それって本当にあなたの感想ですか?

私たちは日々、大量の言葉を摂取している。

会話を通して。映画を通して。漫画を通して。ネットニュースを通して。SNSを通して。メールを通して。音楽を通して。読書を通して。

一方、どれだけの言葉を生産しているだろう。
それが特に自分の思想や考え、何かに対する感想などならどうだろう。

他の人がどうか知らないが、私に関してはあまり口にしたり、文字に起こしていないことの方が多い。

これは危ういと思う。

私はよく映画などを見た後にその映画のレビューを調べる。そこに書かれている全国各地の顔も知らない人の感想を読みながら、「同じこと思った~」とか「それは違うんじゃないか…?」とか思ったりする。

この時、私の感想は有象無象の感想に巻き込まれている。
レビューを読み終えてスマホを閉じたとき、そこに残っているのは私の感想ではなく、私の感想を模した別の何かだと思う。
私が映画を見ている最中に本当に思ったことと他人の感想の境界線はあいまいになり、真に自分が思ったことが何なのかを再確認することはもはやできない。

ここで例に出したのは映画のレビューだが、この現象はほかのことに対しても言えると思う。
SNSの投稿や動画のコメントが私の意見を代弁してくれているように感じている時、私がそれまで持っていた意見は外から摂取した誰かの何かと混然一体となっている。


別にこれが悪いというわけじゃない。
でも、そんなことがあると頭の片隅で意識しておくことは大切だろう。

手軽に思考したフリをするのではなく、時間をかけてでも自らの言葉でいろいろなことを記述して物事を考えなければいけない。

改めてそんなことを思った。

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