「毒リンゴ」

B：白雪姫！そのリンゴは毒リンゴだ！！
A：毒リンゴ！？
B：意地悪なお妃さまがリンゴに毒を仕込んだんだ
A：まあ、なんてことを！！
B：でも大丈夫。毒消しにうってつけのものを持ってきたから
A：毒消しにうってつけのもの？
B：ワサビだ
A：ワサビ！？
B：ワサビには毒消しの作用があるんだよ
A：ワサビをリンゴに塗って食べるの！？
B：そうしないと白雪姫は毒に侵されて死んでしまう！！
A：リンゴを食べないという選択肢は！？
B：さあ遠慮せずたっぷりとワサビを塗るんだ
A：え、ちょ、ちょっと

C：まったく気が利きませんね
A：誰？
C：こいつと同じ家に暮らすコビトの1人です
B：遅れて来たくせに気が利かないとはどういうことだ？
C：「どういうことだ」はこっちのセリフです
　　リンゴにワサビをつけたものなんて食べられやしないでしょう
B：あっ、そうか！
A：あなたにもお聞きしたいわ。
　　これが毒リンゴだというのは本当ですか？
C：本当です
B：毒消しにワサビが効くというのも本当だよ
C：そこで……
A：そこで？
C：これをお使いください、白雪姫様
A：なんですかこれは
C：醤油です
A：醤油！？
B：ワサビ醤油だね
A：ワサビ醤油！？
B：さあ遠慮なくお召し上がりください
A：ど、毒リンゴにワサビ醤油をつけて食べるのですか！？
C：白雪姫様、そうしないと毒に侵されて死んでしまいます
A：だからリンゴを食べないという選択肢は！？

D：お前たちはそれだからダメなのじゃ
A：今度は誰！？
D：こやつらと同じ家に暮らすコビトのじゃ
C：ダメとはなんですかダメとは
B：せっかく親切にしてあげてるのに！
D：考えてもみよ、白雪姫様はお城のお姫様じゃ
　　普段からおいしいものを召し上がっておられるのだから
　　お姫様のお口に合うものをお出ししなければ
B：そっか！
C：なるほど！
A：そ、そういう問題では……
D：白雪姫様。ワサビ醤油だけでは物足りなくお感じのことでしょう
　　付け合わせのスライスオニオンとマヨネーズをお持ちしました
A：スライスオニオンとマヨネーズ！？
B：わあ！すっごい！僕こんなお上品なごちそう見たことないや！
C：みっともないからおやめなさい
B：……はぁい
D：ささ、これできっとお召し上がりやすく……
A：ですからこの毒リンゴを食べないという選択肢は！？

E：まったく様子を見に来てみれば案の定
A：また増えた！？
D：案の定とはなんじゃ
E：ちゃんといいものを持ってきたぜ
B：漬物樽だ～
C：なるほど、これで毒リンゴをワサビと一緒に漬け物にするのですね
E：来年の春にはいいリンゴ漬が出来上がってるぜ～
A：だから食べないという選択肢はっっ！？

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