温泉むすめ炎上問題の整理と考察

お久しぶりです、りんろんです。

Twitterで最近物騒な議論になっている温泉むすめ問題、先ほどようやく本腰を入れて観察してきたのですが、あまりにも要領を得ないというか議論がこんがらがっていて、自分のためにも少し整理したくて重たい筆を起こしてきた次第です。

なのでいつものゆるゆるエッセーという感じではないけど、お時間許す方はぜひ眺めていってください。何が起こっているかを簡単に知りたい方の参考にもなると思います。ただし、主要な意見をTwitterで集めているため、偏りが生じる可能性も十分にあることもご承知おきください。


・目次

ー温泉むすめとは?

ー炎上の経緯

ー主要な意見(批判/肯定)

ー私見総括

最初に概要と経緯を、そしてそれに対する主要な意見と私見をまとめます。経緯や解説についてはなるべく中立を保ち、他人の意見と私見、一般論を明確に区別して書こうと思います。

それでは、問題の中身について見ていきたいと思います。

温泉むすめとは?

温泉むすめとは、各温泉地をモチーフとした想像上の二次元キャラであり、これを用いて温泉の魅力を発信し、地域活性化を行なっているものです(以下リンク参照)。

初出は2016年で、現在では日本各地約120の温泉地ごとにキャラクターが設定されています。詳細は長くなるので省きますが、キャラクターを演じるキャストによるライブや、温泉地でのトークショーなどなど様々な形で発展しています。

温泉むすめプロジェクトの最大の特徴は地域おこしに特化していることで、現地に訪れてもらうためにグッズは現地でしか買えない(ネット通販も禁止)ようになっていたり、一業者一アイテムのみの販売に限定することで温泉地での周遊を促進しているなどの工夫が凝らされています。

温泉むすめプロジェクトは、市の公認キャラクターになったり、温泉地の観光大使として公式に設定されていたりします。また、このプロジェクトは観光庁の後援を受けています(ただし、補助金などの支援は一切受けていないとのこと)。

・炎上の経緯

きっかけは、Twitterで仁藤夢乃@colabo_yumenoなる人が11/15に出したツイートで、温泉むすめが性差別で性搾取的であると主張したことです(参考までに、仁藤氏は女性差別撤廃や性暴力、性搾取を無くそうという活動を行なっている人で、フェミニズムを掲げています)。このツイートが擁護/反論を呼び起こし、フェミニズムが抱える問題や地域おこし論と混ざり合って大きな議論を呼んでいます。夜這いやスカートめくりなどに関連するキャラクターがいることから、これを不適切とする意見が多いです。

温泉むすめ公式は、この騒ぎを受けてホームページをわかりやすく変更したり、不適切と思われるキャラ設定について変更するなどしています。

・様々な意見

ここでは温泉むすめについて批判的な意見と肯定的な意見をそれぞれまとめてみます。(**)は自分のそれに対するメモ代わりの私見で、後で変わる可能性も十分あります。

・批判系

ーーー「性差別で性搾取である」

キャラクターの多くが幼い顔立ちであったり、胸などを強調している描写が多く見られることを批判する人は少なくないです。

(*性差別的か性搾取的かの基準がわからない。それは人によって受け取り方は千差万別で、一歩間違えればそれってあなたの感想ですよね?になりかねない。一方で、あなたの感想であっても最大限尊重されなくてはいけない。*)

ーーー「公共の場にふさわしくない、選択制がない」

例えば多くの場合、性的描写がある創作物は規制がかかっていたり、自主規制をかけていたりしており、それを通過する意思がないと閲覧者の目に入らないようになっています。一方で温泉むすめは温泉地に行けば否が応でも目に入るもので、不愉快に思う人が目に触れさせないという選択ができません。この点で公共の場にふさわしくないという意見です。

(*幼い子供にどう説明したらいいか、僕も困ります。*)

ーーー「国が公式に後援しているのが良くない」

ガルパンや艦これなどにも同じような描写を持つ二次元キャラクターが見られますが、温泉むすめとの最大の違いは国が支援しているかどうかです。国が支援するということは、私的な擁護などとは異なり、日本の文化の代表として認めたことになります。温泉むすめのようにいまだに賛否の議論がなされているような文化について正式に国が後ろ盾を与えるのは危険だという考え方です。

(*批判意見の中では最も腑に落ちた。一方で温泉むすめに限らず二次元キャラクターは訪日外国人の取り込みにも一役買っているようなので、その点で観光資源としての役割を十分に果たしており、もはや立派な日本の文化であることは否めない可能性がある。*)


・肯定系

ーーー「プロジェクトに女性が関わっている」

声優やデザイナーなどは女性も多く関わっており、温泉むすめを性差別だと批判することは彼女らの仕事に対して失礼だという意見です。この派生系として「男女平等を謳っているフェミニストが社会進出を果たした女性クリエイターの仕事を潰すのか」という意見もあります。

(*女性が関わっていようがなんだろうが他人に対して害をなすものはアウトでは?一方で、温泉むすめが害になっているかの議論は必要*)

ーーー「単純に温泉の営業妨害するな」「温泉の必死の起死回生案を潰すな」

温泉むすめの経済効果はきちんと数値を確認したわけではありませんが、相当なもののようです。過疎化が進み、さびれつつある温泉地にとっては起死回生をかけたプロジェクトであるはずです。

(*これも他人を不快にさせないという線引きを守った上で営業する必要はある。一方でカレーすら嫌いな人がいる以上、どれだけ勘案して製作したところで批判は付くだろう*)

ーーー「夜這いやスカートめくりなどは温泉地の伝説をゆかりにしている」

例えば夜這いは小野小町の百夜通い伝説、スカートめくりは河童伝説を由来としているそうです。

(*教養ある意見だなと思う一方、それが多くの人に伝わっていないということは批判されても仕方がないと思う。温泉地に実際に行けばわかる仕組みになっているのかもしれないが。*)

ーーー「単なる架空の話にケチをつけるな」

架空の話なんだから、そこに現実世界の諸々を持ち込むなという意見です。これは例えばアダルトビデオなどの閲覧に関しても擁護論としてよく使われます。

(*現実と空想の区別がつかない人はダメ。それはそう思うけど、その空想物が現実に侵入してきているからなぁ。*)

ーーー「温泉むすめの企画は5年前からあったし、今更炎上させるっていうのが気分次第で燃やしてるの見え見えで納得いかない」

(*それはそう思う*)



・私見総括

(ここからは完全に自分の意見なので、中立性は失われます。これに対する反論はもちろん受け付けます。)

どの意見ももっともと言えばもっともだし、どの意見も反論できると言えば反論できる内容で、それらを一覧しながら僕自身の意見もあっち行ったりこっち行ったりでした。

ただ、それでも全体を通して思ったことはいくつかあります。確かに、なんでこんなにパンツ見えそうなキャラクターとかが巷では溢れているのか?という疑問や、それでも批判などのリスク込みでこういうのを使わないと人が集まらないほどヤバイ状況なんだろうな、という納得、そして過激フェミニストはなぜここまで燃やしたがるのか?という疑問まで。

最近こそTwitterや観光地などでたくさんの二次元キャラクターを目にするので、もはや何も思わなくなっていましたが、僕も中学生くらいまではこういったキャラクターは苦手でした。過激すぎるし、どういう反応すればいいか困るし。そういう意見が世間に当然あることは忘れてはいけないと思います。こういうキャラは皆若い女性というのも差別感がないかと言われれば嘘になります。別にイケメンキャラでもいいじゃん(温泉むすめはむすめという名前で始めた以上仕方ないが)

しかし、実際こういうキャラクターは各所で大成功を収めており、温泉むすめに限らず観光業の中核を担っている地域も少なくありません。これがないと食っていけなくなる=不幸せになる人が確実にいます。

今回過激フェミニストたちの主張は温泉むすめが性差別、性的搾取を煽り、それにより性犯罪を増加するというものが主でした。もちろんその可能性が無いとは言い切れません。でも、数値に現れるほど犯罪数が増加したという話は聞いたことがありません。もちろん個別案件としてあるにはあると思うし、そういうものを少しでも減らそうとするフェミニストたちの活動には大いに賛成します。ただ、確実に失業者が出るものと、数値に現れない程度で、別の対策も取れる犯罪防止を天秤にかけたらどれくらいがどちらを選ぶでしょうか。


僕は議論をするときに、なぜお互いの意見を潰し切るまで戦わなくてはいけないのかと考えることがよくあります。多くの問題は0か1かで絶対的に決まらないから議論が続いているわけです。そういった問題に対して完全に相手を叩き潰しに行く行為は、問題解決が主眼にあるというよりはストレス発散など別の目的のためにその問題を消費しているに過ぎないと感じるのです。

議論の主役となる主語についても、多くの場面で不適切な使用がなされていると感じます。例えば、今回Twitterでよく見かけたのは「性的なコンテンツを擁護したい男性と声を上げた女」といった使い方でした。ここでは男性と女性で明確にラインを区切って、男性vs女性の構図を作っています。しかし、実際の意見を見たときに、女性でも温泉むすめを肯定している人もいれば、男性でも批判している人もいます。女と男、というように大きな主語で敵味方を括るのはあまりにもガサツです。

つまり、今回の炎上問題は戦争ごっこのように感じるのです。何か火種(実際の戦争では領土とか)があったときに、敵味方を明確に区別して(中間層を排除して)感情を煽り、敵を完膚なきまで潰すという戦争です(今回は過激フェミニスト側からの一方的な侵略戦争にも見えます)。

僕は今回の問題は、まとめれば温泉観光地における二次元キャラクターが一部不適切で、不愉快に思う人がいかねないというところに収束すると思います。身近にある火種で戦争ごっこをしている場合ではありません。実際に地域の人たちの生活に恩恵をもたらしており、より効果的な代案がない以上、温泉むすめによる地域活性化効果のプラスと観光客の不愉快さのマイナスを足した値をより大きくする案を考えるべきです。

温泉むすめ公式側は苦情に対して不適切設定の削除などによって対応しました。僕はここに、問題を少しでも解決したいという意図を感じました。一方で過激フェミニストたちはこれをさらにサイレント削除だなどと言い、余計に煽っているように見えます。理想論を振りかざすだけで、実情も把握する気がないし総合的な問題解決にも興味がないんだろうなと感じてしまいます。

フェミニストたちの活動には意義はあります。多くの女性が思っていることでも男性は気づいていない場合があるからです。フェミニズムはそれを代弁する方法として優れていると思います。例えば#KuTooでの「ヒールやパンプス以外の靴も職場で使えるようにして欲しい」という議論は素晴らしい環境改善効果があったと思います。女性ならではの視点でドシドシ意見を言うべきです。男性たちの意見ともすり合わせて、より良い社会を目指したい。でも、理想論だけ振り回してそれを実現できないことに文句を垂れるのは違うと思う。男性女性の構図だけに限らず、両側が程よく意見を通して妥協をできるだけ少なくする、そんな社会は理想論なんでしょうか?


以上です。長々とお付き合いくださりありがとうございました。

意見等あればぜひお願いします。僕もどんどん自分の考えをアップデートしたいので。リプでもDMでも対面でも!


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