大学生
大学生が終わった。
大学生らしい事はなにもしなかった。
唯一、私が気になったフットサルサークルはただの飲みサークルだった。
知らない先輩に肩を組まれ、半ば強引にアルコールを飲まされた。これが、大学生らしさならば、私には似合わないなと感じた。
それを楽しいか、楽しくないかは置いておいて、私はとてもプライドが高い。
その空間にいる時点で、私の格が落ちたように感じてしまうのである。否、楽しくなかっただけである。
最初にできた、女子7人グループがあった。
私も毎回のように学食に呼ばれていたが、私だけ学部が異なっていたのと、笑うポイントが違う事に1週間悩んだ。
他の学生がどうだ、この男の子はエッチが下手だ、付き合わないけれどキープしたい、などと話していた。
よく分からなかった。
真昼間から、大学の学食で話すようなことではないだろうと思っていたし、居酒屋の二次会程度の思考回路が低下していないと出ないワードと、思考回路が低下していないと笑えない話。
この会話をして、何になるんだろう。
勝手にキープでも、遊ぶ男の子など作ってればいいけど、それを大学内で作るのは頭が悪いなと思った。その男が、同じように言いふらすことによって大学内での貴方はどう映るのか、考えていないのかなと感じた。
ペッ、と前に座っていた女の子の口から出た食べ物が机に付いたのを見た時に
汚いなと心から思った。全てが。
それから、私は私なりに好きで生きていこうと感じた。
その中で突然手掴みで食べ物をグループの女の子に差し出したことがある。
唐揚げ棒の、唐揚げをひとつ頂戴と言われたのでそのまま手で握って渡した。
普段だったらしないが、なんか、こう、面白いなと思った。
ドン引きしたのち、私はその子と、その子を取り巻く女の子たちから話しかけられなくなった。
『これも、人生だ』
と、心で呟いた。
それから、小中学校からのお友達には“大学で友達ができない女”として馬鹿にされる。しかし、それはそれでいいのかもしれない。こういう、馬鹿にしてくれる友達がいるならば無理に合わない人たちに時間や労力は使わないのが無難なのである。
話が逸れたが、そんな大学生活も終わりを告げた。
1年生の頃に、あまり友達ができなかったが
2年生になるとコロナ禍に見舞われ、学校へ行くことが極端に減った。
しかし、3年に上がる時2浪を果たして新1年生として入ってくる同級生が知り合いだった。
知り合いと言っても、高校の時に付き合っていた男性の友達だったのだが(別れて2年も経っているのに、よく連絡してきたな)と率直に思った。その人とは、何度か集まりで会っていたのだが、個人的なやり取りをした事は無いので、本当に「知り合い」でしかなかった。
どんなパソコンがいいか、教科書はどうすればいいか、どの授業を選べばいいのか、勉強を教えてくれなど、毎日LINEがきていた。
最初は普通に返していたが(学校に聞いてくれ)という内容ばっかになった時に返信が億劫になった。
すると、彼はそれを察したのか「色々聞いてごめんなさい」とLINEを送ってきた。
「1日1回にします!」
と、続いて送られてきてすごいメンタルだなと思った。しかし、めんどくさくなりその連絡すら放置するようになる。
そうなると、関わり自体がなくなる。友達を作る機会というものが、そもそも無かったのかも。
「大学生のうちは、あそんどけよ」
と、バイトの先輩達に言われていた。私が長期休みの度に希望休をとらずに、7連勤、8連勤という社員以上のシフトで働いていたからだろう。
しかし、私は友達ができなかったおかげで勉強をする時間もつくれたし、講義をサボることも無かった。周りは、過去問などを難なく手にいれていたが、私はそれができない分勉強をしようと思えた。
おかげで、落単を1度もせず、GPAが3.5を切る事は無く、非常に優秀な大学生をやり遂げた。
周りはパチンコや飲み会に明け暮れて、単位を落とすことが誇りかのように話した。
それを聞く度に、大学生らしさとはこれなのかもしれないと感じた。
めんどくさい関わりも一切なく、たまに話しかけられたら返す、喫煙所で出来た友達に話しかける、そのくらい緩い人間関係が心地よかった。
バイト先も楽しかったし、家族で過ごす時間も楽しかった、地元の友達とはしゃぐ時間も沢山出来た。
大学生じゃなくても出来たことかもしれないが、大学に真っ当な友達が沢山いたら、出来なかったことだってある。
なので、この大学生活自体に何も不満は無い。
しかし、私はこの実態のない終わりが嫌いだ。
縛られているものが無くなる時が私は苦手なのである。
実態がないからこそ、終わった時になんとも言えない喪失感に襲われる。
それを終えたからと言って、何か変わった訳では無い。私が何か変わったのかと言われれば、何も変わっていないだろう。
経験値だけあがっても、装備武器は一切変わってないので見ただけじゃなにも感じ取ることはできない。
私が大学を卒業したからといって、何も変わらないのだ。
また、ひと月もすれば社会人として縛られる生活になる。
それまで、何も縛られていない自由な時間を謳歌しよう。
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