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 ついに、11年いた財政課から、なんと宿敵 企画調整課へ次長兼課長として移動することになったfukushin_Ceo
 企画調整課は、トップの側にいて、市の全体の政策を進めるための部署で、財政課はお金で市を動かしていくのに対し、企画調整課は政治と方向性で市を動かしていく仕事。
 僕はこの部署に4年間いました。
 さて、このダンジョンでは、何が起こるのか。

政治と市民の隣での仕事

 企画調整課
 よく民間でも企画系に行きたいって希望される方がいらっしゃって、学生の頃、僕もその一人でした。なんか企画というとイケてるイメージ。
 でもこの仕事、一言で言うと あいまい です。

 企画調整課には企画の仕事と、調整の仕事があります。
 市の施策全体の進行管理。
 市全体の方針を決め、それを進めるため部局とお話ししたり。
 だから、財政課よりも、トップの近くで過ごす時間が多い仕事です。
 それと、これまでよりも意識するのは、政治。要するにトップの意向や市民の反応、議会の反応。それと各部局の反応。あとマスコミの反応なども気になります。

「調整」の仕事

 市役所はセクションごとに部署が分かれています。例えば、福祉、医療、環境、道路、上下水道、まちづくり、公園、教育、図書館、公民館、病院、消防・・・都道府県であれば警察などもあります。
 それぞれの部局は、各々の法律に基づいて仕事をしていて、仕事のスタンス、考え方もさまざま。
 全く異なる価値観を持った部局とトップをつなぐ調整の役割。
 そのための計画を作ったり、事業をやめる続けるの判断基準を作ったり。

 また、最近では、選挙で公約を掲げる候補者も。
 公約を掲げて当選したトップが任期中に公約を達成できる、そんな配慮も必要。
 とにかく、俯瞰的な視点、専門的な視点、いろんな事情の把握、全てを把握して進めるのが調整の仕事です。

”その他”の仕事「企画」

 縦割り行政と揶揄されることがあります。
 公務員が違う部署に移動すると、転職と同じくらい仕事が変わります。
 部署ごとに仕事の基礎となる法律の考え方や組織風土、働き方も違います。老人福祉法、生活保護法、子ども系は児童福祉法、道路法、都市公園法、学校教育法・・・また、それにより国の担当する官庁も違う。

 部署の守備範囲は、法令で決まっていて、その裏返しでは縦割りの弊害、誰もフライを撮りに行かないポテンヒットと呼ばれる事態に直面することもあります。
 でも今、市民ニーズや社会の流れは、その枠組みを超えて求められます。

 どの部署の枠組みにも入らない仕事。
 この仕事を進めるのも企画調整課の仕事です。

 例えば、市の魅力を作る地方創生、民泊の対応をどうするかという新しい社会課題、近隣自治体との連携など、「企画」の仕事がこれに当たります。

 企画の仕事は、きっかけを作る役割。
 行政の仕事の多くはすぐに終わるものは少なく、その後10年以上続くものが多いです。なので、どこかの部署に仕事を担ってもらうか、新しい部署を作ったりして行政の仕事として位置付けていきます。

 うちの仕事じゃない

 この言葉を担当課からよく聞きました。
 僕は財政課の時にこの言葉に散々苦しんだので、自身では絶対言わないことに決めています。

 枠組みに収まらない仕事。

 最近は少し慣れが出てきたのか、モラルが生まれてきたのか、聞くことが少なくなったのですが、当時はこの言葉をたくさん担当課から聞きました。

 こんな時には、いろんな部局が動けるように、スタートアップの企画として市の仕事として位置付けていく。そんな仕事の進め方でした。 
 思いついたらまずは企画書で作ってみながら整理する。
 企画書の作成のノウハウはこの時に育まれ、今まで通算ではおそらく500以上の企画書は作成しています。

自分のために仕事する

 トップと一緒に仕事させていただく。
 それは、貴重な体験でした。
 実務面で人に動いてもらうには、トップはどういう判断をするか、議会は市民はどういう反応をするか、職員はどういう反応をするか、それより何より、自分の価値観が問われる仕事です。
 このポジションだからこそ、できる仕事。

 市の総合計画の改訂
 地方創生の計画
 総合教育会議の立ち上げ
 近隣自治体との連携

 情報誌の住みたい街ランキングで常に上位に位置する地区を有し、転出者を転入者が上回り人口が増えている、全国でもめずらしいうちの市にあっても、人口減少が続く地区がありました。

 その地区のまちの構想づくり

 4年間という期間、全速力でいろんなことがカタチになっていった。
 それは、僕が何かを成し得たというよりも、トップの意志、幹部の皆さんの意思決定、職員一人一人が動いた。そして何より市民、議会に受け入れていただいたということ。

 例えば、子どもに「お父さんはこれを作った」「こんなことができた」って言えるような感じではありません。
 でも、確かに言えること。
 それは、自分のための仕事ができた

 いろんな視点が必要なこの仕事。
 最後は、自分の価値観が一番問われます。

人としての佇まい

 僕は学生の頃から、自分という存在を多くの人に知ってもらいたい、何かで有名になりたい。そう思いながら、ダンスもはじめ、でもプロにはなれず市役所の職員になりました。

 自分という存在を多くの人に知ってほしい。
 その思いは、おそらく今でもどこかにあります。

 この仕事では、トップと一緒に過ごす時間がありました。近隣市町村の首長との会議などもあります。
 選挙で選ばれた首長の皆さんを見ていると、本当に学びが多かったです。

 存在感。
 人としての立ち振る舞い。

 目立つことじゃなく、いかにそこにその人がいる意味を見出していくこと。

 何か、勝ち取るという意識よりも、調和することの大切さ、またある時には調和しないことの大切さ、何がベストか考える
 その過程で、自分がどう動くべきなのか。何かできるのかを考える。

 おそらく、僕が求めていた、その存在を知ってもらいたいという欲望は、
そこに自分がいる意味を見つけるということ。
 それが 人としての佇まいなんじゃないかと思います。

 財政課のようにお金の権限を持っているわけでない、道路や公園、学校など動かせる施設を持っているわけでもない、コミュニケーション能力や人間関係、価値観、そして一方踏み出す勇気で人・モノ・金・情報を動かすこの仕事は、いろんな学びがありました。
 4年目の満了を迎え、次の異動先が告げられました。それは、一番これまで馴染みのなかった部署、

 教育委員会教育総務課

 年齢も50歳を迎え、fukushin_Ceoの次のダンジョンはどうなるのでしょうか。

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