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銭湯にもたれてふける 第6回谷町6丁目「いろは湯」って題にしようとして出来なかったやつ

、「練習、訓練、鍛錬」、「自信のない自信」、「頼らないと頼られなくなるよ」、「ダメ、クズ、使えない」、「どうしたいの?」

ここ1ヶ月で、頭の中を駆け巡っている一節だ。知り合いが発した言葉や、誰かからかけられた言葉、自分が思った言葉たちが連なって、私の心をぎゅうぎゅうに締めてくる。「行間の遊び」「余裕」「ヘラヘラフラフラ」に重きを置く自分には相当なストレスがかかり、少し前から患っていたパニック発作の回数がとんと増えた。仕事中は当たり前、大事な打ち合わせ前にもドクドクと心臓は脈打ち、手の震えが止まらなくなる。うまく話せず、思った通りの結果にならないことが増えた。

いわゆるリーダーのようなポジションについて数ヶ月。結果は散々だ。昇給してさあやるぞとなった途端にこれ。少し前まで会社を立てようなんてカッコつけていたが、マネジメントも、現場の仕事も、思うようにいかない。今は誰かに言われたことを、できませんといえずに、朝も夜も休みの日も少しずつ手をつけている状態だ。

一気にガッと進める自分のやり方ができず、効率の悪い時間が続く。あれもやらなきゃこれもやらなきゃ、と、寝る時間も不安で、目の下のクマは日に日に大きくなる。周りに助けを求めることが出来ず、「頼らないと、頼られなくなるよ、信頼がなくなるよ」と、後輩から叱責された。

経験、実績共に浅すぎる私にとって、風呂に入って芽生える「自信のない自信」は、生活を営む上で重要な要因の一つと言える。仕事をするときも、普段なら感情の向くままにやっているのに反して、これがこうでこうでこうなんじゃないか、その自信をなんとか保つために、ガリガリとホワイトボードに書き出す。何回もボードを裏返し、「違う違う、そうじゃないー」と往年の名曲を口ずさみながら、液状化した自信を掴みにいく。

今まではそれでなんとかやってきた。多少強い相手でも、ホワイトボードを使って訓練して、周りからサポートを受けて倒せるところまでできた。ただ、今は公私混同でうまくいかなくなっている。何をしても悪い方へ進み続けている。金はなく、部屋は荒れ、何を食べても美味いと思えない。仕事も何にも出来ない。言葉が出てこない。

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ここまでが2022年8月15日までに書いた内容だ。久しぶりにお風呂の記事が書きたくなって、飲み場の近くにある銭湯で一風呂浴びて、すぐに飲み場に戻ったよ、気楽な場所だよねぇなんてことをつらつら書こうなんて思っていたのに、途中まで書いて気分が悪くなり、そのまま不貞寝したのを覚えている。ひとつき前から昨日まで上の状態が続き、毎年楽しみにしていたM-1の1回戦のダイジェストなんか見られず、もっと楽しみにしていたKOFの決勝進出予想も全くできず、カネコアヤノのワンマンにも行けず、全ての出来事が「〜ない」の否定で片付いてしまう毎日だった。

心から笑ったの、いつだったか。落ち込んだ気持ちを紛らわすために、誰かがいる場所に酒を煽りに行き、不安と向き合う時間を強制的に減らす。毎朝、大荒れした自宅の部屋を見ては、おぼろげな記憶だけが残る夜のことをさらに後悔させた。てれこに散らばった靴下を眺めて、気分が悪いまま家を出る。

仕事は楽しいはずだったのに、社員は優しくて、手助けしてくれて、私も彼らを頼って一緒に痺れるようなものを作りたい、なんだったらプライベートでもガンガン遊んで欲しいと心から思っているはずだのに、なぜ体はついてこないのだろうか。まだこの場所にいたい、「よくわかんないです、キショい」なんて憎まれ口を言われながら、ちゃんと仕事をやりきって、「あー辛かったね、とりあえずビール飲もうか」って、ウダウダ仕方のない話をしたい。ちょっとでも認めてくれる人たちが、関わってよかったって思えるように、まだまだ頑張りたい。もっと話したい。吸いも甘いも、全部受け止めてぶつかりたい。本気でやりたい。続けたい。でも、あからさまに心と体が離れていることがまたストレスになっていた。なんというか、アタッチメントがカチッとハマる感覚がなく、力づくで押し込もうとすると、壊れてしまう気がするし、かといって弱めることもできず、ずっと気持ちの悪い状態が続いていた。

その状態で仕事をするもんだから、本当に上手くいかない。なんてことない依頼が、この人は私に激怒しているんじゃなかろうか。叩くキーボード、一度誤字するだけで、こんなこともできない私はいらないな。お褒めの言葉を頂いても、その期待に答えられるはずがないと、さらに自身を不安にさせる。

とある日、頻度が増えていたパニック発作を治めるために、非常階段で座り込んでいると、先輩社員が声をかけてくれた。「大丈夫か?」のたった一言で、心は粉々にすりつぶされた感覚になり、その場で号泣してしまい、また、立ち上がれなくなった。それから、何人も私に駆けつける。その優しさがますます私を傷つける。

また少しして、今度は泣いて良いのか笑って良いのか、どの感情を表現すれば良いのか分からなくなって、最終的には何も表現できない状態まで落ちてしまった。会話はできず、ただ言われたことだけに従うのみ。何も表現できない、から転じたのか、自身で選択する、という行為が辛く、膨大なエネルギーを使う。帰宅する、選択すらもう難しい。1人でいると気が狂ってしまいそう。ただ、会社に立ち尽くすだけでその日は終わり、家まで連れ帰ってもらった。

下書き、もっと書くけどとりあえずここまで、

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