『Peace In The Valley 』
私が窓の外を見ると、谷に静寂は訪れていなかった。私のせいでもあったのだけど、兄たちの仕業だって分かっていた。遊び疲れるまで遊んで日が暮れてきたのだけど、私たちは構わず遊びに続けた。私は一つの事実を知った。まだ何も始まっていないということを。真実は一つしかなかった。まだ何一つ始まっていない。
あなたに潜む、小さな嫉妬心に気を付けて。あなたの楽しみを壊してしまうから。そして心の準備をしてほしい。今からが幕開けなのだから。
夕陽が落ちていった。地平線の彼方へ。一日で一番、世界が光輝いていく。夕陽が告げた。薄い光の膜を隔てた、私の弟へ。薄い光の膜を隔てた、私の兄へ。
私が窓の外を見ると、谷に静寂は訪れてはいなかった。私の妹の仕業だって分かっていたけれど、私のせいでもあったのかも。私は谷のみんなを、私の大好きな谷のみんなを見渡した。夢のような時間は砂に変わってしまうのだけど。
夕陽が落ちていった。地平線の彼方へ。一日で一番、世界が光輝いていく。夕陽が告げた。薄い光の膜を隔てた私の兄へ。薄い光の膜を隔てた私の弟へ。薄い光の膜を隔てた私の妹へ。
谷にはまだ、静寂は訪れていない。
『Peace In The Valley』Carole King
写真 超訳 大崎航
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