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39歳男、初海外、初インドに勢いで行くとこうなる。3日目


今は日本宿のリビングでゴロゴロしている。
そう。私は軽い熱中症になってしまったのだ。

なんせインドは現在一年で1番暑い時期で40度を超える暑さ。昨日、炎天下の中、観光をしていたので、かなりダメージを受けていたようなのだ。

ゴロゴロしているが僕の他にもゴロゴロしている人がいる。

一人はスキンヘッドで長い顎髭を蓄えているにもかかわらず、眉毛のない殺し屋みたいな目をしている30代くらいのお兄さん。
もう一人はシンプルな50代のおじさん。
そしてまたぽっちゃりした店員の30代くらいのお兄さん。
20代くらいの店員のおねぇさん。

そうここは日本人宿。全員日本人なのだ。

昨晩23時頃に訪れた時、ぽっちゃり店員さんが迎えてくれたのだか、もう日本人に久しぶりに会えた感動と安心感ったらなかった。
嬉しさで必要以上にベラベラ喋ってしまったが、ずっとインド人とコミュケーションをとっていたせいかイエスタデイとか、トゥギャザーとか、節々に英語が混じり、往年のルー大柴状態になってしまった。

ドミトリー式の部屋に入ると6畳のワンルームに2段べットが3つあり、それぞれに殺し屋さんとオジサンがいた。
昨晩は皆さんもう眠かったのか、無愛想なのか、軽く挨拶すると何の反応もなく、めちゃめちゃギスギスしてたらどうしようと思いながら次の日を迎えた。朝食を取るため、一つ上の階のリビングに移動する。リビングのドアの開け方に戸惑っていたら、あの殺し屋が中から開けてくれた。
いい殺し屋である。殺してないのかもしれない。



朝食はパンとチャイとオクラのスープ。
ここ数日こってりしたものを食べていたので
このオクラのスープは染み渡った。

そんなこんなで、食べ終わるとみんなエアコンの効いたリビングでおのおのゴロゴロしている。
体調云々関係なく暑いから外に出ないのだ。初めはせっかくの1日がゴロゴロで終わるなんて…などと思っていたが、これはこれでなんかいい気がしてきた。なんかフリーダムな感じがすごくいいのだ。観光せな!という気持ちもほどほどでいい気がしてきた。インドにハマる人はこのゆるゆるした感じにハマるのではなかろうかと思った。

14時くらいになり、体調も少し戻ってきたので昼食をとりに出かけた。
おじさんおすすめのカレー屋に向かう。

そこで食べたチキンカレーは僕のインド暫定一位の美味さだった。満足して宿に帰るとおじさんがラッシーを買いに行くというのでついて行った。

オジサンはインドに来るのはもう5回目でいろいろと教えてくれた。
電車の乗り方のレクチャーもしてくれるというので、歩いてすぐの駅の中に入る事になった。非常にありがたい。

10番線くらいあるのだが、それぞれに電光掲示板があるから、チケットと同じ番号の表示を見つけて電車に乗ればいいと教えてくれた頃についにきた。この国の洗礼がついにきた。お腹ピーピーの合図だ。

これは完全にさっきの暫定一位のカレーの効能である。しかも急にくるタイプのヤツである。もう電車の乗り方所ではない。オジサンにその旨を伝えて駅のトイレにダッシュした。するとなんて事でしょう。3つの個室に対して5人のインド人が待っているではないか。もちろん全員が終わってから入ったのではもう間に合わない。申し訳ないが、私は意を決して、盛大なるお腹ピピーアピールを決行した。
顔はくしゃくしゃにして、お腹をさすり、「ピーピーピーピー!」と大声で叫んだ。下痢の効果音が万国共通である事を願うしかない。

すると個室が一つ空いた。次の瞬間、全員が僕に「行け!」と言ってくれるではないか。
同志たちよ…俺は君たちの事一生忘れないよ。

「サンキュー!!!!」と叫びながら個室に駆け込んだ。
人は心から感謝すると、パンサー尾形になってしまうのかもしれない。

でもよく見ると便座がねぇ!あった形跡はあるのだが、もう細かい事は言ってられない。そのまま陶器の座った事のない部分に座って事を終えた。

だがこのままでは終わらない。
インドのトイレ事情を皆さんはご存知だろうか。
インドではトイレットペーパーを使わない。
ではどうするかというと、バケツに水が貯めており左手でお尻をお掃除するのだ。
これがインドに来る前にあらかじめ、知っていた情報。
ただ実際はホース型のウォシュレットが備え付けられてる事がほとんどだった。そのホースを持ってお尻に当てて綺麗にすれば手を汚さずにすむのだ。安心して過ごしていたのだが、なんとここのウォシュレットは壊れているではないか。
そして目の前には水の入ったバケツ。


僕はこの日、インド人になった。

一難去ってまた一難。
今度は流し方がわからない。トイレの流すレバーが根本から壊れているように見える。コツか何かがいるのか、試してみるも、うんともすんともいわないのだ。
僕はこの国では外国人。わからない事もあるのは仕方ないじゃないか。最大限に自分を正当化した私は心を鬼にしてそのままブツを放置してトイレを後にする事を決めた。
インド人よ許しておくれ。

トイレから出るとオジサンが待っていて「私もお腹の調子が悪くなってきたので行ってきますね!」とトイレにダッシュしていった。まずい。許してもらうべきはインド人ではなくオジサンの可能性が出てきた。1/3の確率でそれは起こってしまう。
トイレでみんなに順番を譲ってもらい、したらしたで放置したまま逃げてきて、その後、親切にしてくれた方に排泄物をプレゼントしてしまう。

僕を最下位にする為だけに、カースト制度が復活してもおかしくない状況である。

トイレから出てきたオジサンが無事だった事を祈りつつ、駅を出てラッシーを買いに行った。

宿に戻り、最後のゴロゴロをし、20:05発の寝台列車の時間が近づいてきたので宿を後にする事にした。
殺し屋にももっといろんな話を聞きたかったのだけが心残りである。
ちなみにおじさんいわく、四ヶ月前からいるらしい。期待を裏切らない流石殺し屋。
何泊かしてもよかったなとおもいながら駅に向かった。

インドに来て初めての電車である。
デリーからワラナシは866キロ。
東京〜広島間と同等と考えるとえらいもんである。13時間後の早朝6時には着く事になっている。

ニューデリーの駅
これから乗る寝台列車

駅につき、なんとか乗る電車を見つけて乗り込んだのだが、チケットを見てもいまいち、どこの席なのかよくわからない。オジサンにも昼間チケットの見方を尋ねたのだが、よくわからかったようで、「乗っちゃえばまぁ着きますから」と能天気な事を言っていたが13時間ウロウロし続けるのはゴメンである。

とりあえず手当たり次第にインド人に聞いて回り、ここだここだ!と教えてもらった席に着いた。ただおかしいのは、僕の席は3段シートの真ん中という事だけはわかっているのだが、どう見ても2段しかないのだ。いよいよなんか騙されたのか?!と思いだしていると、
下段に座ってるインド人が説明してくれた。
22時になったら真ん中の折り畳み席をだして3段にするから、それまでは下段に座って一緒に過ごせと。なるほどね〜
3段にするとそれぞれの高さの空間は70センチくらいしかなくなってしまうから納得である。

同じ席で過ごすみんな
女の子の背中に折りたたんだ私の席がある


そして22時まで同じ席のみんなと雰囲気で談笑し、床に着いた。

明日はいよいよワラナシ、ガンジス川である。

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