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私がブラックパンサーに変身したワケ

「わぁ!!カッコいい!!一緒に写真を撮ってもらえますか!?」

子どもたちが目を輝かせながら声を掛けてくる。ビシッとポージングを決め、撮影を終えると、また次の子どもたちが待っており、次々と撮影が続いていく。子どもたちの嬉しそうな姿を見るのはヒーローにとってはこの上ない喜びである。

そう、私はスーパーヒーローに変身していた。キャナルシティのイベントでハロウィンパレードが開催されたからだ。では、一体何のヒーローに変身したのか?

私は「アベンジャーズ」 というハリウッド映画に出てくるヒーローの中の一人に変身した。アベンジャーズは大人にも子どもにも大人気のキャラクターの集合体である。アベンジャーズと言ってもピンとこない人にとっては、「スパイダーマン」 や「アイアンマン」 と言えば想像いただけるのではないだろうか。

あなたはアベンジャーズのヒーローの一人に変身するとしたら、どのキャラクターになってみたいと思うだろうか?

親愛なる隣人のスパイダーマンだろうか? セレブなヒーローのアイアンマンだろうか?

私が変身したのは、皆さんがよくご存知のスパイダーマンやアイアンマンではなく、「ブラックパンサー」 というヒーローに変身した。変身しようと思えば、スパイダーマンにもアイアンマンにもなれたが、私はブラックパンサーになりたかった。

ヒーローに変身するという行為を通して気付いたのは、人がヒーローに変身する時、それは自分の心の奥底にある願望を投影している、ということだ。

ヒーローを象徴するカラーリングといえば、赤や青、白である。「ガンダム」 のカラーリングを思い浮かべてもらえばすぐに合点がいくだろうし、スパイダーマン、アイアンマンの色味も同様だ。

しかし、私が変身したブラックパンサーは全身真っ黒のスーツに身を包み、仮面も黒く、色味の派手さは一切ない。ブラックパンサーはアベンジャーズヒーローの中で唯一の黒人ヒーローである。

ハロウィンイベントでヒーローに変身するわけだから目立ちたいという欲望が私の中には確かにある。ただ、主役の中の主役になって、全方位的な注目を浴びたいとは思わない。わかる人にはわかる、そんなキャラクターを私は好む。アベンジャーズを一つの組織に例えるとすれば、ブラックパンサーは3番手くらいのキャラクターだろう。

数年前にもハロウィンイベントでコスプレをしたことがある。その時は「ワンピース」 のキャラクターの中の「ゾロ」 に変身した。その時も主役のルフィではなかった。そういえば、ルフィの衣装のカラーリングも赤、青、白だ。主役はやはりこの色味が王道だ。

ワンピースを一つの組織に例えるとすれば、ゾロもやはり3番手くらいのキャラクターだろう。口数が少なく、やるべきことを淡々と実行していく寡黙なキャラクターである。

この時もルフィになろうと思えばなることができた。ルフィの衣装は麦わら帽子にチョッキと半ズボンとサンダルだけなので、さほどお金はかからない。一方ゾロの衣装は刀を三本用意しないといけないため、結構なお金がかかる。それでもやはり私はゾロになりたくて模造刀を三本購入した。

主役というトップではなく、ブラックパンサーやゾロに変身する私。それは、トップとしての重責は背負いたくない、でも2番手・3番手くらいのポジションでそれなりの存在感を発揮していたいという私の願望の表れだということにハロウィンイベントの仮装を通して気付くことができた。

では、会社という組織の中に属する自分はどうだろう。会社ではいつもリーダーや責任者、組織のトップを任されることが多い。リーダーともなると、多くのメンバーを指導し、動機づけていく必要がある。面倒なことの調整をしないといけないが多く、責任も重大だ。組織のトップとして仕事をすることは重責である一方でやりがいはある。

思えば、私がリーダーに任命される時、いつも自ら進んでなっているのではなく、周りからの求められてなっている。そうか、私は、本当はトップに立ちたいわけではなく、トップを支える2番手、3番手くらいが自由で心地良いと本心では思っているからこそ、自ら進んでリーダーになりたがらなかったのだ。

どうやら私は会社という組織の中ではリーダーという役割を演じているようだ。本当の願望を叶えるため、私はハロウィンイベントの時に仮装し、変身するのかもしれない。そう考えると、普段は仮装していて、ハロウィンの時にヒーローに変身した姿が本当の私の姿とも言える。

日本でハロウィンイベントが爆発的に盛り上がり続けるのは、私と同じように普段叶えられない願望を仮装という行為を通して叶えたい日本人が多いからかもしれない。

さて、あなたはどうだろう? 会社、組織の中のポジションに心から納得しているだろうか。納得していれば何の問題もない。ただ、もし違うと感じるならハロウィンイベントで仮装してみることをお勧めする。あなたが選ぶキャラクター、それはきっとあなた自身の本当の願望を投影しているだろう。

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