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オラフという友達

先日、幼少期の事をnoteに書いている時に、私の友達のエピソードがじわじわ浮かび、文章にしたいと感じた。

オラフ(仮名)だ。
こいつとは10年近い付き合いである。

彼は、成人をしたのにも関わらず、成人らしからぬ言動をする。

ある日、彼と車で雑談していた。彼は小さい粒のチョコレートがたくさん入った、カップに手を入れながら会話をしていた。
「一個食べたい?」と行った後、自分の素手で鷲掴みしたチョコレートを差し出してきた。

彼の手の熱で少し溶けてしまったチョコレートを見て「あ、いいや」と断った。
彼は、不思議そうな顔をした。

私は彼のことを汚いなと常日頃思っている訳ではないし、家族にやられても断るだろうシチュエーションだったが、多分一般的に見てこれは普通のことなのかもしれない。次。

彼は、辛いものが大の苦手である。

しかし、必ず辛いものを頼むし、からさを最大にする。
「いや、辛いの嫌いだよね」というと、何いってんだという顔をしながら躊躇なく頼む。そして、一口食べて私が食べているものと物々交換しようとしてくる。
私は辛いものが好きだが、こいつと食べに行く時は必ずからさ0のものにする。交換しようと必ずいってくるからだ。自分のことくらい自分で把握しろ。

必ずといっていいほど遅刻をする。

彼は、時間にルーズだ。遊ぶ約束を決めて、その時間に集合して、予定通りに行動できたことはこの10年間一度もない。
本当に、一度もだ。人気なお店に「午前中に予約しないとだから、午前中に行こう」と彼が提案してきたとき、そのお店に4度挑戦したが、全部寝坊してきたため、諦めた。
しかし、彼は自分にルーズな分、私ののろまに対して何か文句を言うことはないし、試着や買い物も付き合ってくれるいい奴なのだ。

だけど、車で家まで迎えにこさせといて、「今お風呂だから待ってて」と言うのはやめてくれ。

集合時間の決め方も独特で、長時間移動する際の集合時間としてお昼近く(10時から2時)を提案すると「でも、お腹空いちゃうからなあ…」と渋る。
別に車の中でも食べられるし、大人になってお腹が空いちゃう云々で集合時間は決めなくない??


彼は、同じ話を一生してくる。

もはや、わざとなのか?と思うくらい同じ話をするのだ。だいたい、2回目で「あっこれも話したのか」となったらその話をする事はないだろう。
しかし、彼は会うたび会うたび同じ話をしてくるのだ。私は、めんどくさいので一通り聞き流した後「それもう4回目だけど」と返す。
すると、「俺、本当に同じ話しちゃうんだよ!この前もさ〜〜」とお決まりの言葉が返ってくる。そのお決まりの言葉は5分くらいのエピソードなのだが、そのエピソードに関しては、彼に指摘する度に出るので、もはや10年間そのエピソードを聞き続けているといっても過言ではない。てか全然その話、この前ではない。


彼は、寝るのが早い。

のび太くん並みに、寝っ転がったら即寝をする。
何度か、旅行や家で泊まることがあったのだが、毎回「俺、知らないところでは寝れないから…」といい、3秒後にはいびきをかいている。
毎回、「すぐ寝たよな」と言うツッコミをするのだが、「俺、すぐ寝ちゃうんだよね」とまたデジャヴを繰り返す。

もう「寝れない」なんて言うな。神経質ぶるな。この無神経男が。


彼は、騙されやすい。

私も大概で、よく人に騙されるが、彼はもっと騙されやすい。
て言うか、地元では「架空の話(知らない話)」をして、どんどんあり得ないことを話して盛り上がると言う事が流行っているのだが
彼の大好きなアニメの話になり、私が全く知らなかったので「ルンバに吸われて死ぬシーン、感動する」と言うと周りはあり得なさすぎて「確かにあそこはね」「でもダイソンにも命狙われてた」と言う訳の分からないノリが始まった。
その時、彼は一番このアニメを知っているから「そんなシーンねえだろ」と気づくはずなのに、一通り終わりみんながもうその話の存在を忘れていた所に、突然「ねえ、あれって何巻?俺知らないかも」と真顔で言ってくる。

ルンバで吸われるシーンが、ナ○トである訳ねえだろ。


彼は、お酒が弱い

飲めた方がいい、飲めないのは悪なんて一ミリも思っていないのだが
彼は一口飲んだだけで顔が赤くなり、あり得ないほど静かになる。ご飯も食べずに人形状態になるような人間は、お酒飲むのをやめた方がいいのだが、彼は口を開けば「飲みに行こう」と言う。

私は、お酒が好きで、弱い方ではないので全然行くのだが、サシ飲みを初めてした日にオラフのお酒の飲めなさに驚いた。
カシスオレンジを一口飲み、私に差し出してきた。代わりにジンジャーエールを飲んで酔いを冷ましている彼に「よく飲みに行こうって言ったね、これ割り勘損しないの?」と言うと「場所を楽しんでいるから」と言う。
そう言いながらご飯も食べずに「食べれない…もう俺いいや…」と言う。拷問????私と、と言うよりあなたは人と飲みに行くことを修行だと思っているの?

こう言う時は、さすがの私も奢る勢いで会計を済ませ、解散をする。それくらい、彼は騙されやすい。絶対私が極悪人だったら、割り勘する。だって得だもん。


彼は根に持つ。

めちゃくちゃ根に持つ。私とオラフで誕生日を祝った男がいるのだが、お返しがなかった。高価なプレゼントと食事を提供したので、私も少し思うところはあったが、善意で行ったものなのでそれ自体に怒ることはなかった。
彼は「意味わかんねえよなあ!バケモンだ!」と怒り狂い、縁を切った。
ちなみに巻き添えをくらい、私もそのバケモンと呼ばれる人間と関わりがなくなった。2年経った今でも、同じ熱量で怒り狂う彼を見る度に(よくこのことは忘れないよなあ)と思う。


性格が悪い。

そう、単純に性格が悪い。彼は、基本人に興味がないので、人を助けたりしない。
そうして、卒業式の話をする度に「泣きたかった」と言う。
「いや、泣きそうだったとかはわかるけど、泣きたいってなに」と聞くと
「泣いてる方が、俺の株が上がったし、周りからいい人だと思われたかった。ずっと泣きたくて、合唱の時やっと泣けそう!って思ったらお前と目が合って泣けなくなった」と語る。バケモンはてめーだよ。


優柔不断

食べ物も、洋服も、すべて迷う。むしろ10年間一番みてきた彼の姿は「迷っている姿」なんじゃないか。
私は、買い物や食べ物を直感で決めるタイプなのでぱぱっと決める。しかし、彼は悩み続ける。この前もイタリアンのお店で15分も迷っていた。お腹が空いていた私はポケーっとしながら、お水を飲んでいた。そして悩みに悩んで、料理を食べている最中に「やっぱアレにすればよかったかな」と言いだす男。決まってからは、もう悩まなくて良くない??????もはや失礼じゃない?????


ズボンのサイズが一緒

マジで一緒。オラフにジーンズを貸す時に「ダボダボだから」と渡すと、「スキニーがいい」と駄々をこねだしたので、「丈が合わないと思うけど」と黒スキニーを渡すとジャストサイズだった。10cmは身長差あるため、彼の足が短いのか、私の足が長いのか。後者だと願っているが多分前者だろう。
オラフが持っているブランドでのパンツを購入するときは、大体オラフのサイズを目安にすると買い物が楽である。便利だ。


そんな彼との出会いも書いてみたが、正直つまらないので読み飛ばして良い。


中学校の入学当初、オラフとは席が近かった。
同じクラブチームではなかったが、小学校の頃に何回かサッカーの練習試合でオラフが所属しているチームに当たった事があった為、なんとなく(こいつ知ってるな)くらいだった。

当時は仲良かったか、と言われるとそこまで仲良くなかった。私の小学校は学力がない分スポーツに特化したような学校だったので、私の出身小学校の人は少し怖がられるという現象が起こっていた。
オラフも、私とは違う小学校出身だったので「俺、お前の近くの席になっていじめられるかと思ってた」と語る。

仲良くなったきっかけは覚えていないのだが、3年間も同じクラスだったのでそれなりに仲良くなったまま卒業。高校が同じだと知った時は驚いたよりも怖いが勝った。同じ高校だという事を知らずに受験日に出くわした。

高校に上がり、私に彼氏ができてから、男の子の友達と遊ぶ事がなくなった。
私が彼氏と別れたのは大学に入ってからだったので、オラフと同じ高校でも遊ぶ事なく3年間が終わった。
ただ、2年生の頃に同じクラスになった。3年でもクラス替えがあったのですぐにバラバラになったが、その1年間は中学校に戻った気分だった。特に、席が前後になった時は授業中に一生喋りかけてきて、一生くだらない手紙を回したり、椅子を引っ張ったりするイタズラに付き合っていたので、席替えをするまで毎日怒られた。


オラフはアホだが、素直な人間だったので、みんなから好かれる「愛すべきアホ」だった。

しかし、私は彼に対して優しいと思った事がない。感謝した事がないのだ。
かといって、怒ったこともない。
そう思っていると、彼も「お前を優しいって思ったことないな」と同じセリフを吐いてきた。意思疎通だ。

高校の時に、私は成長期がきたためハーフパンツがめちゃくちゃ小さかった。その時、オラフのを借りた事がある。それから2年間、ハーフパンツを借りパクした、なんなら今でもパジャマとして使っているのだが、彼は怒っていない。

代わりに、彼が鼻くそをほじって、私のたっかいジャケットにつけても怒らなかった。「服とか大事にするから怒るかと思ったけど、驚きだった」と言っていたが、普通にその前情報ある奴の服に鼻くそなんかつけるなよ。

しかし、10年間一緒にいて、感謝をしない事があるのか。

この前、その話題になり、必死に10年間の記憶を遡ってみた。
お互い「辛いもの食べてる時にバニラアイスくれた」「試着する時、試着室の前で待っていて意見を言ってくれた」と言う最弱エピソードしかでなかったため、お開きになった。


今思えば、この10年間誕生日をお祝いしたり、何かお互いのためにしたことはなかった。
いや、別に思い返しても「しよう」とは思わないのだけれど。なんだかんだ、性格が悪い人には性格が悪い人が寄ってくるのかも知れない。けれども、悪いやつではない。いい意味でも悪い意味でも、素直に自分を出せる友達というのは素晴らしいですね。そう思いながらこのnoteを書いています。

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