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 首回りが少し痩せた、という気がする。
 実際に痩せたかどうかは分からないし、人に尋ねても皆、私がダイエットに血道をあげていることを知っているから、忖度して「スッキリしましたよ」などと答えてくれるので判然としない。
 もちろんここで「全く痩せていない」と答えられて仕舞えばやる気の減退するかもしれないことを考えれば、痩せていても痩せていなくても「スッキリした」と言うよりほかないのだから、私が「スッキリした」と言わせているようなものであり、これも相手が嫌だと思っていればハラスメントになり得るだろう。

 世の中にはこういう種類のことが満ち満ちていて、しかも顧みられることは少ない。ハラスメントについての啓蒙をする人に言わせれば、「啓蒙活動をして”私のことかも”と気にする人がそもそもハラスメントをしていることは稀であり、やっていても相対的に程度は大したことがない」のだという。本当に重篤なハラスメントをするような人には何を言っても無駄なのだ、とすると、色々と空しくなってしまう。

 私が勤め人時代にはひどいハラスメントを受け、十数日ぶりの休みに奈良から大阪の実家へ帰る途中に真ん中の王寺から休日サービス出勤のために呼び出されるよなことがままあったが、それを命じた上司はついにハラスメントのハの字の一画目さえも自覚することはなかったであろう。

 同時に私も物書き家業をはじめてからはハラスメントをしているかもしれず、しかもしているという自覚がないので、その罪は重いかもしれない。気にしはじめると限がないが、考えていると肩が凝る。

 凝った肩を解そうと首を回してみると、年末よりも少し回しやすい。金回りは相変わらず首が回らないが、物理的には少し回りやすくなったようで、そうなると少しは首が痩せたのかもしれない。

 全身痩せて、「シュッとしはった」と関西弁で言われたい日々である。

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