晩夏

今年の1月末に前職を辞めてから早7ヶ月。
4ヶ月程で次の職に就けるだろうという考えは甘く
まだ厚手のセーターを着ていた季節から満開の桜を通り越し
夜空に大輪を咲かせる花火大会を幾つも通り越し
気になった企業にいくつか応募はしてみたものの採用されることはなく
あっという間に夏の終わりを迎えようとしている。

金曜日の午後、3時すぎ
この先のことを考えようと入ったカフェのカウンターに座ると
目の前一面の大きなガラス窓越しに、小さな公園がみえる。
都会の中心から少しだけずれた場所にある小さな公園で
大人たちが各々好きな時間を過ごしている。

遊具にまたがり笑い合う二人
ベンチに腰掛け電話をしているスーツ姿の人
お互い前を向きアイスクリームを食べながら時々話し合ってる二人
スマートフォンの小さな画面を一所懸命にみている人
誰もいないベンチの上でヒョコヒョコと跳ねるカラス

目的を果たした人々は立ち去り、入れ替わりでまた新しく誰かがやってくる。

公園に植えられた木はもう何年そこにいるのだろう
大きく広がった枝に茂った濃い緑色の葉が地面に影を落としている。
時おり風に吹かれて木漏れ日がキラキラと地面の上を動きまわる。
ゆっくりとした穏やかな時間の流れを感じる。

8月も下旬となり少しずつ秋の気配を感じられるようになってきた。
カフェでかかっているノスタルジックなギターのメロディの影響も
きっとあるのだろう、夏の終わり独特の淋しさを感じる。
暑さの真っ盛りにワッと鳴いていた蝉の声も
いつの間にかツクツクホウシの声に変わっていた。

もうすぐ秋がやってくる
あぁ、もうすぐ今年の夏が終わるのだ。

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