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西宮ストークス観戦記#9 早すぎる傾向分析

「今日はたまたま自分がMVPに選ばれましたが、コーチからは常々、『このチームにはエースはいない。全員で力を合わせてプレーして勝つんだ』と言われています」

開幕節のバンビシャス奈良との第2戦での試合後、MVPに選ばれた谷口淳選手はこんなことを言っていました。ソースは自分。現地で聞いたからね。

この「エースはいない」という言葉が気になって、それをデータによって可視化できないかとあれこれ考えて書き進めていました。でも、まだ4試合だし、個人の印象の域を出ないので、ボツにしようかと思ったのですが、速報値みたいなものでも残しておくと、あとあと何かの役に立つかもしれないと思ってアップしてみました。

◉今シーズンの変化を探る

そのきっかけは松崎選手の活躍です。今シーズン大きくプレータイムを増やした松崎選手は、これまでのスピードスターの印象とは異なる働きを見せています。特に3Pシュートのアテンプト(試投)が多い点について、あれこれと考えたのは愛媛とのGAME1でした。

この変化は当然フィッシャーHCがもたらしたもののはずですが、新HCの選手起用やモチベーションの持たせ方には昨シーズン以前とは異なる特徴があり、それを意識するとストークスの「エースはいない」ということの捉え方が変わって来るように思ったのです。そこで、4試合を終えたばかりでまだ早過ぎるとは思いつつ、今シーズンの傾向を昨シーズンと比較しながら概観してみます。

図1

まずは各選手のプレータイム(平均出場時間)。青字が前年比プラス、赤字がマイナス。顕著に伸びているのは松崎選手と谷口選手。土屋選手は+1だけど、昨シーズンはDNPが44もあり、後半は試合終盤の出場が多く、コンスタントな「戦力」として考えるならば、感覚的にはほぼ純増。

谷選手はずいぶん減っているけれど、愛媛とのGAME2で見せたセカンドハンドラー的な役割に慣れていけば、今後はもう少し増えそう。逆にバーンズ先生はもう少し減りそうというか、減らしてあげたい感じ。

一方で、内藤選手と浜高選手は出場時間が大きく減った、というより出場機会そのものがあまりない。フィッシャーHCはアスレチックな能力の高さやハンドラーとしての器用さなどを、選手の能力ごとに分けて求める傾向があると感じているのですが、この2選手はまだそれがはっきりしないということなのかもしれません。濵高選手はピックを使うのは上手い気がするけど。

で、これだけだと誰が増えた・減ったという話にしかならないけど、チームとしての分布を見ると、ちょっと今シーズンの傾向が見えてきます。

◾︎出場時間ごとの選手数(2019-20シーズン)図2

◾︎出場時間ごとの選手数(2018-19シーズン)図3

2つのグラフは平均出場時間ごとの選手数を表したもの。各時間帯の人数がばらけている方がプレータイムをシェアしながら多くの選手が出場していると言えるでしょう。その意味では、昨シーズンは20分台の選手が1人もいなくて、これはつまり出ている選手と出ていない選手の差が極端ということ。DNPもむちゃくちゃも多かったしね。それに比べれば今シーズンは、外国籍の2人が35分以上出ているのは相変わらずだけど、全体的にはタイムシェアが行われつつあることがわかります。

◾︎今シーズンと昨シーズンのPPGとFGA図4

次に見るのはPPG(1試合の平均得点)とFGA(1試合のシュート試投数)。ブラッドさん以外は、出場時間の増えた選手が、そのまま得点・試投数ともに増やしています。松崎師匠なんてPPGが3倍だぜ! さすがにこの水準のままシーズンを終えることはないにしても、3Pの確率を大きく改善するだけでなく、2Pシュートの試投数もかなり増えました。

このあたりにフィッシャーHCのモチベーターとしての才能が現れている気がしていて、プレーの幅を広げるというより、能力的にはできるはずのことをきちんとやらせるという印象を受けます。ま、あくまで個人の感想。

谷口選手と土屋選手がプレータイムを伸ばした要因は運動能力やハッスルでしょう。攻撃に転じた時に、ゴールまで一直線に駆け上がる姿は、彼らの持つ能力が存分に発揮されている感じがして、ここでもまた選手の能力を活かすのが巧みなフィッシャーHCという印象を受けるのでした。ディフェンスもなんかそんな感じだしね。谷さんみたいにスキルで上回るというより、運動量で相手を自由にさせないというか。

ブラッド選手がPPGとFGAを両方とも増やしているのもポイント。昨シーズン、FG%でB2のトップだったブラッドさんは、今シーズンはさらに69.8%というとんでもない高確率でシュートを決めています。これはおそらくそれだけ楽な形でシュートを打てているということ。思い返してみると、ローポストでブラッドさんが頑張って頑張ってねじ込むみたいなシチュエーションは減ったよね。このへん、数字で出せるといいのだが、ポストアップの回数まではデータがないので、やっぱりあくまで個人の感想の域を出ない。

◉「エースはいない」チームの戦い方

選手の能力を活かすということは、言い換えればその選手の役割をはっきりさせる=限定するということでもあります。そうして個人の活躍できる場面を増やすことで、フィッシャーHCは「エースはいない」というストークスの状況をポジティブにバージョンアップして今シーズンを戦おうとしているのではないか。

果たしてこの傾向は続くのかどうか。「エースはいない」問題については、さらなる記事化ができればとも思いますが、今回はここで唐突に終わります。悪しからず。


※このnoteは単なるファンの個人的な感想であり、
西宮ストークスとは一切関係のない非公式なものです。


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