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商品性について

 前回扱った娯楽性と同様に、商品性の説明も行いたい。商品性、ひいては「商品性の影響が強いゲーム」の詳細についても、詳しくは拙著『スマホゲームのここが変だよ』で扱っているので、そちらを参照頂きたい。と言うのも、商品性が問題になるようなケースは限定的でかつ具体的であるためだ。
 加えて、「商品性の強いゲーム」というものを一言で説明する事は難しいのだ。文字通り、「本一冊分」の容量が必要になる。
 そのため、この場で紹介できるのは商品性が「比較的おとなしい」状態にある場合に限る。だが、必要最低限、あるいはそれ以上の説明を行ったつもりだ。

 という訳で、商品性の説明に移ろう。商品性というのは、ゲームが商品として振る舞う場合に現れる要素だ。商品としての振る舞い、というのは例えばゲームを買う時がそうだろう。
 万引きやら違法ダウンロードなどをしない限りは(くれぐれもしないように)、ゲームを買う際に、8800円なり4800円なりの代金を支払う必要がある。
 この8800円なり4800円が商品性だ。オンラインゲームやスマホゲームに課金する時も、これらのような場合と同様に、商品性が現われるタイミングと言えるだろう。

 プレイヤーにとって商品性というのは、ゲームの楽しみにはあまり縁のない要素だろう。縁がない、というのも商品性がプレイヤーの楽しみに影響しないためだ。
 厳密に言うと、全く関係のないという事はないのだろうが、商品性がプレイヤーの楽しみである状況というのは、ゲーム本来の姿や役割とはそぐわない。筆者のそのような判断により、関係がないという扱いにしている。
 ここでの「ゲーム本来の役割」というのは、プレイヤーを楽しませる事だ。楽しませるというのには、娯楽性であれば、娯楽性の狭義広義を問わない。
 
 ただ商品性は娯楽性を装い、あたかもプレイヤーにとっての楽しみであるかのような振る舞いをする事がある。主語を入れ替えて、プレイヤーが商品性を娯楽性であると錯覚しているという言い方も可能だろう。
 具体例をいくつか挙げると、ガチャを回すのがこの上ない楽しみだとか、課金アイテムを揃える事が楽しみになっているだとか、そのような状況だ。

 このような、商品性がプレイヤーにとっての面白さに影響しているという場合を考えてみよう。
 特に商品性と娯楽性の両者の距離が近い場合、商品性が娯楽性のように見える事が多いだろう。そのようなゲームを筆者は、「商品性の影響が強いゲーム」などと呼んでいる。
 商品性がゲームで強い影響力を持つと、娯楽性がその影響を受けて、変形する事がある。この「娯楽性の変形」も、商品性の影響が強いゲームに見られる特徴だろう。変形した娯楽性というのは、本来ならば商品性を介す必要がないようなコンテンツについても、商品性を連動させるようなものを指している。RPGで仲間を追加するのに、ガチャを介す必要がある、などだ。
 つまりこのような状況は、金のやり取りがゲームの中での地位を占めやすいため、あまり好ましくないというのが筆者の主張だ。
 結局のところは程度問題だが、商品性の影響があまりに強いゲームはその金のやり取りの地位故に、ゲームというよりかはギャンブルのようなものに近いと筆者は考えている。平たく言うと、ゲームではないという事だ。
 
 だが、商品性はゲームの製作者にとっては重要だ。商品性が悪なのではなく、「過度なものや配置が問題になる場合がある」という話だ。
 それに、「タダ」や「無料」のサービスを強要してはいけない。云十万もするようなものでもないのだし、楽しいゲームには気前よく払う事が、ゲームの存続には重要だろう。

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