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西国三十三所第21番 穴太寺 病気平癒のお寺

西国三十三所、全てに行けるとは、このときまだ考えてもいなかった。
「行けるところはどんどん行こう!」
桜がまだ綺麗な頃、季節柄無鉄砲だった私は、善峯寺(よしみねでら)参拝後に穴太寺(あなおじ)へ向かった。

穴太寺はJR亀岡駅から京阪バスが出ている。
善峯寺から穴太寺へ向かう場合、JRで向日町(むこうまち)から京都で嵯峨野(さがの)線に乗り換え、亀岡まで行くと、片道三十分少々で五百円。おそらくこれが一般的なルートである。
阪急東向日(ひがしむこう)から桂で嵐山線に乗り換え、嵐山へ。片道十分少々で百九十円。JR嵯峨嵐山から亀岡へ。こちらも片道十分少々で二百円。阪急嵐山駅からJR嵯峨嵐山駅まで徒歩二十分とやや歩くため乗り換え案内に出てこないが、交通費は安く抑えられるし、京都・嵐山の観光地を歩ける楽しいルートである。
私は嵐山が大好きである。嵐山の魅力については機会があればそのときに話そう。
(※交通費や所要時間など二〇一九年四月時点の情報です。)

効率よく巡る組み合わせも知りたいとリクエストを受けているため、さらに細かい話が続くが、善峯寺との組み合わせが最適解だとは思わない。あくまでも嵐山に行きたかったからそうなっただけのことである。
西国三十三所巡礼を焦点にするならJR京都で奈良線に乗り換えて一駅の、JR東福寺駅が最寄りの第十五番札所今熊野観音寺(いまくまのかんのんじ)とセットで行くのもよいし、時間が許すなら滋賀方面、第十二番岩間寺、第十三番石山寺、第十四番三井寺なども考えられる。西国三十三所に関係なく参拝や御朱印集めなどをお考えなら、JR京都駅周辺は有名なお寺や神社が選び放題だ。
京福(けいふく)電鉄、通称嵐電(らんでん)に乗り、皇室ゆかりの仁和寺(にんなじ)か石庭で有名な龍安寺(りょうあんじ)を見、撮影所前でJR太秦に乗り換えて亀岡に向かうのもいい。JR嵯峨野線上の花園駅と嵐電の妙心寺(みょうしんじ)駅が最寄りの妙心寺も見応え抜群の大寺院である。JR太秦(うずまさ)駅か嵐電の撮影所前駅や太秦広隆寺(うずまさこうりゅうじ)駅から東映太秦映画村や広隆寺に寄ることもできる。
後で知ったが、穴太寺から徒歩十分くらいのところに江戸時代の画家・円山応挙ゆかりの金剛寺がある。次に行くときはこちらも見て回りたい。
こんなふうに、穴太寺との組み合わせについては多種多様な提案ができる。
そうしてJR嵯峨野線に乗るときは、保津峡(ほづきょう)あたりの景色が素晴らしいので逃さず見ていただきたい。

嵐山の鶴屋長生(つるやちょうせい)で生麩まんじゅうを買い食いした話は割愛する。いつも私は一人で巡るとき、お昼ごはんをまともに食べない。時間節約のため移動しながらの買い食いである。
前置きばかり長いが、さて、亀岡である。
田舎だけれど、鉄道が通っている、道路も通っている、今も鋭意開発中、という趣であった。駅から少し離れると、田んぼや畑が広がっている。駅の裏手や道中の田園風景の中で、大型重機が入っての工事をしていた。第七番札所岡寺で通ったような古き良き奈良の風景と似ているようでいてまた異なる色合いである。京都府下では宇治市に次いで人口が多く、京都のベッドタウンという位置づけらしい。(大阪のベッドタウンとは全然雰囲気が違うなあ。)

穴太寺の最寄りのバス停は穴太寺前である。道路を挟んだすぐ近くにバス停があった。ただ、こちらに着くバスの本数は少ない。
亀岡から穴太口までバスで十分弱。穴太口から徒歩十分少々。こちらは一時間に三本程度本数がある。

穴太寺は、昔話「安寿(あんじゅ)と厨子王(ずしおう)」の厨子王を匿ったお寺である。「今昔物語(こんじゃくものがたり)」や「扶桑略記(ふそうりゃくき)」の文献にも登場する。

参拝だけならすぐに済む。有料エリアだが、一時間もあれば本堂・庭園までゆっくり見て回れるだろう。
薬師如来は絶対秘仏である。西国三十三所のご本尊も、三十三年に一度公開されるのみである。
有料エリアの本堂には「なで仏」がある。穴太寺の見どころの目玉である。布団をかぶり穏やかに横になっている釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)の、布団をそっとめくり、自分の悪いところを撫でる。私は肩こり腰痛持ちなので、肩や腰を重点的に撫でた。ついでに頭も(ヨクナレ、ヨクナレ)。皆が撫でまくるので、木彫りの像は全体的につるつるで黒光りしていた。

多宝塔の見える庭園が美しい。参拝者もちらほらで、混雑することもあまりないと思われる。広い縁側に座りゆっくりと庭を眺め、穏やかな時間を過ごした。

スイーツ巡礼は、豆屋黒兵衛の「竹炭黒豆ろうる」。竹炭や黒豆を使った黒いロールケーキである。
「焼き栗きんとん」を出している若菜屋は、京都を中心に展開し、阪急うめだ本店にも出店している。栗阿彌(りつあみ)の姉妹店である。私の好きな和菓子店のひとつで、以前より何度も購入している。どら焼き「栗璞(りつぼく)」やニッキの香りの「ほっこり餅」などが好物である。

帰りは、スイーツを求めて豆屋黒兵衛に立ち寄り、JR亀岡駅まで、一時間近くかけて徒歩で戻ってきた。
私は頭はさほど良くないが、脚は丈夫なようである。

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第二十一番札所 菩提山 穴太寺

読み:ぼだいさん あなおじ(あのうじ/あなおおじ/あなおうじ)

住所:京都府 亀岡市(かめおかし) 曽我部町穴太(そがべちょうあなお) 東辻(ひがしつじ)46

公共交通機関でのアクセス:
①JR嵯峨野線 亀岡(かめおか)駅より
京阪バス 34系統または59系統
亀岡駅前(かめおかえきまえ)→穴太寺前(あなおじまえ)
所要時間20分・260円
停留所より徒歩1分
②JR嵯峨野線 亀岡(かめおか)駅より
京阪バス 60系統
亀岡駅前(かめおかえきまえ)→穴太口(あなおぐち)
所要時間8分・230円
停留所より徒歩10分

拝観料:
参拝 無料
本堂・庭園 500円
参拝時間:8:00〜17:00

宗派:天台宗
本尊:薬師如来
札所本尊:聖観音菩薩(33年に1度)

主な行事:1月3日 福給会(ふくたばえ)

創建:705年(慶雲2年)
開基:大伴古麿(おおとものこまろ)

札所:
西国三十三所第21番
神仏霊場巡拝の道第130番

御詠歌:
かかる世に 生まれあふ身の あな憂やと
 思はで頼め 十声一声

※上記は2019年4月時点の情報です。

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