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おじさんたちはアイドルではなく自分を推そうぜ

乃木坂46の公式ライバルのアイドルグループがデビューしました。その名も「僕が見たかった青空」です。AKB48以来、数字がつく定番の流れを変えて、なんだかポエティックなグループ名です。映画のタイトルみたいじゃないですか?

最初はユニークだなくらいにしか思わなかったのですが、グループ名に込められた思いを知って、衝撃を受けました。彼女たちは、夢をあきらめたおじさんたちのために、歌い踊ることになるかもしれないからです。


僕青の「僕」は寂しいおじさんたち?

AKB48の全盛期に公式ライバルとして登場したのが、今をときめる乃木坂46です。彼女たちがトップアイドルに登り詰めた今、その公式ライバルとして登場したのが僕が見たかった青空(略称は「僕青」)です。

乃木坂46はここからピークアウトして人気が下り坂にさしかかるという判断なのでしょうか。渦中のジャニーズ事務所の故・ジャニーさんしかり、秋本康さんしかり、本当にアイドルビジネスってすごいです。

……くらいにしか思っていなかったのですが、命名の由来に衝撃を受けました。下記に引用します。

誰も小さい頃、見ていた夢があります。
大人になったら、こうなりたいと抱いていた願いです。
やがて、大人になって、理想と現実のギャップに気づくと、自分の夢を語らなくなります。

僕たちは、いつ、諦めることを覚えてしまったのでしょうか?
確かに、夢は遠い。それを掴むまでは、いろいろな障害があるかもしれません。
でも、夢は、必ず、この先にあるんです。雲に覆われた向こうに、青空はあるんです。
彼女たちは、これからデビューします。まだ、夜明け前の暗闇の中の青空を信じて…
大人になった僕たちは、いつの間にか諦めてしまったけれど、彼女たちには見て欲しいな。
“僕が見たかった青空”を…
みんなで応援しませんか?
(運営スタッフ一同)

僕が見たかった青空 公式サイトより

夢を諦めたおじさんたちのために

上の引用文を読む限り、理想と現実のギャップにやられて夢を諦めてしまった「僕たち」とは、彼女たちより上の世代の男性(僕はふつう、男性の一人称ですからね)ということになります。短くいえば「夢を諦めたおじさんたち」です。

推し活が大ブームですが、そういうおじさんたちに「思いっきり推していいんですよ」と許可を与えるような文章です。

また、文章からは「青空」が「夢」の比喩であることも分かります。そういうことを全部理解した上で「僕が見たかった青空」と命名されたと思うと、(これは本当に僕の個人的な感じ方に過ぎませんが)なんだかちょっと気持ち悪いなと感じます。グループではなく、そこに込められた思いが、です。

僕が見たかった青空 公式サイトより

おじさんも自分を推そうぜ

乃木坂46などの「坂道系」と言われるアイドルグループは、歌やダンスはもちろんですが、バラエティ番組においては芸人さながらの体当たりの活動から、過酷なコンサートツアー、ファンイベントまで、本当にものすごい活動量です。

その分、高額なギャラを手にするメンバーもいるわけですが、ステージ上で大怪我をしたり、心身の調子を崩したりするケースも多いです。また。多くの少女たちがうらやむポジションを手放して、芸能館を引退するケースも多くみられます。

年齢にかかわらず、彼女たちの体当たりの努力と笑顔から、文字通りの元気をもらっている人たちも、日本社会には(国外にだって)本当に大勢いるはずです。それは尊いことですし、むしろもっと上の世代の大人が見習わなければならないようなこともあると、僕は思います。

それでもやっぱり、推して託してばかりじゃダメだと思うんです。夢を叶える、みたいな言い方でなくても、大人が自分らしく幸福に生きることを諦めない姿勢を持つことは、当の大人だけでなく、下の世代にとって希望となるはずだからです。

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