『雪の女王』
雪に覆われた山の頂きから、キノコみたいににょきにょきしている氷の一つ一つを雪の女王が見下ろした。
凍った空を小気味よく羽ばたいて、微笑んではくれたけど、一緒に踊ってくれはしなかった。
パチパチ電気が弾けるみたいな曇りガラスの部屋で、雪の女王の物語は始まった。
キノコたちは自分たちが一番だと信じきっていたけれど、そんな自信は彼女に粉々にされた。
キノコたちは、始まっばかりで、自分たちが負け犬だとは思わなかったけれど。
口先ばかりで宙吊りにされていただけで。
彼女に面白おかしく思われて。
キノコたちは朝の空気の中で、凍って立ち尽くしていた。
そんな姿を氷の女王が見下ろした。
キノコたちは、媚びることも隠れることも許されず。
夜になってもゲームに負けたみたいにつったって。
雪の女王の事を思い知った。
『Snow Queen』Carole King
写真 小幡マキ 超訳 大崎航
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