見出し画像

自己啓発本は敗者の読み物

成功者はよくこう語ります。

「私はこれまでたくさんの時間を無駄にしてきました。地獄のような苦しみを味わてってきました。そして、その期間を乗り越えるべく試行錯誤して編み出した方法論をこの本に記します。読者の皆さんが本書を読んで私よりも数段早く成功することを願っています。」

別にこう言った趣旨の発言を「偽善だ」などと咎めるつもりはありませんし、作者の想い自体は本物なのだろうなと思います。
しかし、そう言った本を読んだからといって、読者が100%成功するわけではありません。なぜノウハウを知ったのに成功できないのでしょうか。なぜ作者の語るメッセージに痛く共感したのに作者と読者との間には、天と地ほどの差が依然としてあるままなのでしょうか。
それは、作者が経験してきた“無駄な時間”だとか“地獄のような苦しみ”を乗り越えるときにあった紆余曲折や試行錯誤が次のステージへ上がる為のエッセンスであるにも関わらず、読者は本を読んだだけでその部分をショートカットしようとしているからです。だからいつまで経っても同じ場所にいるし、短絡的で浅慮のまま小手先のテクニックだけで現状を打開しようと必死なフリだけを一人前にしている。この差なんです。誰かが身を削って出した方法論をコピーアンドペーストしたくらいでは生活なんて変わらないんです。仮にそれで一定の利益を出したとしても、利益を出し続けるとなると途端にわからなくなる。その実が伴っていないから、自分で考えて行動していないから、他人任せに生きているから、そうなる。身の程は遅かれ早かれ問われることになる。そこで何をできるかが真の実力なんです。
見聞きしたことを鵜呑みにするのではなく、自分がどう思ってどう感じて、じゃあ何をするのかが重要。ここが根を張っていないと、簡単に世論に流されることになります。世論に流された後で立ち行かなくなっても、誰も責任なんか取ってくれないし、結局、誰も責任なんか取れないんです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?