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高校生が遊戯王にハマった物語 ~第二章 初めての大会~

こんにちは。この話は以前に投稿した第一章の続きになります。少しでも興味があれば見ていってください。第一章は下に貼っておきます。


最強の中の最強

 翌日、私たち野球部員一年生たちは、それぞれ思い思いのデッキを家から引っ張り出し持ってきました。授業が終わり、ダッシュで部室に集まりました。遊戯王がしたくてたまらなかったのです。前述したとおり、私のデッキは半壊されていたので、トラップカードを駆使してなんとか戦うしかありませんでした。もちろん強いわけがありませんでしたが、楽しくデュエルしていました。そんな中、一際強く、輝いているデッキがありました。Y君が使う、「Xセイバー」デッキです。遊戯王をそこそこ知っている人ならわかると思いますが、「Xセイバー」デッキは遊戯王界では大して強いデッキではありません。そもそも当時の私たちの戦い方は、攻撃力の高いモンスターを出して、トラップカードで相手の攻撃を防ぎながら、できる時にシンクロ召喚をからめて勝ちにつなげるというものでした。そのため、1ターン中に何度も特殊召喚・シンクロ召喚をしながら、回ると手が付けられない「Xセイバーデッキ」は圧倒的に強かったのです。Y君には誰も勝てませんでした。

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 その日から、私たちの学校生活の中心に、遊戯王が召喚されることになります。高校生ということで金銭的に余裕がなかった私たちは、過去の経験を繰り返すように10円カードを漁り、amazonで安いカードを探し、なんとかあの「Xセイバー」に勝てるデッキを作ろうとしました。うろ覚えですが、私が最初に作ったデッキは「次元サイキック」「森羅」「ゴーストリック」「ディフォーマー」といったような感じだったと思います。ほかのみんなも同じようにいくつかデッキを作っていました。ここまでくると「Xセイバー」にも互角の勝負ができるようになりましたが、私たちの中では「Xセイバー」が最強でした。

意気揚々と挑んだショップ大会

 ある日、野球部の試合の後に、近場だったので難波に赴きました。大阪の難波は東京の秋葉原のようなイメージがあり、それはもうカードショップも充実していました。いつものように安いカードを探していると、店内にアナウンスが。「本日の大会にエントリーされる方~」と。ざわつく私たち。自分たちの力はどれほど通用するのか、私たちは初めてショップ大会に出ることを決めました。私の使用デッキは「森羅」、もちろん「Xセイバー」使いのY君を筆頭に、ハマると防ぎようがない「剣闘獣」使いのN君、展開力と持久力を持つ「スクラップ」使いのJ君と、盤石の布陣で臨みました。

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 結論から言うと、大敗でした。他の参加者が使うデッキは主に「クリフォート」「征竜」「シャドール」等の環境デッキばかり。(環境とはその時代の強いデッキのことを意味します)対戦相手はガチ勢ばかり。初めて見るカードだらけで、何が何だかわかりません。
見たことないカードが出てきても、変なプライドから知っている感を出してしまい、どうすればよいかわからない始末。途中でチラリと仲間たちの盤面を見ても、何も動けていない状態、地獄絵図とはまさにこのことでした。
余談ですが、なぜか私だけ「クリフォート」の人に勝つことができました。まるで4将星の一人を討ち破った怪僧ウルージです。森羅のワンキル力、クリフォートの事故による妨害の薄さが噛み合い、私自身も訳がわからないまま勝ちました。なにしろペンデュラムスケールの使い方もペンデュラム召喚も知りませんでした。

しかし、この大会参加で学んだことがいくつかあります。

大会参加で得たこと

私たちは弱い

 「Xセイバー」が最強だと思っていた私たちは、上には上がいることを痛感しました。信じられないことに、最強の中の最強は弱かったのです。「Xセイバー」と互角に戦える俺たちは強いと、完全に自惚れていました。まるで東の海の覇者ドン・クリークのように。

情報が何よりの武器である

 訳も分からないカードを使われると訳も分からないまま負けました。遊戯王は単なる遊びではない、高度な心理戦と正確なプレイングで勝ちをもぎとる戦いなのだと学びました。思えば私たち野球部も、相手チームの情報を得ることを大事にしていました。

サイドデッキというものがある

 完全に無知でした。相手のデッキによって対策を講じられる15枚のカード、サイドデッキ。あるのとないのとでは全然違います。後に「影霊衣」の使い手となるJ君は、「夏の大会の1回戦シードは、一戦目からサイドチェンして戦えるみたいなもん」という名言を残しています。

 敗北を糧に、私たちは本当の遊戯王に足を踏み入れていきます。では、第三章をお楽しみください。ありがとうございました。


第三章↓





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