ヘッドショットとデッドボール

 そういえば昔のゲームの当たり判定ってどこに当たっても同じだよな、という事をぼんやりと考え、その時に閃いたのは、野球でもデッドボールの判定ってのは大体そんなもんだよな、という事。もちろん、当たりの判定が可能になったという技術的な問題もあるだろうが、横スクロールアクションやSTGでそうした当たり判定があるという話は特に耳にした事がないから、ある意味ではジャンルに付属して現れた発想なのだろう。そのジャンルの登場というのもそもそも、そうした技術を下敷きにしている、といったところだろうか。
 ともかく、ゲームには当たり判定というものがあり、作品によってはただ「キャラクターに当たったかどうか」でのみ判断するものもあれば、「どこにあたったか」をも判断するゲームがある。
 乱暴なゲーム―という区分の方が乱暴であるという話はさておき―では、銃弾がどこにあたったかというのは極めて重大な問題である。ヘッドショットという語があるように、人間にとって頭とは極めて重大な急所なのである。他にも心臓だとか、太い血管が体の表面にあるところとかは急所なのだろうがともかく、人体には急所というものがある。さらに、人体限らない様々な物事には急所と呼んで然るべきものがある。

 もちろんこんな当たり前のことを言いたいだけではない。このことは、相手に銃弾やら光線を叩き込むゲームにおいても、ある程度反映されている。こうした反映がなされているゲームというのは、実は最近のゲームであるという証なのではないか、と思った。ここでタイトルにあるデッドボールというのが出番になる。
 デッドボールというのは、体にあたっても、おなかのあたりでぴろーんとしている服をかすめても、あるいは当たっていなくとも演技と審判の能力次第では一塁へ行ける。つまり、そういった急所の判定というのは考慮されていない。危険球や警告というのはあるのだが、これは体のどこにあたったかを考慮するものではない。そもそも当てるなよ、という話にもなろうし、普通に考えればそうだろう。(そう考えない人物がマウンドにいる事が絶対にないとは言い切れないが、居るべきではない。他人の内面をうかがい知る事などできないが)野球は決して、相手にボールを当ててコテンパンにするゲームではない。
 この点も他のゲームとは異なる部分だ。これはつまり、両者を単純に比較するのは決して適切ではないという意味であるのだが、もう少し続けよう。何も、そう真面目なものではない。

  ゲームによって、あたる部位によって差がでるということは、間違いなく戦術の幅を広げる。つま先に当たっても、頭に当たっても同じダメージであるというのであれば、特に頭を狙おうとは思わないだろう。
 ここで、特定の部位、例えば頭への命中/被弾にはより多くのダメージが発生するという事になれば、そうした「急所」を意識して立ち回ることが優位に繋がる。つまり、文字通りの「当たり所」が、ゲームの要素に組み込まれている。
 この点、デッドボールはしばしば発生するが、ゲームに組み込まれていない。いわば、あるべきではないが発生を抑制できない出来事をどう処理しようかという規定があるのであって、野球のルール、つまり多く点を取るという事には結びつかない。むしろ失点の機会を産む。勝負をさけるなら敬遠すれば良い。こうした意味で、デッドボールというのはゲームから疎外されるべきなのだがそれが出来ていない、いわゆるバグの類に近いのではないだろうか。それも単なるバグではなく、修正や解決が不可能であるようなバグだ。デッドボールをちらつかせる方法はある程度は有効であるにしても、である。

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