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2023 M-1グランプリ 令和ロマン優勝の要因


自己紹介

M-1が大好きな26歳です。私がM-1を見た中で最も古い記憶は2003年フットボールアワー優勝の年(当時6歳)です。小学生の頃の私は、学校が終わり、暇な時間があると録画したM-1を繰り返し見ていました。特に繰り返し観たのは2005年ブラックマヨネーズ優勝の回です。毎年家族でM-1を観るのが恒例でしたが、家族の中でも自分は特にM-1が好きだったと思います。

大人になった今でもアマプラで何度も遡って観てしまいます。M-1という大会の特性を踏まえながら、今回、2023年令和ロマンの優勝で幕を閉じたM-1を振り返ります。

M-1の歴史

旧M-1(2001〜2010)は、大きく3段階に分けることができます。

2001〜2002

中川家、ますだおかだが優勝したこの2年間は、試験的な段階でした。M-1は、【プロアマ問わず、若い漫才師を発掘する】というコンセプトで始まった大会です。まだ大会に箔がついていない段階だったと言えるかもしれません。当時は私も覚えていませんが、「優勝賞金1000万円」と「島田紳助、松本人志らの採点」が大会に価値を持たせたのだと考えています。
観た人は分かると思いますが、大会全体を通して独特な緊張感があります。漫才も全くウケない組も多いです。今のような“お祭り感”はありませんでした。

2003〜2007

フットボールアワー、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、サンドウィッチマン。
優勝したコンビです。この期間はM-1の黄金期と言えます。大会自体がかなりの盛り上がりを見せ、「一夜でドリームを掴む」の名の通りの大会でした。事実、優勝したコンビはもれなく売れています。
常連組vs初出場組という構図が出来上がっていったのもこの期間です。笑い飯や麒麟、千鳥などが複数回決勝に上がる中、南海キャンディーズ、ブラックマヨネーズ、サンドウィッチマンなど、見たことないコンビが爆笑をとるというドラマが創られる。これが魅力の一つとなり、盛り上がりが加速しました。世の中にお笑いブームを起こしたのは、この時代のM-1だと思っています。

2008〜2010

旧M-1が終わりに向かう期間です。NONSTYLE、パンクブーブー、笑い飯の優勝で幕を閉じます。
良く言えばM-1が年末の恒例行事になりました。悪く言えば、マンネリ化してしまいました。

2005年 最強のダークホース、ブラックマヨネーズ vs 完全体の笑い飯
2006年
圧倒的な力で完全優勝をしたチュートリアル
2007年
敗者復活から奇跡の優勝をしたサンドウィッチマン

この完璧な流れを超えることはもうできなくなっていたのです。2008〜2010のM-1が面白くなかったとは言いませんし、漫才のレベルをむしろ上がっていたと思います。オードリーやスリムクラブなどの逸材を発掘することにも成功しました。しかし、それまでを超える“ドラマ”が創り出せなかったのです。

新M-1 2015〜2022

旧M-1のドラマを超えることはできていませんが、個人的には大好きです。

2015〜2016年は、2001〜2002年に近い空気を感じました。試験的な空気です。芸歴制限も変わり、1回目ということもあって、どこかフワフワしたようなM-1でした。
2017〜2022年は新M-1の黄金期と言えるでしょう。やはりここでも、常連組vs初出場組の構図がキーです。和牛、かまいたち、ジャルジャルなど、M-1を彩ったコンビはドラマを創ってくれます。常連組は「リベンジ」という言葉でもうストーリーになっているので、人々は魅了されます。そして霜降り明星、ミルクボーイ、ぺこぱ、彼らもドラマの主人公となっていました。
やはりM-1を盛り上げるキーワードは、「悲願の優勝」だったり「ダークホース」だったりするわけです。


2023年M-1グランプリを迎えるにあたって

やっと本題に入れます。私はM-1が好きなので、予選1回戦TOP3ネタ、3回戦全ネタ、準々決勝敗退ネタ、公式YouTubeに上がっている動画は全て観ました。準決勝のライブも観ました。(準々決勝だけは時間がなくて観れていません)
当日ももちろん敗者復活戦からテレビにかじりつきました。
前日に姉に「今年のM-1の見どころ教えて」と言われて私が送ったLINEを見てください。

終わってみれば、S〜C評価は順位に当てはめるとなかなかの精度だと思います。これは私が好きな芸人というわけではなく、あくまでもM-1グランプリという大会で、高得点を取れそう、優勝できそう、という観点から考えた評価です。私はダンビラムーチョもくらげも大好きです。
今年は優勝候補はさや香の一択でした。M-1という競技は、システム漫才やコント漫才より、ケンカのようなしゃべくり漫才が圧倒的に点数が出ます。ブラックマヨネーズやかまいたちがそうです。

システム漫才…くらげ、モグライダー、カベポスター
コント漫才…真空ジェシカ、令和ロマン、ヤーレンズ、マユリカ
その他…ダンビラムーチョ

と考えていました。しゃべくり漫才はさや香のみ。予選のウケから考えても、さや香の最終決戦進出は固いと確信していました。

あとは笑いの量と質、爆発の可能性を考えてあの表を作りました。さや香に勝てる可能性が1番高いのは真空ジェシカもしくはダンビラムーチョだと思っていました。あと敗者復活でトムブラウンが来ればワンチャン、、とも。

令和ロマン優勝の要因と真空ジェシカが跳ねなかった理由

これはあくまで私の見解です。令和ロマンをA評価までとしていた理由は明確にあります。令和ロマンは技術もあり、多くの人が優勝予想をしていたり、応援されていることはわかっていましたが、準々決勝、準決勝のネタ(猫の島)を見て

・さや香には勝てない。
・真空ジェシカはこれの上位互換である。

の2点を感じました。

決勝も猫の島のネタで来たとしたら、優勝ではなかったと今でも思います。これはネタ変更を決断したくるまさんが何枚も上手だったということでしょう。

そして、真空ジェシカが跳ねなかった理由は、上記の令和ロマンのネタ変更とも繋がってきます。

真空ジェシカをはじめ、決勝進出したほとんどのコンビは準決勝と同じネタを決勝でも披露しました。これが要因です。

決勝観覧席にいるお客さんは、おそらくお笑いが好きな方々だと思います。何割かの人は準決勝のネタを見ていたのではないでしょうか。
真空ジェシカの「B画館」のネタは、導入でもっと笑いが起こってもおかしくなかったはずです。(実際準決勝では起きていました。)
真空ジェシカはボケ、ツッコミ1発1発で大きな笑いをとるタイプです。「B画館」の説明からあまりウケがなく、笑いがくるはずのテンポで漫才が進んでしまったため、リズムに乗りきれず思っていたよりゆるやかなテンポになってしまった。漫才はボケ、ツッコミ、笑い声の三要素がリズム良く進んでいくことで爆発を生み出すと思っています。このリズムを掴むのが遅かった。これが私が思う真空ジェシカの敗因です。

なので結局は、ネタバレしていた他のコンビや真空ジェシカと、ネタバレしていなかった令和ロマン

この差が優勝を決めたのだと思います。

“ドラマ”について

今回、前述したような“ドラマ”は見られませんでした。「トップバッターの優勝」は少しドラマ気味ですが、弱いかなと個人的には思います。

また、来年優勝候補がいなくなると予想します。これまでは和牛やかまいたち、オズワルド、今年はさや香など、明確に優勝候補が存在し、それまでの流れからドラマを生み出しやすくなっていました。「優勝候補〇〇破れる」というのはドラマになりやすいですよね。

しかし、今年さや香が負けたことによって優勝候補から少し遠のきました。システムがバレているのは優勝し辛いです、人は新しいものを求めてしまいますから。

来年以降、M-1戦国時代がくると睨んでいます。そういえば、「お笑い戦国時代」と呼ばれた2005年を優勝したのはダークホースのブラックマヨネーズでしたね。

さや香の見せ算、ダンビラムーチョの歌ネタ、モグライダーの練習不足、など、ドラマの破片が散りばめられた回だったのかなとも思います。来年以降どうなるのか楽しみです。
今年は旧M-1のような重い雰囲気があり、私としてはとても面白かったです。

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