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『闇夜の冬に走り出せ』

闇夜で木々が、狂った女たちのように踊る。僕は裸になった樹木を見るたびにそう思う。永い永い旅路の果てに辿り着くのはいつも冬。

樹木がカサカサと音をたてることを辞める。

季節は冬には死なない。

躍動しそうだ、走り出しそうだ、裸のまんまで。

永い冬をくぐり抜ける。

もう暴発しそうだよ。僕はこんなことの繰り返しだ。

永い冬をくぐり抜けると、北国ではいつでも爆ぜるような春が訪れる。

写真 小幡マキ 文 大崎航

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