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西宮ストークス観戦記 #1 preview

いよいよ土曜日はアーリーカップ初戦の大阪戦。というわけで、西宮ストークスの2019−20シーズンの展望を書いてみようと思います。

まずはシーズンオフの動きをおさらい。

【OUT】
移籍=大塚(青森へ)・上原(奈良へ)・佐藤(金沢へ) 
引退=梁川

【IN】
継続=谷・松崎・道原・バーンズ・ウォルドー・谷口・土屋・内藤・濵高
新加入=劉・岸田・俊野
  

これらの動きを3つのキーワードに分けて考えてみましょう。

1.継続

一つ目のキーワードは「継続」。そうです、西宮ストークスは継続のチームなのです。現在、契約下にある12選手のうち、昨シーズンも所属していたのは、特別指定選手として途中から加わった浜高選手も含めれば実に9選手。ルーキーを含む7名を新たに加え、大型補強を敢行した広島ドラゴンフライズなどとは対照的です。Bリーグ全体を見渡しても、多い方ではないでしょうか。

再契約組の中で最も大きいのは、やはりブラッドリー・ウォルドー選手でしょう。昨シーズン途中から加入した陽気なビッグマンは、攻守両面で大きなインパクトをもたらしてくれました。

また、谷直樹、道原紀晃、ドゥレイロン・バーンズの各選手とも再契約を果たしたました。昨シーズンの得点傾向を見ると、この4選手による得点がシーズン総得点の74.2%を占めています。さらに、55試合でスターティングPGを務めた松崎賢人選手もおり、チームのコアを変えることなく新しいシーズンに挑むことができます。

ところで、ストークスが継続のチームであることは、今に始まったことではありません。上記の5選手のうち、ブラッド選手を除く4選手はBリーグ初年度から(谷・道原・松崎はNBL時代から)のチームメイトです。チームプレーが時間を重ねるごとにレベルアップしていくとすれば、継続は基本的にはプラスでしょう

そして、今季はブラッド選手と再契約できたことで、昨シーズン後半からのいい流れを持続できることを考えれば、「現状維持」は必ずしも後退ではありません。

昨シーズンの後半40試合、ストークスは28勝12敗と勝率.700の好成績でした。この期間だけを見れば、POに進出した4チームには及ばないものの、B2全体で5位だったFE名古屋を上回っています(だから何?)。

その期間のレーティング(Rtg)を、ブラッド選手の加入前と比較してみました。Rtgとはざっくりと「オフェンス(またはディフェンス)の出来映え」くらいに考えてください。オフェンス(ORtg)は高いほどよく、ディフェンス(DRtg)は低いほどいい数字です。RNetはORtgからDRtgを引いたもので、当然上位チームほど高くなります。

game1〜20:ORtg=99.8/DRtg=104.8/RNet=-5.0
game20〜40:ORtg=105.8/DRtg=96.3/RNet=+9.5

その差は歴然。ブラッド選手のいる時・いない時と、551の蓬莱のCMを思い浮かべてしまいます。

これもあまり意味はないかもしれませんが、後半40試合の数字をB2のランキングと比較すれば、ORtgは全体4位、DRtgは全体5位。RNetはB1昇格を果たした島根を上回る全体4位で、なんとPO圏内だったわけです。怪我など大きなアクシデントがなければ、今シーズンは上位争いを期待できそうです。

2.不在

二つ目のキーワードは「不在」。誰がいないと言うのでしょう? このオフにストークスを離れた選手の顔ぶれを思い出してください。上原壮大郎選手以外は全員ベテランと呼んでいいキャリアのある選手たち。すなわち、ベテランが「不在」なのです。これは意外に大きな落とし穴になるかもしれません。

いや、大塚勇人選手は谷選手や松崎選手より歳下じゃないか。ごもっとも。いぶし銀のプレーがベテランみたい、というのは言い訳ですね。では「ゲームチェンジャー」と呼び換えましょうか。あるいは「シックスマン」でもいいかもしれません。

昨シーズンをもって引退した梁川禎浩選手。主にゲームの途中から登場し、チームのオフェンスが停滞した場面でも、強気なドライブや思い切りのいいシュートで活を入れてくれました。同じくセカンドPGとして出場することの多かった大塚選手は、巧みなボールハンドリングとパス捌きでチームにリズムを与え、嫌な流れを変える試合が何度もありました。

あるいは佐藤浩貴選手は、インサイドのファウルトラブルを救うために身体を張ることを厭わず、ベンチの時間が長かったとはいえ、味方のプレーを全力で祝福する姿は確実にチームに好影響を与えていました。

こうした選手たちは、チームが悪い状態の時ほどその存在感を増すものです。1試合を通して、あるいは長いシーズンの中では、いい時ばかりではありません。悪い流れに傾いている時、それを変えられる選手は貴重です。ストークスの強みでもある継続性は、時に馴れ合いや自由にものが言えない雰囲気を生むこともあります。そんな時のために、プレーや発言によって風穴を開けられる選手が必要なのです。

そうした観点からロスターを見渡してみると、熊本ヴォルターズから移籍してきた俊野佳彦選手は、いい意味でストークスに染まっておらず、シューターとしての得点面での貢献はもちろん、チーム内にいい競争心をもたらしてくれそうな気がします。ハイライトを観ていて感じたのは、オフボールの運動量が多いこと。コートを動き回ってディフェンスにズレを生じさせるプレースタイルも、シックスマン向きではないでしょうか。

あと、新しく加入した劉瑾選手。マイペースで何事にも動じないところが、なんとなくシックスマン向きというか、どんな状況でもブレずに自分のプレーをしそうで、また違った意味で頼りになりそうな気がしています。

3.飛躍

最後のキーワードは「飛躍」です。これまで書いてきたように、ストークスは基本的には継続のチームです。それは、計算できるコアが残ったという点ではポジティブですが、他チームも当然対策を練ってくるわけで、継続だけではチームとして昨シーズンよりも成長することはありません。ストークスに求められる「飛躍」、それはつまり若手選手の成長です

昨シーズン、特別指定選手として鮮烈なデビューを果たした濵高康明選手、正念場のシーズンを迎える内藤健太選手と土屋アリスター時生選手、京都から移籍してきた岸田篤生選手、そして永遠の若手キャラ(?)の谷口淳選手。この5人がストークスの浮沈の鍵を握っていると言っても過言ではないはずです

濵高選手はもうポテンシャルの塊で、今シーズンはハンドラーなどより多くの役割を与えられる中で、どんどんプレーの幅を広げていくスター性を秘めています。周りを気にせず、ガンガンやってほしい(なんだか言動も「キング」っぽいし)。

内藤・土屋選手は若手とは言われながらももう4季目。プロとしてあり続けるための正念場にさしかかっています。フィッシャー新HCが真っ先に指導したという土屋選手は、身体能力をどう活かすのか。リバウンダーあるいはスクリーナーなど、何か一つ自分を証明できるものが見つかれば、今年こそ飛躍できる

内藤選手は昨シーズンに掴んだシューターとしての手応えをより確かなものにすると共に、オフェンスのパターンをどれだけ増やせるか。タイプの違うシューターである俊野選手が入ったことで、プレータイム争いはさらに熾烈になったけれど、逆に学ぶことも多いのでは。

岸田選手は堅実なプレーときれいなシュートフォームが魅力的。周りを活かしながら、虎視眈々と自分で決めるチャンスをうかがっていそうなところもPG向き。そして谷口選手はプレーエリアをどこに定めるのか。シュートの精度を高めて外へ行くのか、インサイドで頑張るのか。どちらも茨の道だけど、ハート&ソウルをプレーの質向上に繋げられれば、貴重な貴重な日本人PFになれる。

個人的には、今シーズンはこの5人がどれくらい成長するかを見極めるシーズンだと思っています。5人の出場時間が伸びれば、戦い方の幅が広がる。要するに、継続をベースとしたストークスにとって、5人はチームの「伸びしろ」というわけです。…ん、この5人のユニット? バランス良さそうじゃないか。

まとめ

三つのキーワードを踏まえて、西宮ストークスにとっての2019−20シーズンをごく大雑把に展望してみましょう。

ベテランの不在にやや不安を残しながらも、チームの核となる選手が揃ったことは、B2優勝(B1昇格)を狙う最上位勢と比べてやや開きがあるとはいえ、大崩れはしないでしょう。普通に過ごせれば、今シーズンから8位までに出場権が与えられたPO進出は可能ではないでしょうか

そのPOをホームで迎えることができるかどうか、POをどこまで勝ち抜けるか、それは若い選手の飛躍にかかっているのだと思います。

というわけで、いよいよシーズンが始まります。今シーズンも目一杯楽しみましょう。

※このnoteは単なるファンの個人的な感想であり、
西宮ストークスとは一切関係のない非公式なものです。

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