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【体験記】たった6ヶ月で英語を話せなかった僕がラスベガスでデモ発表ができるまで

デザインエンジニアの相澤です。今回の記事は、英語が話せなかった僕がたった6ヶ月のラスベガスでデモ発表できるまでになったのかを語ります。

英語が嫌いだった学生時代

僕は中学生のころからとにかく英語が苦手でした。どれくらい苦手かというと3回受けたことのあるTOEICで500点を超えたことがありません。英単語を覚えるのが苦痛でしたし、リスニングも「興味ない話を聞かないといけないんだ。しかも、知らない言語で」と思っていました。

英語ができないことで周りの友達から「なんで500点も取れないの?笑」と嘲笑されることが多々あり、余計に英語を毛嫌いして大学入学後はとにかく英語学習を避けてきました。

【転機】OISTへの異動

沖縄科学技術大学院大学(通称: OIST)への異動です。OISTは沖縄県恩納村にある大学院大学で、職員・学生含めて7割が外国人で構成されています。そのため、OIST内では英語が主に話されています。

OISTに関しましては以下の記事で詳細をまとめてあります。

なぜOISTへ異動になったのかというと、OISTにはスタートアップ向けアクセラレーションプログラムがあり、そのプログラムに大阪ヒートクールが採択されたからです。

採択直後、大阪ヒートクール内でOIST滞在希望者を募集していました。「この機会を逃したら自分が一生英語が苦手なままかもしれない」。そう思った僕はOISTで自分を変える決心をつけました。

最初の一ヶ月は挫折の毎日

最初の一ヶ月は挫折の毎日でした。英語で話しかけられても何を話しているかわかりませんし、自分から何か話しかけようにも英語の文章が頭に浮かび上がりません。そのため、最初の1ヶ月は友達を作ることもできませんでした。

けん玉を持ってバーに通う

バーで外国人の友達と交流し始める

OISTの近くにバーがあり、週末はOISTの学生たちがそこに集まっていることを知ります。バーと言っても、イメージとしてはヨーロッパ風の酒場のようなお店です。僕は友達を作ろうと思いバーに行ってみましたが、各々がグループで会話をしており、英語が聞き取れないせいでなかなか会話に入ることができませんでした

1人で寂しくお店の端っこでビールを飲んでいるときに、近くの棚にけん玉があることに気づきます。実は、僕はけん玉が得意で、「とめけん」や「もしかめ」といった初級の技だけでなく、「世界一周」や「飛行機」などの中級の技もできます。

僕は外国人たちの近くに寄って、けん玉をし始めました。すると、「おお、すげぇ!」「何やってるの!?教えて!」と外国人の方から僕に声をかけてきました。

けん玉の体験を通して、「英語が話せないなら言葉を使わないコミュニケーションをとれば友達ができる」ことを学びました。

トークを前日に準備する

やっと外国人の友達ができましたが、うまく会話の中に入れない時期が続きます。というのも会話に入りたくても、その場で思いついた内容をうまく英語で話せなかったからです。ずっと友達の会話を聞くだけの存在でいたときに、あることを思い付きます。

「その場で思いつけないなら、事前に話す内容を準備すればいいんじゃないか?」

僕はすぐに行動に移しました。まずは話したいエピソードトークを日本語で書きます。その日本語を英語に直します。直すときはDeepL(翻訳アプリ)やGrammarly(文法修正アプリ)を使い、英文の発音は翻訳アプリの読み上げ機能を使って確認しました。

この直した英文を覚えて、次の日に会った友達に話していました。それを毎日繰り返していると単語や表現が頭の中に入っていき、翻訳アプリを使わずとも英文を組み立てられるようになりました。

外国人の友達との夕食

OISTでの英語プレゼン

月例のプレゼン講座

OISTのアクセラプログラムでは月に1回、専門の講師による英語プレゼンの講座がありました。プレゼン講座では、複数のグループが参加し、それぞれが自分の製品についてプレゼンします。僕たちはCES2023で発表したThermoScratchについてプレゼンしました。

5分のプレゼンを発表したあとに、講師の方からフィードバックをいただきます。フィードバックの内容としては、英語ネイティブの方に伝わりやすい表現・発音の仕方・スライドのデザインがありました。

たとえば「ThermoScratchによって痛みと感じる」という説明に「pain」を使ったときに講師の方から「"pain"という単語は腕が折れるくらい強烈な痛みを表すから使わない方がいい」と指摘を受けました。それから「pain」ではなく「hurt」を使うようにし、さらに「あくまで錯覚である」ことを強調するために、「the illusion of hurt」と表現することにしました。

学内の英語プレゼン

 スタートアップ向けピッチコンテストで筆者が登壇した写真

プレゼン講座のような練習の場だけでなく、OIST学内でプレゼン発表する実践の場も多々ありました。たとえばアクセラプログラムの進捗発表会、OIST関連のスタートアップ企業向けピッチコンテスト、OISTに訪問した企業への活動発表などがありました。月に2回以上、CES2023までに10回以上プレゼンをしました。

プレゼン講座と違い、これらのプレゼンでは質疑応答があります。プレゼンは覚えてきた台本通りに話すだけですが、質疑応答では準備もなしに話される言葉を聞き取ったり、その場で思いついた回答を英語で返したりしなければいけません。OISTに異動して一か月後のプレゼンでは、この質疑応答がうまくできませんでした。そのあとにOIST職員の方に「CES2023の発表うまくできるの?」と声をかけられました。

その言葉が悔しかったので、それ以降に質疑応答の復習を始めました。復習の方法として、まずプレゼンの様子を動画撮影または録音します。そのあとにAdobe Premiere Proで質疑応答の音声をテキストに書き起こします。そうすることで聞き取れなかった部分で相手が何を言っていたのかがわかるようになります。

質疑応答のリスニングの練習として、聞き取れなかった部分を何度も再生し、自身も真似して声に出すことを繰り返しました。いわゆるシャドーイングです。また、応答の練習では先ほどのトークと同じ方法で、今日会った質疑に対する回答の英文を暗記して、次に同じ質問が来ても答えられるように準備しました。

CES2023でのデモ展示

CES2023で説明する筆者

迎えたCES2023本番。OISTで散々プレゼン練習してきたので、当日は緊張もせず英語で相手にわかりやすく説明することができました。また、質疑応答でも相手が納得するように答えることができました。その結果、多くの方々にThermoScratchに興味を持っていただきました。

英語が嫌いだった僕が十分海外でも通用するレベルになれたのは、本当にOISTで出会った友人たちやアクセラプログラムのおかげです。しかし、僕はまだまだ自分の英語力に満足していません。あと2か月のOIST生活、そしてOISTを離れたあとでも欠かさず鍛錬をしていきたいと思います。

ライター:相澤 裕貴

大阪ヒートクール株式会社 
大阪府箕面市船場東2丁目5番47号COM3号館4-2号室

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