで月々に払う金額と比較して欲しい。
毎月通う整体や病院代はいくら?湿布はどれだけ買った?
効き目のない凝り解消グッズをあといくつ積み上げる?

デスクワークによる身体の痛みを解決するために月2000円以上消費している人は、理論上これらのチェアを購入したほうがプラスになる、ということです。もちろんこれらのチェアで身体の不調が改善しない方もいるとは思いますが。少なくとも私は長年悩まされていたギックリ腰体質、そして肩凝りによるバッキバキの眼精疲労が無くなりました。有効成分最大濃度の目薬やキューピーコーワiプラスを卒業。

ただ、アーロンチェアの保証12年は長すぎるので12年のうちに環境が変わって使わなくなる可能性も否定できない。まあ売っちゃえばいいと思うけどね。これからどんどんオフィスチェアのニーズは増えていくだろうし、販売価格も上がっていくことでしょう。

余談:
スチールケースという生涯保証のメーカーを見つけました。リープ作ってるとこなんだ。知らなかった…
シリンダーですら12年保証。驚愕。はえ~~と思いながら見てたらジェスチャーというチェアの販売ページに気になる箇所が。

シビアコンディションでの使用…
過度の負荷が加わった場合…

臭うぜ…

濁した表現なのちょっと怖いよね。故障する時って大体過度の負荷が加わった時じゃない?金属疲労するような蓄積された負荷とは別の意味なのかな?真偽はよくわからないので本家の保証規定(英語PDF)をしっかり読みましょう。本家に問い合わせてもいいかも。生涯保証はそれだけ自信あるってことだからユーザーとしても安心して買える。座り心地に関しては知らん。ただこれもリクライニング時のロックが無いんだよなあ。ロックが無いとリクライニングして寝る時にバネの反発力が背中→お尻に伝わってお尻が段々と前にズレてくるんですよ。だからやっぱりデスクワークバリバリやる人向けなのかも知れん。それにしても生涯保証はすごい。実質無料って事でしょ?みんな実質無料好きだもんね。

あと、最近話題?のCofo Chair。見た目がまんまEHPで更にオットマンが付いてこの価格。クラファンで2億調達ということで話題になっているようです。保証も3年付いてる。コスパは高いほうだけど、個人的には初期ロットのうちは避けといたほうがいいと思ってます。不具合報告もちょくちょくあるみたいだし。ハーマンミラー、オカムラ、エルゴヒューマンは幾度も改良を繰り返されたうえで今の製品があるわけで、まだユーザーのフィードバックが充分に揃っていないメーカーはちょっと不安に感じます。それでも保証を3年付けたのはエライ。3年後にメーカーが無くなってたりして。
こういう新興のメーカーでPR費にドカンと金つぎ込んでレビュアーに商品配りまくりのクーポン配りまくりで最大瞬間風速狙うやり方は経験上様子見しといたほうがいい気がする。真価は3年後ぐらいにわかってくるんじゃないかなあ。
2億円分も台数売って万が一不具合出た時にサポートがちゃんと行き届くのだろうか。似たようなのでグロウスピカってのもあるようですが、これもクラファン系。新規参入するにはクラファンが手っ取り早いのかしら。話題が話題を呼ぶもんね。

バケットシートを模した所謂ゲーミングチェアと呼ばれるものも色々種類あるけど、ほとんどが保証1年とか。座ったことないから何とも言えないけど、なんか割高に感じてしまう。合皮破れたり蒸れたりしないのかなアレ。

長くなりましたが結局何が言いたいかというと、チェアを選ぶ時に座り心地や見た目の好みも大事だけど、価格と保証期間のバランスも見たほうがいいんじゃないか、ということです。レビュー記事色々見たけど保証期間から見るチェアの選び方を詳しく書いてる記事があまりなかったので書いてみました。


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