「お化け」という存在


みんなは、お化けが怖いと感じるだろうか。


私は、普通に怖い。

実際出てきたら確実に倒せない相手だからだ。もし出てきたら、どう対処すればいいのか。この答えがないと言うのが怖い。最悪の場合、向こうは何らかの力で私を殺すことだってできるのに、私はそれをどうすれば回避できるのか、明確な答えがない。

しかし、お化け屋敷に行く機会が何だかんだ多い。自発的には行こうと思わないが、大抵、人に誘われたら行くタイプの人間だ。私を誘ってお化け屋敷に行く人は、大体私よりも怖がる。なんなら、お化けよりも隣にいる人間が抱きついて叫んでいる事が怖く感じる。

大きな音や、大声が嫌いなので、お化け屋敷のギミックは基本びっくりする。しかし、幽霊がこちらに近づく…という行動は、(この人たちが私に危害を加えたら、犯罪になるから大丈夫)(逆にすごくパワー系のビビりが来た時、パニクって殴られたりしないのだろうか)と心配になり、何故か人間に対して冷静になってしまう。
また、ミッションが与えられるお化け屋敷が数多く存在しているが、(私にはやることがあるから)とお化けに構ってらんないぞという余裕を見せつけることが出来る。

高校1年生の頃、成人3人と私、という異色な組み合わせでお化け屋敷に行ったことがある。その時に成人3人組は怖がり、私を先頭にしてグイグイ押した。大人になってもお化けは怖いものなんだな、と感じた。

このように私はお化け屋敷に入れるが、それは人間によって作られた建物での『エンターテインメント』の1部だと割り切っているからだろう。
しかし、ばったり出くわすような本物のお化けは、人生において1度たりとも会いたくないなと思う。

そもそも、お化けが怖いと感じる感じないは、個人のお化けに対する『価値観』的なものだとおもう。

例えば金縛りを、幽霊のせいだと感じるか、それとも疲れているからだと思えるか。
誰もいないはずの場所から音がした時、幽霊のせいだと感じるか、ネズミのせいだと感じたり、ただの気の所為だと思うか。
このような、思い込みの観点の違いだと私は思う。

私の友達、オラフ(仮)くんは大のビビりで、お化けが嫌いだ。少し怖い話をしようとすると「あー!!」と大声を出す。怖い話を自分の声で消しているのだ。
しかし、彼は洋画のホラー映画をよく見る。
彼に、ホラー映画を誘われ「怖いの苦手じゃないの?」と、聞くと『うん、でも海外のお化けだよ?海は渡って来れないでしょ』と返されたことがある。

私のイメージのお化けは浮いているし、壁もすりぬけるから、海は当たり前のように超えれるんじゃないの?と思ったが、彼の中のお化けは海を渡ることが出来ないらしい。塩分を含んだ水だからだろうか??
あまり深くは聞かなかったけれど、やはりお化けというものは抽象的であり、自分の都合で自由自在に操れる存在なのかもしれない。

本当に海は渡れないかもしれないし、壁も本当はすり抜けられないかもしれない、写真にうつるためには相当の体力を使うのかもしれないし、お化けの中でもレジェンド達がいて、その他大勢は人間と触れられないのかも…とか、考えれば考えるほど面白いお化けの世界が広がる。
でも、そもそもお化けというものは居ないかもしれない。

怖い話をしてる時に「科学で証明されてるけれど、これはこうこうで、こうだから気のせいだよ」と言われると、なんだか冷める。

多分、大人になって、ほとんどの人間はお化けがいるかいないか分からない状態の人が多いんじゃないか。
『もしかしたら、気の所為かもしれない』
『もしかしたら、いるかもしれない』
と、半信半疑でのお化けの存在が頭にある。(霊感がとても強かったりする人はまた別だが)

その中で、「こういうことがあって、怖かった〜」と話す時(もしかしたら、気の所為かもしれないけど)と少し思いながら話すだろう。
それを、理屈で返されてしまうのはいかがなものだろうか。

「マックは美味しい!」と言った人に対して「それは、体に悪いものなんだよ」と言っているような。話の、本質ではなく感情で私は話したいのである。

けど、実際に笑えないくらいの心霊現象が起きた場合は、気のせいだと言われたい。我儘だけれど、お化けというものは自分の都合に合わせて存在を消すことができる。だって実際に、目に見えない事が多いのだから。

そう考えると、お化けを題材にしたコンテンツは、自分の中のお化けの設定を作る事ができ、ストーリーなどを組み立てられる。
いやあり得ないだろ!というストーリーでも何だかんだ「お化けなら…」と納得できてしまうものだろう。それに携わっている方々は、きっと想像力が豊かで楽しい人間なんだと思う。

私は、これからもお化けの存在を自分の中で良いように解釈をしていきたい。
いない、と断言はしないので心霊スポットに興味本位では行かないし、もし存在しているのならば嫌な思いはさせたくない。


ちなみに、私は意外とお化けは近くにいるんじゃないかなと思う体験をいくつかしてきた。思い込みかもしれないし、勘違いかもしれない。けれど、その体験は私の心に残っているものなので、いつかそれもここで書いていきたい。

これを最後まで読んでくれた方々、一度自分の中のお化け像をもう一度考えてみてほしい。

この記事を書いている間(実際真剣に考えてみると、自分への実害ってないかもな)と思えてきた。だって、お化けに怒られるような生活してないもん。お化けが怖くて眠れない時、トイレに行けない時、お化けの存在を都合よく解釈するのをお勧めします。

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