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部活で過労死? 中学生の僕が部活を辞めた話

中高の「部活動」と「過労死」。別の世界にあるような言葉ですが、この2つが結びつくようなことがあると、報じられるようになりました。

重要な問題である一方で、こうした問題は表面だけをなぞって論じるのが難しいです。そこで、今回は中学生だった僕が部活をやめた理由についてお話ししたいと思います。

子どもも先生も過労死

部活での過労死は、子どもたちにも、教員にも、それぞれ起こっています。同じ場にいる人たちなので、当然です。


過酷な部活動が一因とみられる高校生の自殺の記事を読んで、僕は自分が中学生の頃、部活がつらかったことを生々しく思い出しました。

流れで入部した軟式テニス部で

中学に入って、いろいろな部活を見て回りました。そして、全然興味もなかったけど、友達も入るし体験入部のときに先輩がよくしてくれて楽しかったという理由で、僕は軟式テニス部に入部しました。

テニス部とはいえ、新入生はラケットでボールを打つような機会はありません。例えば、ふらふらになるまでランニング。上位に入れないと次も走らねばならず、速く走れない子が一番長い距離を走る練習方法でした。水を飲むことも禁止です。

やってみてどうだったかというと、とてもつらくて、自分が何をやっているのかよく分かりませんでした。上級生から下級生への体罰・しごき・いじめもあり、夏休みで毎日のように練習が始まる頃には、僕は部活に行くのが嫌で嫌で仕方がなくなってしまいました。

「嫌なら辞める」という選択肢が遠い

そんなに嫌なら辞めればいいと、いまの僕なら言います。でも、当時は「辞める」ということを考えたり、言い出したりすること自体が「してはいけないこと、すごくダメな奴のすること」という意識があり、口にすることが出来ませんでした。

そうなると、嫌で嫌で仕方がないのに、しかも夏休みなのに、朝から暗くなるまで連日の部活に耐えなければいけません。なかなかの地獄です。

でも、ほんのわずかながら部活に入部しない子たち=帰宅部がいました。僕が吐きそうになりながら校舎の周りを走っているときに、彼らは普通に帰宅していきました。

「うらやましい…!」、心の底からそう思いました。

やっと親に「辞めたい」と言えた

葛藤を経て、僕は意を決して母に「辞めたい」と切り出しました。細かなことは覚えていませんが、本当に辞めてもいいのかと確認されただけで、咎められることはありませんでした。なんとなく様子が分かっていたからだと思います。

親の次は、顧問の先生。緊張しながら職員室まで伝えにいくと、本当に簡単な会話だけで済みました。若い、テニスの上手な、男性の先生でした。僕はその時に、先生ならもう少し何か言ってくれるのではないかと期待していましたが、そこには質量というものがありませんでした。

晴れて部活を辞めて、僕は自分の心が軽くなったのを感じました。ちょっとやそっとの軽さではなく、笑みが込み上げてくるような特別な軽さです。

大人になってしまうと、子どもの頃に感じた孤独や葛藤を、忘れてしまうことがあります。でも、それを思い出すことは、子どもたちへの想像力(自分と同じという決めつけでなく)を失わないために大切なことだと思いました。

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