最近読んだ本【9月12日】
ここ1ヶ月、もしくは2ヶ月の間に読んだ本の中で「面白かった!」と思った本を紹介をしようと思います。
1.「竜とそばかすの姫」細田守
高知の田舎町で父と暮らす17歳の高校生・鈴は、幼い頃に母を事故で亡くし、現実世界では心を閉ざしていた。だが、もうひとつの現実と呼ばれる、インターネット上の超巨大仮想空間「U」に「ベル」というアバターで参加することに。ずっと秘めてきた比類なき歌声で瞬く間に世界から注目される歌姫となった鈴は、「U」の中で「竜」と呼ばれ恐れられている、謎の存在に出会うーーー。
細田守監督が自ら書き下ろした原作小説!
【本書引用】
映画を観てボロボロ泣く程に感動したという事で映画を観た数日後に購入した本。
基本的には映画と同じ内容ですが、登場人物の心情がわかるのが本の良さ。
映画の各シーンでの心情がわかるためまるで答え合わせのような楽しみ方が出来ましたし、映画では描かれなかった部分も多くあったので、映画を観た人にこそぜひおすすめしたい本です。
映画の方では最近ドルビーシネマ上映が始まったようです。最高の音質で4回目の鑑賞を楽しみたい!!
2.「medium」「invert」相沢沙呼
「medium」
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力をくみあわせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていたーー。
【本書引用】
「invert」
緻密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される…はずだった。だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが…。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れられるのか?
【本書引用】
たまたま立ち寄った書店で「去年ミステリー界で話題となったmediumの続編が出た!」と大々的に紹介されていたので、気になって前作ごと購入しました。
本作でキモとなっているのがヒロインである城塚翡翠が霊媒であるという点。
mediumの解説である通り、例え死者の言葉を伝えることが出来たとしてもそれ自体に証拠能力は無い。
つまり犯人がわかったとしても最終的には論理に落とし込まなければならないということ。
最近流行りの「特殊設定ミステリー」は読んだことがなかったので新鮮で楽しめました。
続編であるinvertは前作と打って変わって犯人側の視点から描かれる倒叙ミステリーとなっており、城塚翡翠が犯人を怪しむ様子にドキドキしながら読んでいました。
霊媒で死者の声が聞こえるという設定は最近よくある特殊設定ミステリーの中でも目を引くほど珍しいものではないはず。ではなぜ本書が去年「このミステリーがすごい!」と「本格ミステリー・ベスト10」で1位を獲得出来たのか…。
それは読んでからのお楽しみ。
3.「リボルバー」原田マハ
パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという。
「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」
ゴッホとゴーギャン。
生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。
【Amazon引用】
美術に関する歴史を知らない方でもゴッホとゴーギャンの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか?
彼らは共同生活を送る程の友人関係でした。
しかしそんな彼らはとある出来事から共同生活を終えることになります。
生きているうちに世間から絵を認めて貰えず最終的には非業の死を迎えたゴッホ。
安定した職を捨て、妻子からも見放され絵を描き続けたゴーギャン。
「孤高の天才」そんな言葉がふさわしい彼らの人生は果たして幸せなものだったのでしょうか。
ゴッホの自殺に使用されたリボルバーの謎を通して描かれる彼らの花火のように激しくそして儚く散った物語。
絵に興味があるなしに関わらず楽しめる本です。
原田マハさんの書かれる美術ものは知識が無くとも読みやすく面白い。そして読了後のジーンと心が温まる感じがたまらなく好きなんです。
そんなこんなで原田さんの美術ものを読みまくっていたら自然と美術に関する知識が付きました(笑)
この現象ダン・ブラウンの「ダヴィンチコード」シリーズを読んだ時にも経験したな…。
4.「原因において自由な物語」五十嵐律人
謎を解かなければ。
私は作家なのだから。
人気作家・二階堂紡季には、
誰にも言えない秘密があった。
露呈すれば、すべてを失う。
しかし、その秘密と引き換えにしても、
書かねばならない物語に出会ってしまい――。
【Amazon引用】
インパクトのある装丁に目を引かれ購入した本。
Amazonの解説だけでは物語がわかりにくいと思いますので軽く補足説明しますと、
主人公の二階堂紡季の恋人が高所から転落事故を起こした事で物語が展開していきます。これが果たして事件なのか事故なのか。そこには昔発生した高校生の転落事故も関係しており…。その謎を解き明かすミステリーとなっています。
著者が現役の弁護士という事もあり、本書の内容も弁護士に関する内容となっており、何を隠そうこの一見意味が分かりにくいタイトルも「原因において自由な行為」という法律論から来ています。
ミステリーの内容もさることながら個人的に深く印象に残ったのは学校内で展開される歪な人間関係です。
とあるアプリが発端で起こる学校内カーストやイジメ、現代社会でも起こりうる問題はフィクションの中だけの世界で留める訳にはいかない課題が沢山あると感じました。
私自身現役で先生をしている人と話をする機会があり「今の子たちはかわいそうだ。スマホが普及したことで家に帰っても学校の人間関係に悩まされなければならない」ということを先生が仰っていたのを覚えています。
便利の代償として新たに生まれた課題。
本書は弁護士である著者からの問題提起だったのではないだろうかと思いました。
5.「創作する遺伝子」小島秀夫
「メタルギアソリッド」シリーズ、「DEATH STRANDING」等を生んだ天才ゲームクリエイターの創作力は、本、映画、音楽への深い尊敬と情熱によって焚きつけられていたーーー。散文集「僕が愛したMEMEたち いま必要なのは、人にエネルギーを与える物語」を再構成し改題。会社独立後から現在にいたるまでの想い、新作への意欲を新たに書き下ろした熱烈なる偏愛エッセイ。
【本書引用】
ゲーマーでもある私は最近小島秀夫監督の「DEATH STRANDING」を購入するか悩んでいました。そんな時見つけたのが本書。
「メタルギア」というゲームの名前をみなさん聞いたことありますか?
国内海外問わず非常に人気の高いゲームでその理由としてはまず「潜入」というゲーム性にあります。
シューティングゲームでよくある銃でドンパチしながら進めていくようなものではなく「潜入」ですので隠れながら極力戦闘を避け敵地を進んでいくゲームとなっており、これが当時としては珍しいゲーム性ということで話題となりました。
それだけでなく、映画的な演出、銃や戦争や核兵器を扱ったゲームにも関わらず反戦をテーマにした緻密で深い物語設定。そうした事がきっかけとなりメタルギアはたくさんのユーザーから高い評価を受けました。
そんなメタルギアを生み出した天才の知の源泉はというと、本や映画や音楽といったMEME(文化や習慣や価値観などを次世代に継承していく情報)。
そんな監督に影響を与えたMEME達を紹介しているのが本書となっております。
ゲームのファンでもある私にとっては、メタルギアの物語はここから来ているのかという発見もあり非常にオタク的な楽しみ方が出来てよかったです(笑)
6.「正義の教室」飲茶
ソクラテス、プラトン、ベンサム、キルケゴール、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。
人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは?
私立高校の生徒会を舞台に、異なる「正義」を持つ3人の女子高生のかけ合いから、「正義」の正体があぶり出される。
【本書引用】
哲学は私自身好きな学問の一つで哲学に関する本を何か読みたいなーと思って本屋を徘徊していた時にたまたま見かけた本。
個人的にですが、いままで読んだ哲学入門書のなかで1番分かりやすく読みやすいと思った本です。
マイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」は昔読みましたが、初学者には圧倒的にこちらをおすすめします。
「功利主義」「自由主義」「直観主義」にそれぞれ重きを置く3人の女子高生と彼女らによって正義とは何かを深く考える事になる主人公。
哲学の授業を通しそれぞれの主義に関する歴史や考え方、そして問題点などを学び、学校で問題となっているあることに対し最終的に判断するという物語となっています。
物語として哲学の知識が頭に残るのが本書の非常に良い点だと感じました。
火災現場にあなたはいます。
30人の幼児と自分の娘、助けられるのはどちらか一方。
あなたはどちらを助けますか?
最後に
最近はまあまあ時間に余裕があったので仕事の隙間時間や家で本をひたすら読んでいました。
本屋にも割と高い頻度で通っておりその度に面白そうな本を見つけては購入していたので出費もかなり多くなりました…(笑)
最近新しく本棚を設置しましたが既に収納の限界を迎えそうになっているのでまた新たに準備する事を検討しなくてはいけないかもしれません(笑)
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