不妊治療の振り返り

不妊治療で一番辛かったのは、その辛い気持ちを一人で抱えるしかないことだった。

近い友人たちは、自然妊娠で授かっているので不妊治療の話を深くできなかった。

不妊治療はじめたんだ、とは伝えても、それ以上詳しいことを話したところで相手も気を使うだろうと思い治療中の愚痴を言えなかった。

私もそうだったけれど、不妊治療はやってみないと分からないことが多くて、たまに『うちは夫に野菜スープを作って飲ませるようにしたらできたよ』なんてアドバイスをもらって、う〜んそういうレベルの話じゃないんだけどな、、と思ったりもした。

もちろん、善意で言ってくれているので気持ちはありがたい。

本来は、夫が一番の理解者であって欲しかったけれど仕事と通院の両立の難しさや、移植後に着床しなかった悲しさを訴えても共感してくれることはなかった。

よく、男女の違いとして男は解決策を求め女は共感を求める、なんて言われるけれど、

その通りで私は自分が辛い時、ただ、がんばってるね、今回は残念だったけどまた次があるよ、と励ましてほしいだけだった。

それの何が辛いわけ?だったらもう病院いくなよ、そんなこと考えても仕方ねーだろ、と言われる度、どうして不妊治療は原因の如何に関わらず女ばかり苦労しなければいけないのだろうと呪った。 

そりゃあまあ、体の構造上仕方ないのだけれど。

私の伝え方が下手だったのかもしれない。ただ、うちの夫は人の気持ちなんて考えだけ無駄と断言するような人間だからどのみち共感なんてしてもらえなかっただろう。

そういう人を選んだ私の責任だし、共感してほしいなんて我儘だったのかもしれない。

もう一つ辛いのは、やはり高額な費用だった。

毎回、数万〜十数万、時に数十万の支払いは中々来るものがある。いつからかお会計タイムは心を無にするようになっていた。

胚盤胞移植で、一度目はかすりもせず二度目は稽留流産、三度目で出産にたどり着いた。

検査から出産に至った妊娠確認まで一年と一ヶ月ほど、費用はおおよそ合計160万円だった。

いくつか凍結した胚盤胞が残っているので、時期を見てまた移植できれば良いなと思っている。

その頃には保険適応になっているのかな。

あとは地味なところで、不妊治療を始めてから芸能人の方の妊娠出産のニュースが苦手になってしまった。

あまりに遠い存在なので、すべて順風満帆なように見えて妬んでしまうみたい。

実際はそれぞれに悩みや事情があるのだろうし、そもそも順風満帆で何も悪いことはないのに、心の狭さゆえ。

何にせよ、数十年前なら叶わなかったであろう私たち夫婦に子供を授けてくれたのだから現代の医学にめちゃくちゃ感謝している。

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