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西国三十三所第19番 革堂 猫のいるお寺

革堂。こうどうと読む。昔の表記ではかうだう。正式には行願寺(ぎょうがんじ)。西国三十三所唯一の尼寺である。
山号は霊麀山(れいゆうざん)。麀の字は雌鹿(めじか)の意である。
開基の行円(ぎょうえん)上人は狩人だった。行円が射て亡くなったはずの雌鹿から仔鹿が生まれるのを見て、殺生を悔い、仏門に入ったという。行円がその雌鹿の皮を身につけていたことから革聖(かわひじり)と呼ばれるようになり、革堂という名が通るようになった。
「革堂観音」の大きな提灯(ちょうちん)が印象的なお寺である。

革堂は、京阪本線 神宮丸太町(じんぐうまるたまち)駅と地下鉄烏丸線 丸太町駅の中間あたりにある。京都御所(きょうとごしょ)・京都御苑(きょうとぎょえん)のほど近くである。
私は過去に、阪急京都線 京都河原町駅から歩いたり、烏丸駅で下車して第十八番札所の六角堂に寄ってからその足で向かったり、地下鉄東西線 京都市役所前駅から徒歩で行ったりしている。
この日は確か昼頃に出発し、JR京都駅から徒歩で第十五番札所の今熊野観音寺(※最寄りは東福寺駅だが乗り換えが面倒であった)、第十六番札所の清水寺をまわってから、革堂に向かった。着いたのは夕暮れ時であった。

お参りし、御朱印をいただき、小ぢんまりした境内で大切に育てられている鉢植えの藤袴を眺め、さて帰ろうかという段になって、しゅたっと何者かが躍り出た。
しなやかに舞うそれは、すぐ後に門をくぐってきたご婦人に先導され、二本足で立たんばかりの勢いであった。気づけば、一匹、二匹、三匹、四匹、五匹、と集まってくる。
ご婦人から順番にエサをもらい、おのおのお気に入りの場所で食みはじめた。本堂の軒下、石灯籠の中、香炉の下の空間など、狭いところが好きなようである。

ご婦人が側にいる間、猫ちゃんたちは大人しく撫でさせてくれた。
猫遣いのご婦人が去ると、猫ちゃんたちもいつの間にかいなくなっていた。
ほんの束の間の、不思議な出来事であった。

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第十九番札所 霊麀山 行願寺

読み:れいゆうざん ぎょうがんじ
通称:革堂(こうどう)

住所:京都府 京都市 中京区(なかぎょうく) 寺町通(てらまちどおり) 竹屋町(たけやまち)上ル 行願寺門前町(ぎょうがんじもんぜんちょう)17

公共交通機関でのアクセス:
①京阪本線 神宮丸太町駅より
1番出口から徒歩10分
②京都市営地下鉄烏丸線 丸太町駅より
5番出口から徒歩10分

入山料:無料
参拝時間:8:00〜16:30

宗派:天台宗
本尊:千手観世音菩薩

主な行事:8月20日頃の3日間 幽霊絵馬供養

創建:1004年(寛弘元年)
開基:行円上人

札所:
西国三十三所第19番
洛陽三十三所観音霊場第4番
神仏霊場巡拝の道第114番(京都第34番)
都七福神(寿老人)

御詠歌:
花を見て いまは望みも 革堂の
 庭の千草も 盛りなるらん

※上記は2020年11月時点の情報です。

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