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西宮ストークス観戦記#12 vs茨城

台風接近のために開催が危ぶまれた試合。西宮ストークスはギリギリまで判断を保留し、開催を決めました。西宮では風雨ともに落ち着いており、特に問題はなかったようで何よりです。

今節の対戦相手は茨城ロボッツ。はっきり言って強豪です。ただ、外国籍選手のカナーメドリーを欠き、さらに新加入の小林大祐選手が3×3の大会に出場するために帯同せずと、メンバー的には万全ではありません。一方の西宮はコンディション不良のために俊野・内藤の2選手が欠場。両チームともにスクランブル。

◉シューター×ハンドラー

というわけで俊野選手に代わって谷口選手がスタート。谷さんじゃないところがフィッシャーHCの個性。谷選手をあえてベンチに置くことで、攻撃が停滞する時間帯をつくらないようにしたいのかもしれません。40分間の戦いを見据えた起用。谷選手がピックからのハンドルをするようになっていることから考えても、どの時間帯・ラインアップでも同じ戦術で戦えるようにしたいということかな。

そんな西宮のスタートは好調。バーンズ先生のプルアップスリーに始まり、中外バランスよく得点を重ねます。スリーがよく決まったのは青森とのGAME1と同じですが、よりポジティブなのは単にスリーが決まっているだけではないこと。落ち着いてボールを回すことができていて、茨城のディフェンスを翻弄しています。

意識しているのかどうかはわかりませんが、ボール運びを松崎・道原・バーンズが代わる代わるやっていて、どこから攻撃が始まるのか、守っている方にわかりづらい。あちこちでピックプレーが起こっていて、ハンドルできる選手も多い。元々あった強みであるシューターたちに積極的にハンドルさせることで、全員が攻撃を仕掛けられるチームになりつつあります。

20点や30点取る選手はいなくても、全員で点を取る。言葉で言うほどこれは簡単ではなくて、ではそれをどうやって実現するのか? フィッシャーHCの答えは、ピックプレーを駆使して、多くの選手がシューターにもハンドラーにもなれるオフェンスを模索しています。

これと同時並行なのが、ブラッドさんというインサイドの強力な得点源を持ちながらも、そこに頼らないこと。今季はブラッドさんがポストアップする回数が明らかに減っています。自分がファーストオプションでなくても、快適にプレーできる、むしろ他の選手のために働く方が好きというブラッドさんのキャラクターをよく理解している。これもやはり簡単ではなくて、昨シーズンあれだけの成績を残した選手に頼らないようにするのは、なかなかできることではありません。

◉進化するディフェンスの向かう先

スリーで必死に食い下がる茨城ですが、1Qの後半からは2桁点差がなかなか縮まりません。これには西宮のディフェンスの巧さが光っています。今日の茨城の攻撃で多く見られた形は、トップにいるオチェフ選手にボールを預け、両サイドのウィングが入れ替わったりしながらそれに合わせて、マークのズレができたところで仕掛けるというパターンです。

しかし、西宮のディフェンスがいいんだ。みんな頑張ってディナイポジションを取り、スクリーンにもオーバーして(スクリーナーの前を通る)、眞庭・福澤・平尾といった茨城の日本人アタッカーたちにいい形でボールを持たせません。仕方なく外へ出てボールを受けざるを得ないので、ゴールは遠ざかるばかり。確率の悪いアイソレーションを仕掛けるしかないケースも多く見られました。

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これらは一連のディフェンスですが、道原選手はスクリーンに対してファイトオーバーしてボールマンをフリーにさせず、谷選手は上手にスクリーを避けて、茨城の狙いであるウィングからのアタックを防いでいます。

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その後、ボールが入らなかったためPGの二ノ宮選手はドリブルでサイドへ向かい、ハンドオフ(手渡し)気味に平尾選手にパスします。しかし、ここでも松崎選手がジャーラ選手のスクリーンを何とかオーバーして、シュートチェックまで行っています。

西宮はスクリーンに対してオーバーするだけでなく、時にはマークマンを受け渡し、頻繁にマーカーをスイッチしていきます。このスイッチングディフェンスが、西宮が進化させようとしているシステムです。受け渡すタイミングが遅れるとすぐにフリーができてしまうこのシステムは、ある意味では「攻撃的な守備」とも言えます。

茨城のオチェフがあまり攻撃参加せず、離しておいても大丈夫なのも大きい。ブラッドさんがアンカーとなり、ドライブに対してきっちり対処して、ゴール下のシュートを落とさせます。このへんは敵ながらちょっともったいないなと思ったところ。オチェフが高い位置でボールを持っても、ブラブラしてるだけだもんね。ブラッドさんはアタックしてくる選手を待ってればいいわけで。

前半の茨城の得点はわずか29点と、ほぼ完封した西宮。茨城の強みである日本人選手をフリーにしないという対策を徹底した、根拠のある2桁リードでした。

たださ、前半最後のこれはあかんやろ。

シュートで終わって外しても14点差で終わるはずが、考えもなく2秒残してシュートを打ち、相手にリバウンドを取られてハーフコートショットのブザービーター。なんでこんなにQの終わり方がマズいんだろう。外しても、最後誰かチェック行こうぜ。完璧な前半が台無しになって、嫌な余韻を残して前半を40-29で終えます。

◉困った時のバーンズ・アタック

そんなこともあって、引き締めて入りたい3Q。最初の茨城の攻撃できれいなスリーを決められ、1桁点差での攻防が続いていきます。茨城は、オチェフに預ける→もらいに行くというオチェフ銀行オフェンスから少し工夫が。ハイピックからのハンドラーの動きに合わせてウィングがサイドに飛び出したり、さらにそこにビッグマンがスクリーンをかけたり。ただ、シュートがなかなか連続で決まらず、思うように差を詰められません。

そんな茨城を尻目に、3Q後半からはバーンズ先生がおなじみの体当たりいや、ドライブからのアタックでフリースローを量産。じわじわとまた2桁リードに戻します。このドライブに周りが呼応して、合わせる動きや、パスアウトからさらにドライブを見せて得点に繋げたのは開幕節からの成長。バーンズ先生のドライブって、戦術としてはとてもシンプルなんだけど、前半とは違うリズムのパターンを中心にしたことで、茨城のディフェンスが後手に回った印象。結局、16点差を付けて4Qへ。

その後もゾーンやオールコートプレスを仕掛けてなんとか打開を図る茨城でしたが、要所をきっちり締めた西宮が勝利。MVPは松崎選手でした。ほぼフル出場のブラッドさんでも良かった気はするけど。

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茨城を62点に抑えたことからも、今日の勝因はディフェンス。それも、スイッチングを駆使しながらの足を使ったディフェンスは、完成すれば大きな武器になるはず。松崎・岸田のプレッシングも効いてました。ただ、勝ったもののかなり消耗はしているはず。そもそも人数が少ないしね。明日も続けられるか、続けられるなら、今季の明るい材料になりそうです。


※このnoteは単なるファンの個人的な感想であり、
西宮ストークスとは一切関係のない非公式なものです。






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