雑記 2017.1.28

 自分が1人なのだと思い知らされる夜、指先を突いて出てくるのは「死にたい」の4文字だ。
 自分のせいで失った友人の数を生々しく数え、新しい縁を掴むことの出来ない無力さにひとり言い訳を並べたり受け入れた素振りをする。

 なんにもなかった頃。
 希望がひとつもなかった代わりに、掴みかけて失った希望への後悔の念も知らなかった頃。自分がこれほど無力でどうしようもない存在なのだとは思っていなかった頃。
 僕は死にたいと口にしながら同時に好きなことを好きなだけ考えていた。現実から逃げるためだけにひどく空想的な死を想像したり、自分がまったく違う 世界に飛ばされる夢を見たりしたものだ。

 最近僕は現実逃避のための夢を見られなくなった。あんなにご馳走みたいに思っていた"空想"という趣味が、酷くつまらなく薄く乾燥し枯れきって味も香りもしないスルメイカの切れっぱしみたいなものになってしまった。
 "空想"に逃げ込んだところで現実は常に追いかけてくる、という事実はさすがに馬鹿の僕でも分かっていた。けど夢中で空想している間だけは少なくとも現実を忘れられるくらいの力が前はあった。言うなれば脚力だ。後々追いつかれはするのだけど、一時的にでも僕は現実を振り切って逃げ続けることが出来た。

 夢中で走ることが出来た。

 僕は今、脚に力が入らない。
 「今」なのか、「もう」なのか。

 僕は、怖い。


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