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西国三十三所第3番 粉河寺 厄除観音のお寺

紀三井寺(きみいでら)近くの直売所で購入したじゃばら寒天をお行儀悪く道々つまみながら、次は粉河寺(こかわでら)へと向かう。紀勢本線(きせいほんせん)から、和歌山駅へ戻り、和歌山線へ。紀三井寺駅から一時間ほど掛かった。

和歌山線の粉河(こかわ)駅は、JR線でありながらICOCA(イコカ:JR西日本の交通系ICカード)が使えない(※1)。紀三井寺駅で現金で切符を買った。粉河駅は無人で自動改札機もないため、切符を回収箱に入れた。
聞きしに勝る田舎なり。

山を背に広い道を真っ直ぐ進むと門が見える。紀三井寺は急な階段があったが、粉河寺の境内はほとんど傾斜がなく、足元がよい。広さも、決して小さくはないが三十分もあれば充分な規模だと思う。

御本尊は公開されたことのない秘仏だが、この日は北面の千手千眼観音を特別公開期間で拝見できた。間近で見て、高い芸術性に思わずため息が漏れた。装飾が細かく、道具を持つそれぞれの手には、目の模様が施されていた。

本堂前のやや西側にある国指定の名勝となっている枯山水は、サツキやソテツを背景に大きな石が積まれた豪快な庭園であった。

粉河寺の奥に「たのもしの宮」と呼ばれる粉河産土神社(こかわうぶすなじんじゃ)がある。粉河寺創建時、氏神を勧請(かんじょう)して祀ったのがはじまりという。
お参りをし、御朱印をいただいた。神社の境内に人懐っこい孔雀や鶏が居た。猫も居た。動物たちとしばし憩いの時間を楽しんだ。階段脇の狛犬も仔犬のようでかわいらしかった。

粉河のお店の方は商売上手であった。接客上手で、土産物も充実している。
粉河寺の入口、駐車場近くの粉河茶屋で果物やスイーツ、お土産用お菓子の販売をしていた。羊羹が三本セットでお安く、お土産に購入した。
軽食もあり、手作りの柿の葉寿司で遅めの昼食を摂っていると、いつの間にやらバスツアー客の列ができていた。一人の男性がお店を覗き、「ここはフンガジいうんですか」と聞いていた。何のことかと思った。お店の方もポカンとしていた。ややあって、お店の方が「コカワです」と言った。ああ、なるほど。お寺の名前が読めなかったのだ。あまり調べたりせず、ツアーで連れてきてもらうと、そういうこともあるのか。

スイーツ巡礼のラインナップも多彩だ。駅からお寺までの間の、大きな交差点の角にある観光特産センターこかわにて求めることができる。中にコーヒーなどで一服できるイートインスペースもある。
ほろにがスイーツはっさくブーロは、スライスアーモンドの乗った薄いクッキーのような焼き菓子で、はっさくの渋みが残る大人の味わいであった。はっさくは、粉河・紀の川市の特産品である。商工会の奥様方が規格外のはっさくを美味しく食べるために開発されたそうだ。
きのくにシュトーレンには、フルーツ王国和歌山のドライフルーツが入っている。ハンドメイドのお菓子は他にも、フルーツ大福や、はっさくパウンドケーキなどがあり、スイーツ好きにはたまらない。

帰りはJR和歌山線粉河駅から、橋本駅で南海高野線に乗り換えて新今宮へ。大阪駅まで、帰路だけで二時間の道のりであった。

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第三番札所 風猛山 粉河寺

読み:ふうもうざん こかわでら

住所:和歌山県 紀の川市(きのかわし) 粉河(こかわ)2787

公共交通機関でのアクセス:
JR和歌山線 粉河(こかわ)駅より徒歩15分
※ICOCAなど交通系ICカードが使えないため、切符をお買い求めください。(※1)

拝観料:無料
本堂内拝料:300円
北面観音特別公開中本堂内拝料:700円
時間:8:00〜17:00

宗派:天台宗、粉河観音宗
本尊:千手千眼観世音菩薩(永久秘仏)

主な行事:12月18日 童男会

創建:770年(宝亀元年)
開基:大伴孔子古(おおともくじこ)

御詠歌:
父母の 恵みも深き 粉河寺
 ほとけの誓い たのもしの身や

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粉河産土神社

読み:こかわうぶすなじんじゃ
通称:たのもしの宮(頼母子乃宮)
※正式には、土の右肩に丶がつく。

住所:和歌山県 紀の川市(きのかわし) 粉河(こかわ)2788

公共交通機関でのアクセス:
JR和歌山線 粉河(こかわ)駅より徒歩20分
※ICOCAなど交通系ICカードが使えないため、切符をお買い求めください。(※1)

拝観料:無料

※上記は2019年4月時点の情報です。


追記:
※1 2020年3月14日より和歌山線がJR西日本ポストペイエリアとなり、ICOCA、チャージなしのPiTaPaともに利用できるようになった。

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