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父が自作した天然木の渓流タモに網をつけた話

エピローグ

渓流釣りにハマった昨年(2023年)、父は我ら夫妻に自作のタモをくれた。父は20代で鮎釣りにハマってから40年以上川釣りに心奪われてきた。


父は何本も何十本も、鮎タモや渓流タモを自作してきた。
自分で使ったり人にあげたり。
しかしここ10数年は、作業小屋に作りかけのタモ枠がほこりをかぶっていた。

昨年2人で渓流釣りを始めてからしばらくして、父は作業小屋を探り、『お前らにやるよ』と2本のタモ枠を出してきた。『自分らで網つけて使うといいよ』と。

父から手渡されたのは渓流タモ枠、
直径24cm、材質はモミ、竿尻には鹿の角、籐で飾り巻きして漆で仕上げた超激シブな渓流タモ枠であった…
…素敵…ありがとう…‼︎

直径24cmのかわいらしい渓流タモ枠
鹿角は『水難除け』のお守りとなるそうです。
最強じゃん!

しかし我ら素人にこんな玄人アイテム、扱えるのか…!
その前に、私はこのタモに自力で網を取り付けて、無事完成させることができるのか…

材料集め

まず、タモの替網はどこで手に入るのか。
行きつけのイシグロ清水町店と、「渓流釣りといえば」の相模原のフィッシング相模屋に電話。しかし両店とも口を揃えて言うには、渓流タモ網業界の大手メーカー『シミズ』が昨年の2月に廃業しているとのこと。
…そんな…!
それぞれ全店の在庫を調べてくださったが、なかった。
しかし後日、イシグロの担当さんから電話があり『ネットで探してみたら、奈良の魚網メーカーのオンラインストアで買えるみたいです!』とのこと!
自社の利益にならないのに!顧客の気持ちに寄り添う姿勢、素敵!大好き!だからやめられない!毎日通っちゃう!
と、いうことで吉田漁網の替網ゲット。直径24cmの編み目2mm、モノフィラメント。5,280円。…グっ…でもこれはロマン、金額ではない…

https://y-net.biz/

あと必要なのは、玉網取付セット。これは安定の京日輪NICHIRINのものを。真鍮のワイヤー、組糸、針、結束パイプが入っている。糸は黒でシブ目に。

これも取り寄せ。
https://ayu-okano.co.jp/?pid=60789738


網つけ作業

まず替網のフチに真鍮のワイヤーを通していく。狂おしい程細かい作業だが、こういうの嫌いじゃないので、とても楽しい。

たのしい
ここまではあっという間

ワイヤーを一周通した。ワイヤーの片側に結束パイプをアロンアルファで取り付け、これをタモ枠に仮固定する。(結束パイプ位置は柄の下に)
写真を撮っていなかったけど、園芸用のソフトワイヤーで枠に仮固定したのが良かった。野菜などの茎を支柱に固定する緑色のヤツね。枠を傷つけずしっかりと固定することができた。
真鍮ワイヤーは円周より3cmほどオーバーでカットしておく。

セットに入っていた組糸でタモに編み付けていく。
(スタートは10cmほどとっておく。)
編み付け、これが大変だった!ワイヤーを通した替網を組糸で取り付けていくんだけど、2回くくりにしたり3回くくりにしたり、途中でヨレたり、目数を変えたりと、3回やり直した。
キツく締めるコツは、括ったところに水をつけて締め上げること。これによりグッと固定される。しかし、やり直すときにほどくのが大変だった。。

試練の時やで

結局3回くくりで、横糸はタモの内側を通し外からの見た目を重視した。
3/4ほど取り付けたところで真鍮ワイヤーの長さを決め、ペンチで切断して結束パイプに固定する。

完成!編み付け終わりは編み始めの糸と固結びしてアロンアルファで固定。鈴やアクセサリーをつけられるよう、糸は5〜6cmほど残した。

愛おしいよ!
目数を数えての編み付けは気が遠くなった

評価

【自己評価】
固定の強度、編み付けの目数、なにもかも試行錯誤した1本目。ヨレも少なくしっかり取り付けることができた。

【父師匠より】
・編み付けの横糸を内側を通したことで、外からの見た目にはスマートに仕上がっているが、針がひっかかるリスクがあるかもしれない。実用を考えると外側が良いかも。
・糸の巻き付けは2回で充分固定される。
・試行錯誤して作成することに意味がある。初めてにしてはよく仕上がっているし、手を尽くして紆余曲折したことがにじみ出ている。合格点。苦労して時間をかけて作ったタモに魚を収めたときの感動は何にも変え難い。是非そのタモで釣りに行ってほしい。

さっそく川に連れて行った。
タモは水辺で息をする。

感想

作業中は『網をつけること』に精一杯だったが、本来の目的は『このタモで釣りをすること』『このタモに魚を収めること』である。これは胸が熱くなる。師匠の言葉はいつも私の心をかきたてる。
2本目はさらにワクワクしながら網付けすることができるだろう。非常に良い体験をしたと思う。

実はまだ父の作業小屋に何本もタモ枠があるんですね〜
そして今回のことで師匠にも火がついたようで、『またぼちぼち作り始めるかな〜』と呟いたのを私は聞き逃さなかった。『網付けはお前にまかせるよ』と。

師匠!
替網が高いので、ぼちぼちお小遣いを貯めて作成したいと思いまーす!

↓参考YouTube↓
とてもわかりやすくて丁寧な動画でした!

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