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一億光年の宝

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北海道別海町中春別の小幡牧場の日常をモデルとした考察の中から産まれたポエム、エッセイの数々。酪農と宇宙を探偵作家土木警備員の著者がコラボさせるなど、好き放題やっている。創作なので…
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#ボブ・ディラン

『男は荒野を進め』

僕だけが一億光年分の価値のある宝物を探しに行く。それは荒野を一人で歩く事と同じ位孤独な行為だ。 誰も僕の背中を押してはくれなかった。 誰もが一億光年分の価値のある宝物の存在を認めてくれなかった。 だから僕は、言葉で言葉で殴り付けてやることにした。 生かすか殺すか。生きるか死ぬか。 殴り付けても、殴り付けても、殴り付けても、誰も宝物の存在を信じてはくれなかった。 もう我慢の限界だ。 いつでも男は、荒野を一人で進む。 ヒタヒタと音を立てる。 足音が、僕の意識を軽

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『北国の少女』

もし北国の祭りに行く事があるのなら、伝えて欲しい。国境に強い風が吹き付ける所だけれど。僕の事を覚えている人たちに伝えて欲しい。僕が彼女を愛していた事を。 雪の礫が渦巻いて、夏が終り、川は凍りつき、吠えるような風が吹き付けているだろうけど。彼女が暖かいコートを身に纏っているか確かめて欲しい。彼女が長い髪を垂らしているか確かめて欲しい。僕は確かに、そんな彼女の姿を覚えているのだから。 彼女は何度も僕の事を考えてくれただろうか。僕は何度も祈りを捧げた。闇夜の中で。光輝く日溜まり

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『Knockin' On The Heaven's Door 』

母さんへ。 他人が僕に貼り付けたレッテルを外して欲しい。 もう使い物にならないから。 何もかも暗すぎて見えないから。 僕は天国のドアをノックした。 天国のドアをノックした。 天国のドアをノックした。 母さんへ。 僕が手にした銃を地面に転がしてくれ。 僕はもう、撃つことはないから。 空が雲に覆われたから。 僕は天国のドアをノックした。 天国のドアをノックした。 天国のドアをノックした。 『Knockin ' On The Heaven's Door』

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『転がる石のように』

昔は綺麗ななりをして。大判振る舞いして、そのうち落ち目に合うって噂され。あんたは嘲りだって突き放し、笑ったよな。ブラついて、職にあぶれた奴らに今はデカイ事も言えないよな。プライドも無くして、飯にありつく事しか考えられなくなって。 どんな気分だよ。帰る家もなくしてさ、思いも至らぬ方に、転がって、転がって、転がる石のように転がって。 偽政者にアーティストだとかおだてられたよな。だけど体を張って生きていく術なんて知らないよな。体を張って生きていく術を覚えようともしないよな。体を

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