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劇場版機動警察パトレイバーのはなし

どうも、社畜なシャチ系お姉さん、音駒サリナです。
今回は、日本のアニメーション映画でサリナが最も好きな、劇パトの話をしようと思います。

パトレイバーというコンテンツは、ゲーム・OVA・テレビアニメ・小説・コミックなどなど様々なメディアで展開されており、そのどれもが微妙に世界線・設定が異なっています。
劇場版アニメは全部で3作品あり、それぞれがどの世界線のパトレイバーの話であるかは議論の必要がありますが、それはさて置きここでは劇場版1作目について取り扱います。

ちなみにサリナはテレビ版から続く、新OVA、劇場版2~3、実写映画版のシリーズが最も好きで、描かれる時間軸が最も幅広い事もあって、ここがコンテンツ上のメインストリームかなと思っています。

さて、映画の話に入る前に、パトレイバーを知らない人の為に簡単に世界設定を説明しましょう。
あらゆるロボットアニメにはロボットが登場する必然性を説く設定があり、その内容も「おじいちゃんが作った」「戦争の兵器」など様々あります。
パトレイバーの場合は番組のアバンナレーションでそれが語られます。

「レイバー」…それは、産業用に開発されたロボットの総称である。
建設・土木の分野に広く普及したが、レイバーによる犯罪も急増。
警視庁は特科車両二課パトロールレイバー中隊を新設してこれに対抗した。
通称「パトレイバー」の誕生である。

1999年、人口集中により深刻な土地問題に陥った東京都は湾の大規模な埋め立て工事『バビロン・プロジェクト』を計画しその解消を図ります。
従来の建設重機では到底需要に間に合わない為、それに替わる土木作業マシンとしてレイバーは生まれました。
しかし、レイバーが普及した事により出てきたのが、それを悪用したレイバー犯罪であり、これが新たな社会問題として表面化した為、警察もレイバーにて武装せざるを得なくなった…というような設定背景です。
これは80年代当時のロボットアニメの中ではロボットが登場する必然性として、群を抜いて説得力のあるリアルな設定だったのではないでしょうか。

もう1つ、パトレイバーがロボットアニメとして画期的だったのは、劇中のロボットがすべてOS(プログラムの集合体)によって制御されているという事、つまり「ハードウェアとソフトウェアを明確に分けて描写した」という点にあります。
それまでのロボットアニメでは「乗り込んで操縦する」「人工知能が操縦をサポートする」といった描写はされていましたが、パトレイバーの場合、OSディスクを挿入するとメーカーのロゴが入ったOS起動画面が立ち上がるという描写までされており、マシン本体の方は言ってしまえば手足のついたPCのような描かれ方をしています。

前置きが長くなりましたが、ここから劇場版の話。
パトレイバーにはロボットこそ登場しますが、内容は警察ドラマなので、事件が起き、それを捜査して解決に導くというストーリーのパターンがあります。
この事件の特殊性として、前述した作品世界の設定を存分に活かしたのが劇場版1作目であり、パトレイバーという作品でなければできないストーリーであるというのがサリナの好きな大きな理由です。

ではかいつまんでストーリーを説明していきましょう。
レイバーの市場で業界最大手のメーカー「篠原重工」はシェアの独占を図り、社運をかけて次世代OS「HOS」を開発します。
これは従来機に乗せ換えるだけでも30%の性能向上が見込める画期的なOSで目論見通り普及しているレイバーの殆どがこのOSを搭載するという状況を生み出しました。
しかしこのHOS、悪意ある天才マッドプログラマ「帆場暎一」により、ネットワークを経由して感染し機体の暴走を引き起こす危険なバグが仕込まれている事が判明します。
レイバーは今やその利便性から工事現場だけでなく一部原発などにも配備されており、首都圏は誰もそうと知る事なく一転して壊滅の危機に直面してしまいました。
これをいち早く察知した我らがパトロールレイバー中隊のキレ者隊長・後藤喜一と彼の率いる第二小隊のメンバーが「バグが発動する起動条件」または「暴走の対処方法」などを解明し事件解決に奔走するというストーリーです。

どうですか?この設定やストーリー、現代が舞台でも普通に通用しそうですよね。
インターネットも当然無く、パソコンも家庭への普及なんて全然してなかった80年代に、「ネットワークを経由して感染する悪意あるプログラムウィルス」を犯罪としてストーリーで取り扱うってめちゃくちゃ凄くないですか???
また、恐らくこれを劇場で観た当時の人達ってITの知識が今ほど浸透していなかった筈だと思うのですけど、それでも何が起きていて、何が危ないのかがちゃんと分かるよう噛み砕いて劇中で説明され、各キャラクターも元々の作品を知らなくても映画だけ見てれば人物像や関係性がほぼ把握できるように丁寧に演出されており、単品のエンターテイメント作品として物凄く完成度が高いと思います。

パトレイバーというコンテンツは数多くありますが、知らない人がパトレイバーってどういう作品?という部分に最初に触れるには最もいい映画です。

興味があったらバンダイチャンネルさんなどで視聴可能です。
https://www.b-ch.com/titles/1413/

余談ですが、あらゆるロボットアニメの主役ロボには必殺技なるものがありますが、レイバーというロボットは元来建設・土木作業用なのでそういったものはありません。
主人公達が乗り込む98式AVイングラムは警察用に開発された高性能レイバーなので、銃器や電磁警棒と言った装備品こそありますが、これもそうそう使わない(周辺被害や使用申請が通らないなど理由は色々ありますが)か、使っても勝負の決め手になる事は実はそれほどなく、この映画でも最後の決め手になるのは物凄--------く地味なとある攻撃なんです。
なんですが、それが凄くいいんですね。主人公のキャラクター性と自分の乗機への理解・信頼が物凄く出ています。


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