OR逆転裁判 第一話「はじめての逆転」１日目法廷前編

【？？？】
「‥‥‥‥‥‥‥‥やっぱり‥‥このクスリ、
よくない方の“クスリ”だったのね‥‥」
【？？？】
「ひひ‥‥クスリに良いも悪いもないぜ。
あるとすれば、アンタの頭が悪かったのさ」
【？？？】
「‥‥私、知ってるのよ。
この脳ミソは手遅れだ、って」
【？？？】
「‥‥なら《遺書》を渡せ。
その悪いアタマを治してやる」
【？？？】
「‥‥私、知ってるって言ったでしょ？
この脳ミソは‥‥“手遅れ”だって」
【？？？】
「‥‥‥‥《遺書》を渡せと言ったはずだ。
その悪いアタマを‥‥どう治されても知らねえぜ」
【？？？】
「ふふ‥‥知らないの？
‥‥バカは、死なないと治らないのよ‥‥」
【？？？】
「バカな‥‥！！　やめろ！！！」
%女が微笑む。
【？？？】
「‥‥ま、マズイ‥‥！
このままでは‥‥」
【？？？】
「‥‥アイツだ‥‥。
アイツに‥‥罪を着せてしまえば‥‥」

🔴🔴🔴🔴🔴↑済
某年 某月 某日　午前８時５５分
地方裁判所 被告人第一控え室
【ヒツグリ】
(うう‥‥き、キンチョーで吐きそう‥‥)
【？？？】
「げほ、げほ、げほ。
‥‥ごほん、ごほん、げほげほっ！！！」
【ヒツグリ】
「‥‥弁護士の火継利 三里(ひつぐり みさと)です。
本日は、どうかよろしくお願いいたします」
【？？？】
「おお、センセイ！！　‥‥‥‥。
‥‥カオ色がマッサオだ‥‥大丈夫ですかな」
【ヒツグリ】
「だいじょうぶです！
ちょっとその‥‥ “青二才”なだけです！」
【？？？】
「それに、目が真っ赤に血走っている」
【ヒツグリ】
「だいじょうぶです！　マッサオなカオ色に
ちょっとした“アクセント”です！」
【？？？】
「“アクセント”というより
“アクシデント”ってカンジだけどね‥‥」
【ヒツグリ】
「しょ、所長！！！
おはようございます！！」
【？？？】
「ハッハッハッ‥‥げほ！　‥‥げほげほ！！
‥‥いやあ、センセイ！　頼みますよ！」
【エンザイ】
「この白内 円斎(しらない えんざい)。
“殺人”などもってのほか！」
【エンザイ】
「センセイがまっ赤だろうとマッサオだろうと、
このエンザイは“シロ”なのです！」
【エンザイ】
「そして‥‥かばねを殺した“クロ”を、
どうか‥‥あばき出していただきたい！！」
【エンザイ】
「げほ、げほ、げほ！！！」
【ヒツグリ】
「‥‥先日、ある都会の一軒家で、
女性が遺体で発見された」
【ヒツグリ】
「容疑者として捕まったのは、女性の“婚約者”。
目の前でゴーカイにツバを飛ばす、このヒトだ」
【エンザイ】
「‥‥かばねは、売人にダマされて
キケンな薬物を飲まされていたんだ」
【エンザイ】
「そして、中毒死した。
‥‥いや、“殺された”といってもいい！」
【ショチョウ】
「‥‥エンザイさんが“シロ”‥‥無実ならば、
かならず、その容疑には“アナ”がある」
【エンザイ】
「そうだ！　そして、その“アナ”に
かならず‥‥例の“売人”が関わっている！」
【ヒツグリ】
「“売人”‥‥。ヤクブツの売人ですか？」
【エンザイ】
「そう！　かばねは、クスリを買って
代わりにタマシイを売ってしまった」
【エンザイ】
「“精算”をせねばならぬのです。
‥‥かの売人の、ツミをあばく“精算”を！」
【エンザイ】
「げほ、げほ、げほ！！！」
🔴🔴🔴🔴🔴↑済
某年 某月 某日　午前９時００分
地方裁判所 第一法廷
【サイバンチョ】
「それでは、白内 円斎の
法廷を開廷します」
【パウチ】
「検察側、準備完了しております」
【ヒツグリ】
「弁護側、ええと‥‥‥‥イケます。
‥‥たぶん、きっと、\CE[227]もしかして‥‥」
【サイバンチョ】
「“たぶん”では困りますな。
何度か、法廷には立っているようですが？」
【ヒツグリ】
「‥‥はい！　大丈夫です！！
キブンは“新人”そのものですから！」
【サイバンチョ】
「‥‥“初心をわすれていない”というイミで
受け取っておきます」
【サイバンチョ】
「それでは派内検事。冒頭弁論を」
【パウチ】
「うふふふ‥‥かしこまりました」
【パウチ】
「‥‥これが、本当に
“冒頭”で済めばいいのですがねぇ‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥？　ぼ‥‥ぼうとう‥‥？」
【サイバンチョ】
「弁護人。アナタ‥‥。
本当に大丈夫なのですか？」
【ヒツグリ】
「は、はい！！
こう見えて、初心は忘れていません！」
【サイバンチョ】
「とりあえず、初心以外なにも覚えてなさそうな
弁護人に聞いておきます」
【サイバンチョ】
「この事件の《被害者》の名前を、
言ってみてください」
🔴🔴🔴🔴↑済
【ヒツグリ】
「この人物こそが、《被害者》その人に
ちがいありませんっ！」
<BGMの保存>
【パウチ】
「‥‥‥‥」
【サイバンチョ】
「‥‥‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥あ、あるイミ！
ヒトはみな《被害者》なのです！」
【ヒツグリ】
「わたしだって、この冷え込んだ空気に
追いつめられた《被害者》ですし‥‥」
【パウチ】
「私も、シロウト弁護士に
時間をムダにしてしまった《被害者》ですし」
【サイバンチョ】
「それ以前に、あなたに弁護される
被告人が‥‥すでに《被害者》と言えます」
<BGMの再開>
【ショチョウ】
「ひつぐりちゃん‥‥一生のお願いだから
《法廷記録》はカクニンしてちょうだい」
【ヒツグリ】
(はやくも所長に“一生のお願い”を
使わせてしまった‥‥)
【ショチョウ】
「大丈夫よ。あなたのせいで
寿命は縮んでるから！」
🔴🔴🔴🔴↑済
【ヒツグリ】
「‥‥ええと、《志賀 かばね》‥‥。
この事件の《被害者》の名前ですね」
【ヒツグリ】
「エンザイさんとは
ふぃあんせ‥‥コイビトどうしだった‥‥と」
【ショチョウ】
「しかし、エンザイさんと結ばれる前に
カノジョは‥‥死神と結ばれてしまった」
【パウチ】
「そう、“死神”‥‥。さて、おじょうさん。
被害者の《死因》は、なんでしたかな？」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥‥‥。
‥‥あっ。ソレ、わたしに聞いてます？」
【サイバンチョ】
「‥‥あなたのほかに、
“おじょうさん”がいますか」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥《死因》‥‥‥‥。
ええと、たしか‥‥」
【ショチョウ】
「‥‥ひつぐりちゃん。
まさか、知らないハズ‥‥ないわよね？」
【ヒツグリ】
「\>アタリマエですよ！！
ちょっと、キオクにないだけです！」
【ショチョウ】
「‥‥ヒトは、それを
“知らない”って言うのよ」
【ヒツグリ】
「‥‥うう‥‥スミマセン。
頭がマッシロで‥‥」
【ショチョウ】
「私は目の前がマックロだわ‥‥。
‥‥いいこと？　《証拠品ファイル》を見なさい」
【ヒツグリ】
「‥‥しょうこひん‥‥？」
【ショチョウ】
「いくらあなたの頭がマッシロでも‥‥
《資料》までマッシロということは、ない」
【ショチョウ】
「‥‥気をたしかに持ちなさい。
マッシロでいいのは、依頼人の“罪”だけよ」
【ヒツグリ】
(被害者の《死因》‥‥
それを示す《証拠品》は‥‥！)
🔴🔴🔴🔴🔴↑済
【ヒツグリ】
「被害者は、コレのせいで
死んでしまったのです！」
【サイバンチョ】
「では、その《証拠品》を
コチラにわたしていただけますか」
【ヒツグリ】
「‥‥え」
【サイバンチョ】
「コレで本当に被害者が死ぬのか‥‥。
アナタで試してみましょう」
【ヒツグリ】
(キブンはすでに、半分死んでいるのだけど‥‥)
【ショチョウ】
「\>まだ、半分は生きてるから大丈夫よ！！
さあ、もう一回死んできなさい！！」
【ヒツグリ】
(法廷は死とトナリあわせの“戦場”だな‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴↓没
【ヒツグリ】
「被害者の《死因》‥‥。
ええと、個人的に有力なのは‥‥」
【パウチ】
「‥‥‥‥」
【サイバンチョ】
「‥‥‥‥」
【ヒツグリ】
「殺人といえばやっぱり、ナイフで
グサリ‥‥が、《定番》ですよね！」
【パウチ】
「‥‥‥‥」
【サイバンチョ】
「‥‥‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥あっ！　で、でも。ピストルで
ズドンといくのも、最近‥‥キてますよね！」
【サイバンチョ】
「‥‥すくなくとも、あなたの《時代》が
くる光景は、想像できません」
【ヒツグリ】
「ううう‥‥いきなり
《減点》をくらっちゃいました‥‥」
【ショチョウ】
「大丈夫よ。《先がない》という点では
裁判長もいっしょだから！」
【ヒツグリ】
「うう‥‥なにがどう“大丈夫”なのか、
ちっともわかりません‥‥」
🔴🔴🔴🔴🔴🔴↑済
%【解剖記録】
%・クスリを飲んで死んだ。
%アルコールと併用。中毒症状。発見時に高体温による横紋筋融解。
【ヒツグリ】
「ええと、アルコールと薬物を併用‥‥。
いっしょに飲んで、中毒死したと‥‥」
【パウチ】
「そう。クスリのせいで、カノジョは
“幻覚”と“被害妄想”にとりつかれていた」
【パウチ】
「存在しない《侵入者》におびえ、
こんなモノまで自宅に用意するほどに」
【サイバンチョ】
「これは‥‥“せきゅりてぃ”ですか？」
【パウチ】
「エンザイさんと、かばねさん。
どちらかの指紋がなければ、ドアは開きません」
【パウチ】
「玄関はモチロン、トイレ、風呂、洗面台、
台所のドアにも仕掛けられてます」
【パウチ】
「水道や換気扇から《侵入者》が入ってくる。
‥‥被害者は、そう思いこんでいたようです」
【サイバンチョ】
「それは‥‥来客がさぞタイヘンでしょうな。
‥‥しかし、被害者は近所づきあいを絶っていた」
【パウチ】
「‥‥《幻覚》に《被害妄想》‥‥。
被害者は、世間から切り離されていたのです」
【パウチ】
「だからこそ、被害者にクスリを飲ませたのは
《被告人》以外にいないワケですが‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥‥‥は、はい！
ヒコクニン‥‥わかりますとも！！」
【サイバンチョ】
「‥‥念のために聞いておきますが。
《被告人》の名前はハアクしていますね？」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥も、モチロンですよ！！
ええと、その‥‥‥‥」
【ショチョウ】
「‥‥ひつぐりちゃん。
まさか‥‥わすれたの？」
【ヒツグリ】
「‥‥お、おぼえてますよ！！
ちょっと、アタマに浮かばないだけで」
【ショチョウ】
「ヒトは、それを
“わすれた”って言うのよ」
【ヒツグリ】
「うう‥‥すみません。
寝不足で、頭がカスんでて‥‥」
【ショチョウ】
「‥‥私は、あなたの未来がカスんで見えるわ‥‥。
‥‥いいこと。今度は《人物ファイル》よ」
【ヒツグリ】
「‥‥じんぶつ？
ヒトも、《証拠品》になるんですか？」
【ショチョウ】
「モチロンよ。‥‥さ、無罪判決まで
カスまないうちに、つきつけて来ましょ」
【ヒツグリ】
(ヒコクニンの名前‥‥。
《人物ファイル》にある答えは‥‥！)
🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴↑済
【ヒツグリ】
「ヒコクニンといえば、
モチロン‥‥この人物です！」
【パウチ】
「‥‥きっと、明日にはアナタも
《ヒコクニン》になっているコトでしょうな」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥え」
【サイバンチョ】
「あなたが弁護をしているというジジツが、
すでに《有罪》と言えます」
【ショチョウ】
「‥‥被告人というのはね、
訴えられたヒトのことなのよ」
【ヒツグリ】
「はい‥‥」
【ショチョウ】
「そして弁護士というのは、
その被告人を“ベンゴ”するヒト」
【ショチョウ】
「“サイバン”はわかる？
“サツジン”は？　“ハンニン”は？」
【ヒツグリ】
「だ、だいじょうぶです！！
さすがにそれはわかりますから！！」
【ショチョウ】
「私にはもう、あなたが何をわからないのかが
サッパリ分からないわ‥‥」
【ヒツグリ】
「ひ、ヒトのことを“問題児”みたいに
いわないでください！」
【ショチョウ】
「ジブンがさも“問題児”じゃないかのように
いわないでちょうだい！」
【ヒツグリ】
(うう‥‥“問題児”なのはいいけど、
せめて目の前の“問題”はなんとかしないと‥‥)
%(ここからループ)
🔴🔴🔴🔴🔴
%【白内 円左衛門】
%くらえ！！
【ヒツグリ】
「《白内 円斉》‥‥。
それが、ヒコクニンの名前です」
【サイバンチョ】
「‥‥そうですな。‥‥そんな感じで、
落ち着いて答えればいいのです」
【ヒツグリ】
(‥‥このわたしのドコを見て
“落ち着いている”と思ったんだ‥‥？)
【パウチ】
「さて、おじょうさんの言うとおり
被害者は“薬物中毒”で死んでおります」
【サイバンチョ】
「‥‥これがそのヤクブツですか。
《マイナスエス》‥‥ヘンテコな名前です」
【パウチ】
「そして被害者は、《遺書》で
被告人を告発している」
【パウチ】
「この《マイナスエス》を“カゼ薬”といつわり、
かばねさんに飲ませていたのだと」
【ヒツグリ】
「まってください！　被告人によれば、
かばねさんは、売人からクスリを入手して‥‥」
【パウチ】
「そりゃ、カレはそう言いますな。
‥‥しかし、被告人には致命的な証拠がある」
【ヒツグリ】
「致命的な‥‥証拠‥‥？」
【パウチ】
「被告人は、タイホされたとき
それはキモチよく眠っていたのですよ」
【パウチ】
「道ばたのベンチにつっぷして、
この《マイナスエス》をハラに入れてね」
【サイバンチョ】
「‥‥薬物検査で、まっ赤な“陽性反応”が
出たと聞いています」
【ショチョウ】
「私たちにとってはまっ青なハナシね。
‥‥ひつぐりちゃん。クスリの情報は読んだ？」
【ヒツグリ】
「《マイナスエス》‥‥カプセルの刻印から
仮称として名付けられた、未知の薬物」
【ヒツグリ】
「スイミン作用を示す物質が検出。
‥‥その他については調査中‥‥」
【パウチ】
「なにやら、暴力団の“秘蔵っ子”のようで。
‥‥目下、ゼンリョクで捜査中なのですよ」
【サイバンチョ】
「“秘蔵っ子”‥‥。
ケーサツも知らなかった、無名の新薬ですか」
【パウチ】
「暴力団としても、存在を
公にはしたくないようです」
【パウチ】
「既存の《違法薬物》に構造が近いため、
検査はできたのが不幸中の幸いでしたな」
【サイバンチョ】
「事件については分かりました。
初動捜査にあたった刑事を入廷させてください」
【ユカイ】
「後藤 愉快(ごとう ゆかい)！
このウデ、刑事のタマシイがまるごと一本！」
【ヒツグリ】
「え、ナニ‥‥。
強盗で、ユーカイですか？」
【ユカイ】
「後藤で、ユカイだ！！」
【サイバンチョ】
「強盗くん、あなたが初動捜査を‥‥？」
【ユカイ】
「“ごとう”です！！」
【パウチ】
「話題までさらわないでくれたまえ。
ユーカイくん、はやく《証言》を」
【ユカイ】
「うう‥‥このユカイがぬすむのは、
ヒトのココロだけだというのに‥‥」
🔴🔴🔴🔴🔴
\>～初動捜査①～
【ユカイ】
「被告人は、カゼ薬のカプセルに
《マイナスエス》のを仕込んでいたのです」
【ユカイ】
「被害者は、その“中身の入れ替え”に
気づくことができなかった」
【ユカイ】
「だから被害者は《カゼ薬》を飲んだつもりが、
《マイナスエス》を摂取してしまい、中毒に‥‥」
【ユカイ】
「道ばたで寝ていた被告人は、タイホされた時
類似薬物の“陽性反応”を示していた」
【ユカイ】
「自身も日ごろからやっていたクスリを、
コイビトにも飲ませてた‥‥そんなトコロでしょう」
🔴🔴🔴
【サイバンチョ】
「‥‥なるほど。
カギは“入れ替え”と《陽性反応》ですな」
【パウチ】
「うふ。だから言ったでしょう‥‥？」
【パウチ】
「これが、“冒頭”で済めば
よかったのですがねぇ‥‥」
【サイバンチョ】
「‥‥それはともかく、まだ審理を
終えることはできません」
【サイバンチョ】
「弁護人の《尋問》が
のこっていますからな」
【ヒツグリ】
「じ、《尋問》‥‥！
‥‥所長、ええと‥‥どうすれば」
【ショチョウ】
「‥‥あの《証言》‥‥。
“ムジュン”がまぎれてるわ」
【ヒツグリ】
「え、ええっ！！
あの刑事さんが！？」
【ショチョウ】
「アタリマエでしょ？
エンザイさんは、犯人じゃない」
【ショチョウ】
「なら、あの《証言》はムジュンしている。
それを《証拠品》を“つきつける”ことで立証するの」
【ヒツグリ】
「‥‥ああ、そういえば‥‥。
そんなカンジでしたよね。ジンモン！」
【ショチョウ】
「‥‥これは、“そういえば”で
思い出すレベルの話じゃないわよ‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥う、うう‥‥スミマセン‥‥」
【ヒツグリ】
(‥‥でも。こんなわたしにも‥‥ひとつだけ。
わかっているコトがある)
\>【ヒツグリ】
\>(‥‥わたしの依頼人は‥‥。
エンザイさんは、“無実”なのだと‥‥！)
【ショチョウ】
「さ、はじまるわよ。
あなたの。‥‥火継利 三里の“戦い”が‥‥！」
🔴🔴🔴🔴🔴
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【●◯◯◯◯】
「犯人は、カゼ薬のカプセルに
《マイナスエス》のコナを仕込んだのです」
【ヒツグリ】
「‥‥たしか、《マイナスエス》も
カプセルの錠剤でしたね」
【ユカイ】
「互いにカプセルだから、入れ替えは可能です。
‥‥チト、手間がかかりますが」
【ヒツグリ】
「でも、カゼ薬に《マイナスエス》を仕込んだら
カゼを引かないと、飲んでくれませんよね？」
【ユカイ】
「‥‥幻覚に妄想、そして眠気。
ある種、“カゼ”と言えましょう」
【ヒツグリ】
「言えませんよ！！　少なくとも、
かばねさんの症状はカゼじゃない！」
【ユカイ】
「でも、本人はカゼとカン違いした。
あるいは、判断力がニブっていたのかもしれない」
【ユカイ】
「少なくとも、被害者は中毒で死んでいる。
それは、あの《カゼ薬》を飲んだというコトです」
【ヒツグリ】
(どう考えても、アヤシイ‥‥。そもそも、
《カゼ薬》以外にも“経路”はあるのに‥‥)
【ショチョウ】
「かばねさんは、たぶんカゼ薬は飲んでなかった。
‥‥でも、それを示す証拠品は‥‥ない」
【ヒツグリ】
(‥‥“アヤシイ”じゃ足りない。
‥‥“オカシイ”といえるポイントを探さないと)
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯●◯◯◯】
「被害者は、その“中身の入れ替え”に
気づくことができなかった」
【ヒツグリ】
「カゼ薬のカプセルに、《マイナスエス》のコナを。
‥‥たしかに、見た目では気づけませんね」
【ユカイ】
「いつだって、真実は目に見えない。
このユカイも、例外ではないのです」
【ヒツグリ】
「‥‥はい？」
【ユカイ】
「この悪人ヅラを一枚剥げば、
ユカイで誠実な人柄が‥‥このとおり！」
【ヒツグリ】
(“このとおり！”といわれても‥‥)
【サイバンチョ】
「ワタシも、こう見えて
“第一法廷の飛び出しナイフ”と呼ばれてます」
【パウチ】
「私だって！！　こう見えて
“新人しぼりとり機”の異名をとったモノです！」
【ヒツグリ】
(みんな、いっぱい名前があるんだな‥‥)
【ショチョウ】
「でも、このクスリの“本名”はひとつだけ。
‥‥それを外から見抜くのは、不可能だった」
【ヒツグリ】
「わたしもほしいです！！
なにかテキトーな異名が！」
【ショチョウ】
「‥‥“しぼり取られた新人”‥‥とか」
【ヒツグリ】
「‥‥検事さんの“異名”に
“加担”しないでください‥‥」
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯◯●◯◯】
「だから、被害者は《カゼ薬》を飲んだつもりが、
《マイナスエス》を摂取してしまい、中毒に‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥《中毒》というのは、どのくらいの
確率で起こるモノなんですか？」
【ユカイ】
「このユカイが、まちがった《証言》を
するくらいの確率です」
【ヒツグリ】
(わたしが、被告人を《有罪》に
するくらいの確率か‥‥)
【サイバンチョ】
「この私が、あやまった《判決》を
下すくらいの確率でもありますな」
【ヒツグリ】
「‥‥でも、今回はアルコールと併用されてますね。
これなら、《中毒》を起こす確率は‥‥？」
【ユカイ】
「このユカイが、正しい《証言》を
するくらいの確率です」
【ヒツグリ】
(わたしが、被告人を《無罪》に
するくらいの確率か‥‥)
【サイバンチョ】
「この私が、正しい《判決》を
下すくらいの確率でもありますな」
【ショチョウ】
「そして、この《証言》に
“ムジュン”がまぎれている確率でもあるわね」
【ヒツグリ】
「‥‥“ムジュン”‥‥？」
【ショチョウ】
「アルコール、20錠、中身の入れ替え。
‥‥そして、カゼ薬‥‥」
【ショチョウ】
「‥‥刑事さんのカン違いを正す“クスリ”が、
どこかにひそんでいるハズよ」
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯◯◯●◯】
「被告人は、タイホされた時
類似薬物の“陽性反応”を示していた」
【ヒツグリ】
「‥‥たしか、新種の薬物なんですよね？
《検査》なんて可能なんですか？」
【ユカイ】
「おそらく、法規制をくぐりぬけるために
ちょっと化学式を変えただけのヤツですからな」
【ヒツグリ】
(なるほど‥‥だから類似薬物の“反応”で
《検査》があるテイドはできるわけか‥‥)
【ショチョウ】
「‥‥でも、化学式を変えただけのシロモノが
“秘蔵っ子”なんて‥‥あり得るのかしら‥‥？」
【ヒツグリ】
「‥‥所長？」
【ショチョウ】
「‥‥まあいいわ。少なくとも、
この“陽性反応”は信用していいハズよ」
【ヒツグリ】
「でも、エンザイさんが《マイナスエス》を
摂取していただなんて‥‥！」
【ショチョウ】
「‥‥カレを救うための“化学式”を立てるには、
《証言》にひそむ“陽性反応”を見のがさないコト」
【ショチョウ】
「‥‥真相は、ムジュンを暴いた先にある。
いまは、ムジュンに集中しなさい」
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯◯◯◯●】
「自身も日ごろからやっていたクスリを、
コイビトにも飲ませてた‥‥そんなトコロでしょう」
【ヒツグリ】
「‥‥それはなんというか‥‥。
家庭内ボーリョク？　というアレですか‥‥？」
【ユカイ】
「近所づきあいを絶った、閉ざされた関係。
‥‥ナニが起きてもフシギではありませんな」
【ヒツグリ】
(‥‥あるテイドの“不自然”は、
このヒトコトでごまかせるのがヤッカイだな‥‥)
【パウチ】
「おじょうさんにはまだ分からないでしょう。
オトナの世界には、さまざまな“関係”があると」
【ヒツグリ】
(‥‥だいたいの“不自然”は、
このヒトコトでごまかせるのもヤッカイだな‥‥)
【サイバンチョ】
「大きくなったら、そのうち
分かるようになりますぞ」
【ヒツグリ】
(‥‥あらゆる“不自然”が、
このヒトコトでごまかせるのもヤッカイだな‥‥)
【ショチョウ】
「あなたも、かくしごとが上手くなったら
オトナの仲間入りよ」
【ヒツグリ】
「‥‥せめて、そういう現実は
かくしておいてくれませんか‥‥」
【ショチョウ】
「仕方ないわ。私たちは
かくしごとを“見抜く”ほうが上手いのだから」
【ショチョウ】
「さあ、オトナたちのかくしごとを
次々と暴くのよ！！」
【ヒツグリ】
(なんだか、シュシがものすごいイキオイで
ズレているような‥‥)
🔴
【ヒツグリ】
「‥‥なんというか‥‥。《ムジュン》なんて、
ゼンゼン、見つからないんですが‥‥」
【ショチョウ】
「あら、そうかしら？
私には、穴だらけの証言に見えるけど」
【ヒツグリ】
「‥‥わたしは目も耳も“穴だらけ”なので、
よくわかりません」
【ショチョウ】
「‥‥‥‥‥‥。《証拠品ファイル》を、
よく見てみなさい」
【ショチョウ】
「‥‥“彼女”‥‥ダマされたにしては、
ずいぶん、おかしい死にかたをしてるわね」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥おかしい‥‥死にかた？」
【ショチョウ】
「分かったら、つきつけて来なさい。
‥‥あの、ユカイな刑事さんに」
【ショチョウ】
「きっと、今にカレも
《ユカイな刑事さん》ではいられなくなるわ」
🔴🔴🔴🔴🔴
◆(証言④に【エンザイ】(出勤中に寝てた))
→【エンザイ】
【ヒツグリ】
「‥‥刑事さん。いまの証言の中に
わたしもヒトツ‥‥“陽性反応”を見つけました」
【ユカイ】
「な、なにをバカな！　このユカイ、
検査と名のつくモノで引っかかったコトはない！」
【ヒツグリ】
「では、スイミン薬をのんだコトは
ありますか？」
【ユカイ】
「ないですな。
安眠とは、己の手でつかむものです」
【ヒツグリ】
「なら、今度から覚えておいて下さい。
ふつう、スイミン薬はシゴトの前には飲みません」
【ユカイ】
「‥‥えっ！！」
【ヒツグリ】
「だって、シゴト中に寝たって
安眠はつかめませんからね！」
ざわざわカン！
【サイバンチョ】
「静粛に！　静粛に！」
【サイバンチョ】
「‥‥たしかに、出勤前にみずから
スイミン薬を飲むヒトは、いません！」
【ユカイ】
「で、でも！　ジッサイに
“陽性反応”は出ていたハズだ！」
【ヒツグリ】
「‥‥つまり、被告人はナニモノかに
マイナスエスを‥‥“飲まされた”コトになります」
【ユカイ】
「あ、まさか
中身の入れ替わったカゼ薬で‥‥！！」
【ヒツグリ】
「‥‥つまり、エンザイさんもまた、
“薬物”を仕掛けられた“被害者”だったのです！」
ざわざわカン！
【サイバンチョ】
「静粛に！！　しかし！
被告人が“被害者”だったとなると‥‥」
【ヒツグリ】
「モチロン、被告人のほかに‥‥
“真犯人”がいたというコトになります！」
【パウチ】
「うふ、うふふふふ‥‥。
楽しませてくれますねぇ‥‥今日の新人は‥‥」
【ヒツグリ】
(な、なんだ‥‥？)
【ショチョウ】
「‥‥ひつぐりちゃん。真犯人を指摘する前に
もうヒトツ‥‥“陽性反応”を見落としてるわ」
【ヒツグリ】
「え、もうヒトツ‥‥？
いまの証言に、まだムジュンがあるんですか？」
【ショチョウ】
「‥‥ヒトは、いくらダマされても
20錠ものクスリを飲んだりは、しない」
【ヒツグリ】
「！！」(‥‥解剖記録の情報か！)
ざわざわ
【ユカイ】
「べ、弁護士さん！！
いまの発言はどういうコトですかな！」
🔴🔴🔴🔴🔴
◆(証言②③⑤「被害者はダマされて死んだ」→【解剖記録】【カゼ薬】)
【ヒツグリ】
「‥‥刑事さん。カゼ薬を飲んだことは
ありますか？」
【ユカイ】
「一度もありませんな。
健康に勝るシアワセはなし‥‥わが“信条”です」
【ヒツグリ】
「では、今度から気をつけてください。
‥‥カゼ薬は、一度に２０錠も飲みません」
【ユカイ】
「‥‥えっ‥‥！！」
【ヒツグリ】
「だって、クスリをおなかいっぱい食べても
シアワセにはなれませんからね！」
ザワザワカン！！
【サイバンチョ】
「静粛に！　静粛に！
‥‥たしかに、弁護人の言うとおりです！」
【サイバンチョ】
「20錠ものクスリを目の前に置かれて、
それを“ダマされて”飲むヒトは‥‥いません！」
【ヒツグリ】
「くわえて、被害者はクスリと共に
アルコールを摂取しています」
【ヒツグリ】
「つまり、被害者は“知っていた”のです。
《カゼ薬》のカプセルに、“何”が入っているのか‥‥？」
【ヒツグリ】
「そして、知ったうえで
ソレを‥‥おなかいっぱい飲んだ」
【ショチョウ】
「さて、この行為を‥‥。
ワレワレ一般市民は、なんと呼ぶでしょうか？」
【ユカイ】
「‥‥じ、《自殺》‥‥‥‥！！」
【ヒツグリ】
「‥‥そう。つまり、被害者は
小田さんに殺されたのではなかった！」
【ヒツグリ】
「《ＭＸＭＡ》でおなかをふくれさせて、
みずから‥‥その命をしぼませたのです！！」
ザワザワカン！！♪無音
【サイバンチョ】
「静粛に！！　静粛に！！
‥‥検察側、よろしいですかな！！」
【パウチ】
「うふ‥‥。弁護人は、なぜ被告人が
告発されたのか‥‥ご存知ないようだ‥‥」
【ヒツグリ】
「！！　‥‥ど、どういうコトですか！」
【パウチ】
「‥‥被害者は、たしかに《自殺》だった。
でも、その《自殺》を強要したのは‥‥」
【パウチ】
「そこにいる、被告人なのですよ！！」
【エンザイ】
「む！！　‥‥げほ、げほげほ‥‥」
ザワザワカン！！
【サイバンチョ】
「自殺の“強要”‥‥。
いったい、どういうコトですかな！」
【パウチ】
「刑事クン、《証言》したまえ。
‥‥被告人の、本当の“罪”について‥‥」
【ユカイ】
「‥‥え‥‥？　‥‥‥‥‥‥あ、ハイ！
それはもう、頑張りますぞ！」
【ショチョウ】
「‥‥どうやら、
ここからが“本番”みたいね‥‥」
【ヒツグリ】
(うう‥‥そりゃ、これで勝てるほど
アマくはないよね‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴
◆証言２◆
～初動捜査②～
【ユカイ】
「現場にのこされた《遺書》に、
被告人をコクハツする内容が記されていました」
【ユカイ】
「“白内 円左衛門にダマされて、ずっと
わるいクスリを飲まされていた”と」
【ユカイ】
「被告人は、被害者に《自殺》をせまった。
だからカノジョは、みずからイノチを絶った」
【ユカイ】
「しかし、フクシュウ‥‥カゼ薬の中身を入れ替え
出勤前の被告人に飲ませ、“反撃”をした」
【ユカイ】
「さらにこの《遺書》をのこし、
被告人を“告発”したのです」
🔴🔴🔴🔴🔴
【サイバンチョ】
「‥‥なるほど。《自殺》をするよう
被告人が強要した、というコトですか」
【パウチ】
「先ほどのは、刑事クンの“カン違い”です。
‥‥被告人の本当の罪は、“殺人”ではないのだ！」
【ヒツグリ】
「く‥‥！！！」(検事さん、なんで最初から
コッチを主張しなかったんだ‥‥！)
【ショチョウ】
「‥‥この《遺書》は、あまり出したくなかった。
私には、そう見えるわね」
【ヒツグリ】
「出したくなかった‥‥？
プライバシーの問題‥‥とか、ですか？」
【ショチョウ】
「‥‥すぐ分かるわ。
コタエは、この《尋問》でつきつけなさい」
【ヒツグリ】
(《証拠品》のカクニン‥‥。
いいかげん、慣れておかないとな‥‥)
──《遺書》のデータを
　　証拠品ファイルに記録した──
🔴🔴🔴🔴🔴
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【●◯◯◯◯】
「現場にのこされた《遺書》に、
被告人をコクハツする内容が記されていました」
【ヒツグリ】
「‥‥本当にコクハツなんですか？
いっそ、《コクハク》のマチガイだったり‥‥」
【ユカイ】
「‥‥この《遺書》が恋文なら、
世界中の紙キレがラブレターになりますぞ」
【サイバンチョ】
「弁護人、手元の《らぶれたー》は
キチンと読んでおくように！」
【ヒツグリ】
(《遺書》の《詳細》‥‥目を通して、
ラブレターかどうか、ハッキリさせておこう)
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯●◯◯◯】
「“白内 円斉に《美容薬》とダマされて、
ずっとわるいクスリを飲まされていた”と」
【ヒツグリ】
「《美容薬》とダマして飲まされていたのが
この、フクロの中の《マイナスエス》ですか」
【ユカイ】
「セイカクには、被害者のイブクロの中の
フクロの中の《マイナスエス》ですな」
【パウチ】
「もっと言えば、イブクロの中のフクロの中の
カプセルの中の《マイナスエス》です」
【ショチョウ】
「ナニに包まれてようと、《美容薬》には
気をつけるのよ、ひつぐりちゃん」
【ヒツグリ】
「安心してください！！　わたしは
スイミン薬くらいしか飲みません！」
【ショチョウ】
「なおさら気をつけなさい！！
永遠にネムることになったら、オシマイよ！」
【ヒツグリ】
(よけいに心配させてしまった‥‥)
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯◯●◯◯】
「被告人は、被害者に《自殺》をせまった。
だからカノジョは、みずからイノチを絶った」
【ヒツグリ】
「いくらコイビトに言われたからって、
フツー、《自殺》なんてしません！」
【パウチ】
「しかし、被害者はフツーではなかった。
‥‥幻覚、被害妄想、薬物中毒‥‥」
【サイバンチョ】
「その精神状態に加えて、コイビトに
ウラ切られ、“死”を命じられたショック‥‥」
【ユカイ】
「それでもまだ、弁護士どのは
「自殺なんてオカシイ」と言うつもりか！！」
【ヒツグリ】
「うぐっ！」(わ、ワルモノにされてしまった‥‥)
【ヒツグリ】
「でも！　《遺書》にクスリの入れ替え‥‥。
そんな精神状態でできる手間じゃない！」
【パウチ】
「しかし、そんな精神状態だからこそ
最期のチカラをふりしぼれたとも言える」
【サイバンチョ】
「被告人への“怒り”のみが、くずれかけた
カノジョの精神を支えていたのでしょう」
【ユカイ】
「それでもまだ、弁護士どのは
被害者の“怒り”をヒテイするつもりか！！」
【ヒツグリ】
「うぐっ！」(わ、ワルモノにされてしまった‥‥)
【ヒツグリ】
「所長ぉ‥‥。法廷のみんながものスゴい
チームワークでいじめてきます‥‥」
【ショチョウ】
「ハイハイ。みんな仲良くするのよ」
【ヒツグリ】
(‥‥こっちを見もしない‥‥)
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯◯◯●◯】
「しかし、フクシュウ‥‥カゼ薬の中身を入れ替え
出勤前の被告人に飲ませ、“反撃”をした」
【ヒツグリ】
「‥‥カゼ薬の中身を入れ替えたのは、
かばねさん自身だった‥‥？」
【ユカイ】
「シゴト前の被告人が、自分の意思で
《マイナスエス》を飲むハズないですからな」
【ヒツグリ】
(さっきまでそう主張してたクセに‥‥)
【パウチ】
「‥‥たしかに、この《証言》のとおりなら
ムジュンは消えますな」
【ヒツグリ】
「‥‥しかし、《無罪》の可能性まで
消えたワケではありません」
【パウチ】
「それはどうかな。この《遺書》が、
すでに‥‥すべての真相を語っているのですよ」
【ヒツグリ】
「だとしたら、その《遺書》の
ムジュンが‥‥すべてをひっくり返すハズですね」
◆
【ユカイ】　　　　　　　　　　【◯◯◯◯●】
「さらにこの《遺書》をのこし、
被告人を“告発”したのです」
【ヒツグリ】
「‥‥しかし、薬物中毒の状態で
《遺書》を書くのは、ムズカシイのでは？」
【ユカイ】
「‥‥この《遺書》は“手書き”ではない。
コンピューターで打たれた《活字》の文書です」
【サイバンチョ】
「こ、ここ、こんぴゅうた‥‥。
あの電脳ハコは紙キレまで吐き出すのですか！」
【パウチ】
「キーボードを打つくらいなら、
クスリ漬けの被害者にも可能だったでしょう」
【ショチョウ】
「‥‥検察側は、ムリヤリこの主張を
押しとおすつもりね」
【ヒツグリ】
「キーボードは打てても、文章の構成が
できたかどうかは‥‥ビミョーじゃないですか？」
【ショチョウ】
「“ビミョー”だけれど、“不可能”とは言い切れない。
‥‥わたしたちに必要なのは、“アキラカ”なムジュンよ」
◆◆◆◆◆
【ショチョウ】
「まずは《遺書》に目を通しておきなさい。
‥‥なぜ最初から、これが提出されなかったのか」
【ヒツグリ】
「なにか、検察にとって
“不ツゴウ”があった‥‥とか？」
【ショチョウ】
「‥‥読めばわかるわ。《証拠品ファイル》と
《人物ファイル》を、よく見ておくこと」
【ヒツグリ】
(そういえば、《人物》も
つきつけられるんだったな‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴
異議あり！！(証言①②⑤に【白内 円斉】【遺書】 )
【ヒツグリ】
「‥‥刑事さん、被告人の名前は
ご存知でしょうか？」
【ユカイ】
「名前どころか、右手の小ユビの
ツメの長さまで覚えておりますぞ」
【ヒツグリ】
(なんてムダな努力を‥‥。)
「‥‥では、こちらの《遺書》はどうですか？」
【ユカイ】
「もちろん、アナを開けないテイドに
目は通しておりますぞ」
【ヒツグリ】
「‥‥では、この《遺書》に出てくる
《志賀 円斉》なるナゾの人物については？」
【ユカイ】
「‥‥‥‥む！！
シガ。‥‥‥‥シ‥‥ガ‥‥？」
【ヒツグリ】
「まず、被害者のかばねさんは
被告人のフィアンセ‥‥“婚約者”でした」
【ヒツグリ】
「そして、そのフィアンセの名前は
告発する相手の名前でもある」
【ヒツグリ】
「被害者が書きまちがえたとするには、
あまりにもオカシイと思いませんか？」
【ユカイ】
「‥‥あ‥‥ッ！！」
【ヒツグリ】
「つまり、この《遺書》には
すでに大きなアナが開いているのです！！」
いぎあり！
【パウチ】
「しかし、被害者は
《薬物中毒》だったのですぞ！」
【パウチ】
「多少の書きマチガイなど、
ササイなモンダイです！」
【ヒツグリ】
「‥‥なら、この《遺書》は
まるっきり《証拠》にはならない！」
【ショチョウ】
「書いた本人の責任能力がないなら、
そう言わざるを得ないわね」
【パウチ】
「それはない！！　他の文章は
こうもキチンと書かれているのに！」
【ヒツグリ】
「でも、いくらなんでも
“婚約者”の名前をまちがえるのは、オカシイ！」
【パウチ】
「う、うぐぐぐぐぐ！！！」
ザワザワカンカンカン
【サイバンチョ】
「‥‥さすがに、この見落としは
“あり得ない”と言うほかありませんな」
【パウチ】
「うぐむむむむむ‥‥。
この‥‥“新人調教師”の派内がァ‥‥」
【ヒツグリ】
(なんてイヤな“２つ名”なの‥‥)
【ショチョウ】
「‥‥ひつぐりちゃん、あの遺書は
証拠になると思う‥‥？」
【ヒツグリ】
「‥‥少なくとも、エンザイさんの犯行を
立証する証拠には、なりません」
【ヒツグリ】
「しかし‥‥。《第三者》による犯行を
立証する証拠にはなるでしょうね」
【サイバンチョ】
「まさか、この《遺書》は
第三者による“ニセモノ”と言うのですか！」
【ヒツグリ】
「だって、こんな活字の遺書、
わたしでも作れますからね！！」
【パウチ】
「それはムリですぞ！！
第三者にこの《遺書》は作れない！！」
【パウチ】
「あの家には、厳重な“セキュリティ”が
かまえられていたのですから‥‥！」
【ヒツグリ】
「！！」
【サイバンチョ】
「‥‥たしか、指紋のセキュリティで、
《第三者》は現場の家に入れないのでしたな」
【パウチ】
「つまり《遺書》を作れたのは、ふたりだけ！
あの家に住んでいた、被害者と、被告人です！」
【サイバンチョ】
「しかし、被告人がみずから《遺書》を用意し、
ジブンを告発したとは‥‥考えられません」
【パウチ】
「そう！　だからこそ、この《遺書》を書いたのは
被害者のかばねさんしか、いないのです！！」
【ヒツグリ】
「‥‥ぐ、ぐっ！」
ザワザワ
カン！！
【サイバンチョ】
「そういうコトなら、この《遺書》は
ある程度、信用してよさそうですな」
【サイバンチョ】
「ユカイ刑事。いまの検察側の主張を
《証言》に加えてください！」
【ユカイ】
「‥‥ええ、もう！
このユカイ、スッカリ心得ましたぞ」
【ユカイ】
「かの“セキュリティ”は、このユカイを
捜査中にしめ出した“悪魔”なのです‥‥」
【ヒツグリ】
(‥‥ここが、最初の“勝負どころ”に
なるかもしれないな‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴
◆尋問２(+α)
【ユカイ】　　　　　　　　【◯◯◯◯◯●◯】
「現場の家には《セキュリティ》がある。
‥‥《第三者》には、ゼッタイに入れません」
【ヒツグリ】
「ほ、ほんとうにゼッタイに
入れないんですか！！」
【ユカイ】
「入れませんぞ」
【ヒツグリ】
「たとえば、かばねさんの
《指紋》のカタを、ねん土で取るとか‥‥」
【ユカイ】
「“生きたユビ”にしか反応しませんぞ」
【ヒツグリ】
「あるいは、窓ガラスを割って
侵入するとか！」
【ユカイ】
「現場で割れたガラスは
発見されてませんぞ」
【ヒツグリ】
(ダメだ、刑事さんもすっかり
トビラをかたく閉じている‥‥！！)
【パウチ】
「現場は閉ざされた空間だった。
‥‥容疑者はひとりしかあり得ないのですよ」
◆
【ユカイ】　　　　　　　　【◯◯◯◯◯◯●】
「つまり、《遺書》を作れたのは
被害者しかいないのです」
【ヒツグリ】
「いっそ、被告人‥‥エンザイさんが
《遺書》を書いたハンニンだった、とか！」
【パウチ】
「自分で自分をコクハツしますか！
いったい、なんのために！」
【ヒツグリ】
「その、ほんのイタズラ心‥‥とか」
【ユカイ】
「それがイタズラで済んだら、
ケーサツなんていりませんぞ！！」
【パウチ】
「これがイタズラなら、いっそ
私がクスリを飲んで中毒死しますぞ！！」
【サイバンチョ】
「どうやら、この法廷で《イタズラ》なのは
弁護人の指先だけのようですな！」
【ヒツグリ】
(うう‥‥法廷に《遊び心》は
通じないみたい‥‥)
◆◆◆◆◆
【ヒツグリ】
「ううう‥‥指紋の《セキュリティ》に
わたしの主張もハネ返されました‥‥」
【ショチョウ】
「そうかしら？　私としては
“ゼッタイに入れない”とまでは思わないけど」
【ヒツグリ】
「だって、《セキュリティ》そのものは
カンペキなワケじゃないですか！」
【ショチョウ】
「でも、そのセキュリティを使う《ヒト》は
カンペキじゃないわ」
【ヒツグリ】
「‥‥ヒト‥‥？」
【ショチョウ】
「《セキュリティ》が不完全なんじゃない。
《ヒト》が、不完全なのよ」
【ヒツグリ】
(じゃあ、《セキュリティ》の不備じゃなくて
《ヒト》の不備を探すべきなのかな‥‥？)
🔴🔴🔴🔴🔴
異議あり！！(証言⑥⑦に【ユカイ】)
【ヒツグリ】
「“被告人以外に、はいれたヒトはいない”。
‥‥まちがいありませんか？」
【ユカイ】
「そりゃあ、そうでしょう！
あの家は、最新のセキュリティで‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥でも、刑事さんは
現場の家にはいってるじゃないですか」
【ユカイ】
「‥‥。そりゃあ、《通報者》に
入れてもらったに決まってるでしょう！」
【ヒツグリ】
「では、その《通報者》は
どうやって現場にはいったのですか？」
【ユカイ】
「！！！　あ、あれれれッ！！」
異議あり！！(証言⑥⑦に【ワザト】)
【ヒツグリ】
「“被告人以外に、はいれたヒトはいない”。
‥‥まちがいありませんか？」
【ユカイ】
「そりゃあ、そうでしょう！
あの家は、最新のセキュリティで‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥残念ながら、その厳重なセキュリティを
くぐりぬけたヒトがいます」
【ヒツグリ】
「カレは、現場にはいって
かばねさんの遺体を‥‥“発見”しているそうです」
【ユカイ】
「‥‥あ、‥‥‥‥あれれれれッ！！」
【ヒツグリ】
「警察の捜査も、そろそろ最新の
“セキュリティ”が必要なんじゃないですか！」
ザワザワ🎵サスペンス
意義あり！
【パウチ】
「ま、待ってください！！
これは、その‥‥」
【ヒツグリ】
「‥‥《セキュリティ》に
不備はなかったのですか？」
【パウチ】
「そりゃ、ないでしょう！！
最新鋭のオートなロックですぞ！！」
【ショチョウ】
「なら、あなたがたの捜査に
不備があったというコトですね」
【パウチ】
「うぐ！！」
【サイバンチョ】
「‥‥刑事。その《おーと・ろっく》とやら‥‥。
コワれていたのですか？」
【ユカイ】
「まさか！！　ニクらしいほどに
シッカリしてましたぞ！」
【ユカイ】
「検証のときにウッカリ、シメ出されて。
ドアと３時間、“にらめっこ”しておりました！」
【パウチ】
「‥‥ようするに、自力では
どうやっても侵入できないハズなのです」
【サイバンチョ】
「‥‥ふむう‥‥困りましたな。
あなたはどうですか、弁護人」
【ヒツグリ】
「‥‥あっ。
ソレ、わたしに聞いてます？」
【サイバンチョ】
「‥‥あなたのほかに
《弁護人》がいますか」
【ヒツグリ】
「‥‥は、はぁ‥‥スミマセン‥‥」
【ショチョウ】
「話はカンタンなハズ。その家に
はいるための“手段”を、示せばいい」
【ヒツグリ】
(《セキュリティ》のかかった現場に、
《目撃者》が侵入した“手段”か‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴
【ヒツグリ】
「‥‥こうすれば、エンザイさんのお宅は
いつでも侵入しホーダイなのです！」
【サイバンチョ】
「‥‥私には、とてもそうは
見えませんが‥‥」
【ヒツグリ】
「きっと、そのへんのカベかなんかに
穴でもあいてますから！！」
【パウチ】
「どうやら、穴があいているのは、
弁護人の脳ミソだったようですな」
【サイバンチョ】
「これ以上“珍回答”がもれ出ないよう、
アタマの戸締まりをちゃんとしてください」
【ショチョウ】
「まあ、いくら“戸締まり”をしても
あなたが開けたら、侵入されるのだけど」
【ヒツグリ】
(うう‥‥“総攻撃”されてもいいように
ココロのトビラもとじておかないと‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴
くらえ！！【志賀 かばね】(🎵ＢＧＭ継続)
【ヒツグリ】
「‥‥たしか刑事さんも、捜査のとき
《セキュリティ》にシメ出されたそうですね」
【ヒツグリ】
「そのときは、どうやって
現場にもどったんですか？」
【ユカイ】
「え？　そりゃあ、中にいる捜査員が
気づいて、入れてくれたから‥‥」
【ヒツグリ】
「そう。中にいるヒトに開けてもらえば、
《セキュリティ》は‥‥モンダイにならない」
【ヒツグリ】
「この《発見者》のバアイは‥‥
“彼女”に‥‥開けてもらえばいいのです」
ザワザワ
異議あり！
【パウチ】
「バカな！　被害者の《遺書》を、
もう一度読んでみたまえ！！」
【サイバンチョ】
「‥‥薬物によって産み出された、
《侵入者がいる》という、《被害妄想》‥‥」
【パウチ】
「そう！　その被害者が、見知らぬニンゲンなど
まねきいれるハズがない！！」
【ヒツグリ】
「つまり、この《発見者》は‥‥被害者にとって
“知り合い”だったというコトになりますね」
いぎあり！
【パウチ】
「しかし、かばねさんは“被害妄想”により、
近所づきあいをほぼ、絶っていたハズです！」
いぎあり！
【ヒツグリ】
「だからこそ、この《発見者》はナニモノか？
‥‥コタエは、限りなく絞りこまれるのです！」
【パウチ】
「な、なにィィィィッ！！！」
ざわざわ
【サイバンチョ】
「どうやら、弁護人に
たずねたほうがよさそうですな」
【サイバンチョ】
「‥‥被害者が、《発見者》をまねきいれた
“理由”とはいったい‥‥何なのか！」
(🎵トリックとロジック 継続)
🔴🔴🔴🔴🔴
くらえ！！
【ヒツグリ】
「これがあれば、カバネさんは
みんなをおうちに入れてくれます！！」
【ユカイ】
「‥‥このユカイは、エンリョしておきます」
【パウチ】
「私も、別に‥‥」
【エンザイ】
「かばねがそんなもので
“侵入”をゆるすとお思いか！！」
【サイバンチョ】
「‥‥だれもあなたに着いてこないし、
そもそも入れない。‥‥イイコトがありませんな」
【ショチョウ】
「あなた、予想以上に人望がないのね」
【ヒツグリ】
「どうしてでしょう‥‥。
目が血走ってるからですか？」
【ショチョウ】
「‥‥思考が先走ってるからだと思うわ」
【ヒツグリ】
(みんな、走ってるモノに
キビシイんだな‥‥)
🔴🔴🔴🔴🔴
くらえ！【マイナスエス】(無音)
【サイバンチョ】
「‥‥これは‥‥《マイナスエス》‥‥？」
【ヒツグリ】
「被告人によれば、かばねさんは
“売人”から、クスリを買っていたそうですね」
【パウチ】
「‥‥あ‥‥っ‥‥！」
【ヒツグリ】
「‥‥カンタンな話です。
その《発見者》は、クスリの《売人》だった！」
【ヒツグリ】
「そして、かばねさんは
その《発見者》から、クスリを“買っていた”！」
ザワザワ
異議あり！
【パウチ】
「いやいやいや！！
いやいやいやいや！！」
【パウチ】
「‥‥‥‥その、アレ。
ソレはどうかと思いますがな！」
【ヒツグリ】
「‥‥たしかに、わたしも
どうかと思いますよ」
【パウチ】
「‥‥？」
【ヒツグリ】
「《発見者》を家にいれたというコトは。
その時かばねさんは、“生きていた”ワケですから」
【サイバンチョ】
「で、ですが！　遺体をまっ先に
見つけたのは、その《発見者》なのですぞ！」
【ヒツグリ】
「《売人》として、生きているかばねさんに
クスリを売った人間が‥‥」
【ヒツグリ】
「その後、《発見者》として
カバネさんの遺体を、“見つけた”」
【ヒツグリ】
「“カレ”がいるあいだに、
カバネさんは‥‥“死んだ”というコトになります」
【パウチ】
「ぐ、ぐっはぁぁぁぁぁ！！！！」
ザワザワ
異議あり！
【パウチ】
「いやいやいや！！
いやいやいやいや！！」
【パウチ】
「ダマされてはいけませんぞ、裁判長！
これは‥‥弁護人の《ワナ》です！」
【サイバンチョ】
「‥‥ありもしない《ワナ》に
引っかかるあなたの方が、どうかしています」
\>【パウチ】
\>「ぐはぁ‥‥ッ！！
この‥‥“新人脱穀機”の派内がァ‥‥」
【ヒツグリ】
(‥‥今のは、“新米”とカケてる
つもりなのかな‥‥)
【ショチョウ】
「‥‥さて、こちらの“新人”も
法廷に慣れてきたようですから‥‥」
【ショチョウ】
「そろそろ、別のイミでの“新人”に
ご登場を願いましょうか」
【サイバンチョ】
「別のイミの“新人”‥‥？
‥‥まさか‥‥！」
【ヒツグリ】
「‥‥‥‥わかりました。所長」
【ヒツグリ】
「‥‥弁護側は‥‥。《真犯人》への
《尋問》を要求します！」
🔴🔴🔴🔴🔴
くらえ！！
【ヒツグリ】
「この流れで、あえて予想外のヒトを
指摘してみたいと思います！！」
【サイバンチョ】
「‥‥なかなか斬新な試みですな。
弁護人」
【ヒツグリ】
「“予想”の“外”と書いて、
“ヨソウガイ”と読みますからね！」
【サイバンチョ】
「ワタシも、“新人”を“斬り捨てる”と書いて
“斬新”と読みましたからな‥‥今」
【ショチョウ】
「‥‥あなた、“予想”どころか
“人の道”から外れるコトになるわよ！」
【ヒツグリ】
「‥‥スミマセン‥‥次はちゃんと
キメてきます‥‥」
🔴🔴🔴🔴🔴
くらえ！！
【ヒツグリ】
「‥‥目撃者・八田 業斗(やった わざと)‥‥。
証人として、登録されているハズです」
【ショチョウ】
「ついでに今、私たちの“標的”としても
“登録”されたわね」
【サイバンチョ】
「‥‥派内検事。その目撃者は
いま‥‥どちらに？」
【パウチ】
「控え室におります‥‥。
時間はそれほどかからないかと‥‥」
【サイバンチョ】
「‥‥わかりました。
こうなっては、話を聞くほかないでしょう」
カン！！
【サイバンチョ】
「それでは、本法廷は
これより十五分の休憩に入ります！」
【サイバンチョ】
「弁護側、検察側ともに
じゅうぶんな立証の準備をととのえるように！」