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賃上げ税制の概要  令和4年税制改正大綱も理解できます

はじめに

今回は、令和4年度の税制改正について・賃上げ税制について説明します。

大綱で概要が分かってきたのでコメント

新聞やニュースなどで話題になっていたので、具体的にどれくらいのインパクトがあるか伝えていきます

現状でわかっていることは、

中小企業の場合は、計算方法は今までとそれほど変わらない

控除の割合が増える

なので、まず既存の制度がどうなっているのかを改正順に説明していきます

大企業と中小企業で計算方法が変わるのですが、大企業は自分の会社で考えられると思うので中小企業についてのみ説明します

経済産業省がだしているパンフレットが分かりやすいので、本当はそれをみてもらうのが一番よいです。なので、私の方ではざっくりと手短に説明します。

令和3年12月現在の決算作業で使える賃上げ税制は

雇用保険に入っている人の給料などを集計しなければいけないとても面倒くさい制度

来年の3月決算法人からは、計算方法が簡単になります

個人の場合は令和4年分から計算方法が簡単になる

なので、改正の順番としては、

「面倒くさい計算方法」から

「簡単な計算方法」になり

簡単な計算方法の上乗せ分が細かくなり、減税割合が増える

という順番になります

改正の流れ

では、具体的に内容を説明していきます

今の面倒くさい計算方法は、すぐに終了になりますので、今回は割愛します

令和4年3月決算以後の簡単な計算方法について説明

令和4年3月決算以後の簡単な計算方法は通常分と上乗せ分の2階だてになっている

2階建て

簡単な計算方法になるといっても上乗せ分を狙う場合には少し面倒です

では、通常分から説明していきます

通常分

通常分は、雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加していることが要件

増加給料に対する15%を法人税、所得税から控除という内容に

雇用者給与等支給額とは、簡単にいうと従業員の給料や賞与のこと

ただし、役員、事業主の親族などの給与は除きます。

役員、事業主とその親族を除く

なので、図の右側の役員などの給料は対象からはずしていきます

雇用安定助成金以外の助成金を給料に充てていれば、その助成金を差し引きます

図では、上の部分を対象から外していきます

雇用安定助成金以外を差し引く

この雇用者給与等支給額が1.5%以上増加していれば適用ありの判定になる。

具体的な控除額は、図をみてください

左側は、雇用者給与等支給額が前年と比較してどれくらい増加したかを示しています。

右側は、雇用者給与等支給額からさらに雇用安定助成金を控除した給料の前年比較をしています。雇用安定助成金控除後の給料がどれくらい増加したかを示しています。

左側の雇用給与等支給額の増加額(雇用安定助成金を含んだ給料の増加額)と

右側の雇用安定助成金を除いたところでの給料の増加額を比較して、

少ない方の金額(給料の増加額)に15%をかけます。

雇用安定助成金引かない給料の比較と、雇用安定助成金を引いた給料の比較の両方が必要です。

雇用安定助成金とは、雇用調整助成金などです。使った会社も多いので忘れずに判定をしましょう

次に上乗せ分についての説明

上乗せ部分の要件は、2つあります

上乗せ分

第1の要件 雇用者給与等支給額が2.5%以上増加していること

第2の要件は、

①    教育訓練費が増加していること

または、

②    経営力向上計画の認定を受けて経営力が向上したこと

です。

この二つの要件を満たした場合、上乗せ分が10%加算され合計25%控除ができます

教育訓練費が増加しているかどうかは、簡単に理解できると思います。

経営力向上計画の認定について説明していきます

経営力工場計画の認定は経営革新等支援機関の確認が必要です

経営革新等支援機関は、商工会や会計事務所、銀行が登録していますので、

顧問税理士や取引銀行に確認してみてください

令和4年3月決算法人からはこのようになります。

ここまでが現在進行中の法律の説明でした

ただし、実際に、法人税から控除できるのは、控除する前の法人税の20%が限度になります。

なので、赤字の会社は適用できません。

また、法人税を少ししか払っていない会社は効果がありません。

最後に、税制改正大綱で変わる内容を説明していきます

令和5年3月決算法人からは、

この上乗せ分がさらに細かくなります。

通常分(増加割合1.5%の場合) 15%控除はそのままで

上乗せ分(増加割合2.5%の場合) 15%控除

上乗せ分(教育訓練費増加した場合) 10%控除

の3階建てになります

上乗せ分の要件が分けられたことにより、今までより上乗せ分が使いやすくなったといえます。

まとめ

制度としては、使いやすくなったので今まで以上に適用する会社さんは増えるのかなといえます。

ただ、法人税の20%しか使えないというのがネックです。

せっかく決算賞与などで賃上げしても経費が増えてしまうと法人税も少なくなってしまうので使える枠も減ってしまいます。なので、この制度をフルに活用するとなると細かいシミュレーションが必要になるのかなと思います。

また、会社としては、現金支出が増えてしまうので余裕がある会社さんだけ検討されると良いと思います。

日本全体をみたら赤字企業が多いので、賃上げ政策としては少し弱いかもしれません。

適用を検討している方は、早めに顧問税理士にご相談をお願いします。

自分でやってみたいという方は経産省のパンフレットを貼っておきますので、検討してみてください。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai03guidebook.pdf

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