ない物はある物で作れ。
靴の製作には様々な素材が必要な訳ですが、仕上がりをイメージして、それに適した素材を用意します。
今日では様々な素材が加工済みで売られており、そのまま若しくは少し手を加えて使う事ができます。
しかし、どうしても理想的な素材が無い場合もあります。
この時どうするかと言うと材料があれば、そこから作りだす。
恐らく靴に限らず、大工さんや料理人さんなど職人と呼ばれる人ならやっている事だと思います。
今回は、幅、長さ、厚みの全てで理想的なウェルトがなかったので、革から切り出して作る事にしました。
では、革なら何でも良いのかと言えば、勿論適材と言うのがあって、硬さや粘りが重要になります。
硬さと繊維の密度がウェルトに丁度いいので、今回はインソール用に用意していた革から拝借しました。
この革を欲しい長さと幅で切り出して、水に漬け込んでふやかします。
その後、好みの厚さに漉きます。
と、言っても均一な厚みではなく、両サイドで厚みの異なる漉きです。
ここまで来ると、先ず加工済みとして売られている事はありません。
そして、色を入れるため吟面を削り落として、その後ウェルトをL字に立上げたいので、うっすら折れ目に溝を掘ります。
そして、L字に立ち上げればウェルトの完成。
めでたしめでたし。ではありません。
ここから、やっとウェルトを縫い出す事ができるのです。
こんな感じで、様々な部材にとことんこだわって作る事で、工業製品の靴とは一味違う手製靴になります。
今回は、このノルウィージャンウェルトの為の加工でした。
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