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日本文化が素晴らしいです!

日本文化が素晴らしいです!堂々とそう語る人が多いように思います。しかし実際に日本のものを大事にしている日本人はどれくらいいるのでしょうか。例えば、引っ越してきた新しい部屋に敢えて畳を敷いたり、武道や書道など「道」がつく何かのものを極めたりしている人は、人口の割合でいうとどれくらいいるのでしょうか。私の分野である日本茶も同じ疑問を抱かせています。日本茶は非常に繊細なもので外国産の茶と比べると品質が優れている、などのような発言をよく耳にしますが、日本茶を習慣的に飲んでいるのかと訪ねてみたら、急須がないと答える人が驚くほど多いです。 

もちろん、日本人であること=必ず日本文化に関する何でもかんでもに造詣が深い、というわけではないのですが、何年間日本で暮らしてきた中で、変なエピソードが何度も繰り返されてきたので、書かずにいられないというか、変なな現状にやはり気づいて欲しいです。 

たまに思うのは、魔法が使えたとしたら、日本人に1日だけ私と顔を交換して欲しいです。顔が違うだけで変わることがたくさんありますので、日常生活においてごく普通だ思われがちなものがおそらく違うように見えてくるでしょう。難しいかもしれませんが、まずは私の顔になった状態で夕ご飯を食べに行くシーンを想像してみてください。取引先の事務所での打ち合わせが終わるのがやや遅かったし、今日はなんとなく和な気分なので、前から気になっていた焼き鳥屋さんに行ってみるのに絶好の機会。生ビールを頼んで、「日本語お上手ですね」と褒められてから、隣の席の方と店主さんとの会話が始まります。まずは留学生あるいは英語の教師ではないことを片付けておいてから、自分の職業について聞かれた質問に答えていきます。なるべく簡潔ににまとめて答えてから今度は相手のことについて聞いてみようと。ところが、その前に「日本茶と日本文化とは」という講義が始まってしまいます。日本茶は、日本の独特な文化や日本人ならではの感性が生み出した素晴らしい嗜好品などと、お茶について周りの方が機嫌よく語ります。産地の特徴や歴史について聞きながら、明らかに間違ったことにたくさん気づくのですが、まぁいいか、頼んだレバーは焼き加減がちょうど良いし、椎茸もとてもジューシーなので、とりあず「うんうん」や「そうですね」と頷きながら、お話を聞き続けます。美味しかったです!また来ます。お会計を済ませてからお店を出て駅に向かいます。

日本に来て8年経ちますが、上記のようなエピソードは数え切れないほど何回も再生されてきました。気にしてしまうと落ち着かないので、まあこんなもんだと割り切って生活していこうと考えてきましたが、なんだか勿体無いように思います。何が勿体無いのかというと、日本文化などについて語るよりも、それを嗜んだほうがよほど豊かさを感じるところに気づいていないのが非常に勿体無いと私は思います。

これはまさに日本茶にも当てはまります。絶妙な渋味とうま味のバランスや森林を思わせる清々しい香りは、言葉にするよりも間違いなく実際に味わった方が心が満たされます。しかも日本茶の場合は茶葉、急須、そして湯沸かし器さえあれば簡単に楽しめます。ハードルが低く、今すぐスタートできますが、勉強すればするほど新しい発見があり、ますます楽しくなっていくのも日本茶です。もしかすると、これはお茶に限った話ではなく、他の日本のものにも当てはまるかもしれません。

日本文化が素晴らしいです!言葉として発するのだけでなく、実際に日本の何かを嗜んで初めて心にしみるほど実感できるでしょう。

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